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 それから二階堂邸へ送り届けて昼食をいただき、歩夢嬢が持ち帰った入試問題の自己採点を行った。

 用紙にはそれなりに迷い悩んだ跡が残っていて、少し前なら何も考えず全て同じ番号をマークしていただろうに成長が見られて嬉しい。


「…済みましたよ」

「ど、どうかしら…」

「………おそらくですが、」

「うん、」

 キラキラした目で俺を見るな。

 ただでさえ歩夢臭に脳をやられてギリギリの状態なんだ。

 俺が告げた言葉でお前はどれだけ喜ぶんだ、何が起こるんだ。

 予測できるから恐いんだ…何も起こらなかった時が。


「…歩夢さま、合格、しているかと」

「やったあぁあ‼︎たちばなぁ‼︎」

「ぐえっ」

 温かい肉弾に押されて椅子ごと転げそうになる。

 もし倒れれば物音に驚いたお手伝いさんが血相変えてやって来るに違いない。

 そしてきっと功労者であるにも関わらず俺は二階堂家に二度と出入り出来なくなるんだ。

 だって歩夢嬢を受け止めた俺はこんなにも…高揚して抱き返すことに逡巡している。


「橘、ありがとうね、ありがとう、」

「はい、危ないですよ」

「ふええ…よがっだぁ…」

「あくまで私の採点ですからね…あの、離れて下さい」

 スラックスの下はもうパンパンだ。

 これでいつものトイレルーティーンに入ればさぞかし気持ちの良いことだろう。

 どうせ流れるけど最後っ屁みたいに俺の痕跡を産み付けて去ってやるんだ。

 後々思い出して「そんな家庭教師もいたわね」なんて浸ってくれよ。

「あ、ごめんね…でも本当、橘が来てくれたから私、ここまで出来たのよ」

「そうですね……お手洗いお借りします」

「うん…あ、そうだ。ついでに壁に掛けてるレイも回収して来てくれない?もう捨てるから」

「はぁ、良いですけど」


 すっかり小間使いにされてるな、しかし最後の仕事だと思って聞いてやる。

 処分したら俺はオナネタをひとつ失うことになるが構わない。

 もうここに来ることはないのだから。


「(さっさと抜いて帰ろ)」

 やれやれ生身の女子高生には想像は敵わない、けれど作り上げた体質なもんで解消しにいつものトイレへと向かう。

 何度ここで抜いたっけ、これが抜き納めだななんて馬鹿なことを考えて興奮を保っていると、階下から

「橘くん!」

と雇い主の声がした。

「は、はい、社長、」

「おぉ、どうだったかな、入試は?」

 頭上から話すのは滅相もないとあたふたしていると、社長は2階へと上がって来て「うん?」と首を傾げる。
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