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しおりを挟むさて、ついに一線を越えてしまった俺と歩夢嬢だが、当日は特にどうと言うことなく普段と変わらぬ様子で別れた。
俺は一旦会社に戻り引き継ぎを確認して、月曜日の業務を把握してから帰路に着く。
「(やっちまったな…バレたらクビだろうな)」
是が非でも抱きたいなんて焦がれた訳でもなく、可哀想にと情に絆された訳でもない。
ただお願いされたから指導しただけ、歩夢嬢は可愛いし興奮できるから成り立っただけだ。
「(明日…高梁くんと、どうなんだろうな)」
数年連れ添った彼氏と年数こそ同じではあるが馬鹿にし続けた俺、どちらのセックスが気持ち良いかなんて比べなくても分かることだ。
それを倫理観を捨ててまで、体当たりで比較した歩夢嬢が馬鹿なのだ。
明日はきっと改めて高梁くんの大切さを肌で感じ、己の行動を恥じ入るに違いない。
俺は俺で墓場まで持って行く秘密が増えただけさ、彼らが結婚でもする日にはこっそり思い出してニタニタ笑うくらいで済ませてやるつもりだ。
「(……しかしまぁ、)」
成り行きで手を付けてしまったが、若い歩夢嬢の体は当たり前に気持ちが良かった。
全身を剥いた訳でもないからほぼ局部くらいしか肌は見えなかったが…袖から腕が見えたのとは訳が違う。
隠されるべき部分の肌の白さは眩しくて美味そうで実際美味かった。
高梁くんとは全裸で致しているのだろうか、そこは純粋に羨ましいかもしれない。
けれど俺はやはりねじ曲がっているのだろう、お互い局部だけ露出して繋がったあのシチュエーションに堪らなく滾った。
許されざる関係、秘密の逢瀬、本命にはなれない都合の良い相手。
隠れてコソコソというのが、過去の経験からも俺の癖に刺さっている。
「(歩夢嬢が望むならまた指導してやっても良いかな、もうそんな機会は無いだろうけど)」
彼女はきっと寝る前にはまた思い出して罪悪感に涙してるんだろうなぁ、そんなことを考えつつ家に帰った。
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