恋を知らないセクレタリー・ドール…心が無くても雇っていただけますか?

茜琉ぴーたん

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14章…悪い人

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 婚姻届を提出し無事に夫婦となってしばらく、安定期に入ったので我々は市内のスタジオにてウエディングフォトを撮った。
 お腹の目立たないハイウエストのドレスとグレーシルバーのタキシード、数枚をアルバムに仕立ててもらう手続きを済ませてから家路に着く。

「楽しみですわね」
「うん、良い記念になったね…ソファーで休んでなさい。苦しくないか?」
「大丈夫ですわ、落ち着いてます」
 お腹の子の性別は男子だそうで、伸夫のぶお先生は奥さまとベビーグッズの選定に入ったらしい。現在の自宅は賃貸マンションであまり物を増やしたくないので、「買う前にご相談ください」と伝えてある。
 ちなみに仕事に関しては休業中、恐らく秘書としての復帰は見込めない。子供の手が離れるまでは一緒に居て欲しいとの和臣さんの希望もあって、私のキャリアは県議会議員秘書のまま終わってしまった。
 それに関してはもう未練は無い。彼の要望に合わせるだけ…だって彼は私の主人なのだから。

「どんどん大きくなるね」
「えぇ、はち切れそうですわ…ふぅ」
「無事に…生まれればいいね」
「最後まで気は抜けませんが…お医者さまは順調だと仰ってましたわ」
「そうか…なら聖良きよら、夜の方も再開できるか?」
荷物を片付けた和臣かずおみさんはワックスで固めていた髪をくしゃくしゃ崩して、私の隣へどすんと腰掛ける。
 確かに安定期なら夫婦生活もして良いと産院で貰ったしおりには書かれていた。
 すっかりモードが『母』に入っていた私はぽかんとスルーした後で徐々に理解してじんわり赤面した。
「あ、はい…」
「久々に…きちんと呼んでくれ」
「…和臣、」
「うん、聖良…おいで」
 腹を労って、けれど彼を奥にお迎えしたくて、腰を反らせては呼吸が苦しくて。
 ドレスに合わせたまとめ髪をほどいて乱して、とても夜伽よとぎとは呼べないぎこちなくされるがままのセックスだったけれど和臣さんが愛おしくて仕方なかった。
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