64 / 119
8
59
しおりを挟む「もっとこっち来てよ」
「いえ、誰か来た時に困りますから」
「ぶー……ちゃんと抱き合ってシたいのに」
俺たちは何度も体を重ねているし様々な体位も試してはいるが、着衣のままなので基本俺の体勢が立位に限られる。
スラックスから脚を抜けば復元に時間がかかるし、ドアをノックされた時に素早くそこへ向かうために脱ぐことはできないのだ。
ならするな、なんて俺に言われても仕方ない。
これは歩夢嬢が望んで俺に命令していることなのだから。
「でも対面でしてるじゃないですか」
「脚で腰を挟んだり、密着したいんだもん」
「それは…恋人となさって下さい」
「花嫁修行なのに」
そうは言われても希望は聞けない。
「失礼しますね」
上がった脚を掴んで狭い太腿の間へ、魅力的な肉の中へと入らせて頂いた。
「あッ♡」
「フー…キツ…」
「ふわァ…橘ぁ、手ぇ繋ごう?それは良いでしょ?」
「ええ、」
両手を恋人繋ぎにして、スパンスパンと軽快な音が部屋に響く。
太腿同士が打ち合って、汗が滲めば余計に大きな音が鳴る。
付いて、離れて、引き寄せられて、埋め込まれて。
「たち、ばなぁ♡気持ちイイっ、橘のォ♡」
歩夢嬢は目に涙を浮かべて、いつもより早めに達しようとしていた。
疲れのせいなのか手を繋いだのが良かったのか。
ぎゅうぎゅうに締まるソコに俺の方も負けそうになる。
「歩夢さま、私の、手は、」
「うん?な、にッ?」
「いいえ、」
俺の手は気持ち悪くないんだな。
それは俺が特別だからなのか、それともあの見合い相手が特別気持ち悪かったのか。
男は単純だから、他と違う扱いをされると勘違いして逆上せてしまう。
白くてすべすべした彼女の手、本気で握れば折れてしまうか弱い手。
その手をしっかり引き付けて彼女の足で顔を隠して…
「あ、ゆむ……あ、」
俺は主人よりも先に達してしまった。
「……橘…」
乱れた吐息には戸惑いと苛つきが混じる。
分かっている、物足りないんだろう。
「欲張りなお嬢さまですね…待って下さい、そのまま、」
「え、……あ、」
よろよろ引き抜いてしゃがみ込み、脚は高く上げたままその太腿に顔を埋める。
お嬢さまと下僕ならこんなシチュエーションが最もマッチするのではなかろうか。
ちろちろと舌先を走らせると物欲しげに腰が揺れる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
12
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる