備後の神の縁結び

茜琉ぴーたん

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初体験編

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 そして約束の13時過ぎ。浮かない顔の千鶴が表へ出ると、待ち構えていた渉が弾ける笑顔で彼女を迎える。
「チィ、久しぶりじゃの、」
「…なんでわざわざ来たの?」
「なんじゃチィが冷たい気がしての…嫌われたんか思うて来たんじゃが…杞憂きゆうじゃったの」
 いやに難しい言葉を使うのね、千鶴がうん?と彼を見上げれば、渉は
「チィ、いつもワシのこと、友達にデレデレで話しよるんじゃってな、聞いたど♡」
とニカァと歯を見せた。
「っ……なん、なにを…」
「会えんくて寂しいとか、好きで仕方ないとか、言いよるらしいが…ワシにもそれくらいデレろや、ワシだって寂しいわ」
「………ぐー」
「お?」
鳴ったのは千鶴の空腹、渉は仏頂面ぶっちょうづらをした彼女を連れて出店数件を回り、焼きそばやら豚串やら2度目のフライドポテトやらを購入してベンチへ掛ける。

「もーやだ…みんなに見られた…」
「何の不都合があるんじゃ、普段デレを見られとるんなら問題無いじゃろ」
 友人にはクールで恋人の前ではデレる、それならばデレ部分を露呈するのは恥ずかしいことかもしれないが…今回は逆で、渉からすれば歯痒いことだが対友人には何ら問題は無いように思えた。
「そうだけど……デレてるのはちょっと盛ってるというか…キャラみたいなもんなの、本当はそこまで…惚気のろけたりしたくないの、渉くんに接してる方が素なの、だから…バレると都合が良くない」
「ほうか…どんな感じで言いよるんか見てみたいがの」
「見せない…それは本当の私じゃないもん」
「ふーん…」
 彼女なりに周りに馴染もうとしてるのだな、環境や空気を読みつつキャラクターを演じ分けて少々背伸びをして。しかし自分へのツンが最近酷くはないか、渉はそれはそれと問題を分ける。
「チィ、なんか…エッチの後くらいから…冷たい気がするんじゃ、不手際があったんなら教えてくれ」
「ちょっ…こんな所で何言ってんの…」
「場所がいけんのなら他所よそで話すか?チィの家は女しか入れんのじゃろ、行くとこは決まっとるど」
「な……あ、あ、」
 それはホテルということか、YES/NOよりも先に生理周期を脳裏に浮かべてしまった千鶴はぶわぁと赤面してその目に涙を浮かべた。
「チィ、何がいけんかった、教えてくれ、なぁ?女も賢者タイムがあるんか?」
「あ、」
「ここでベロチューしてええんか?」
「やだ、あ…違う、外で、シよ…」
しなしなと肩を落とした千鶴は伏したまつ毛に涙を付けて、口をきゅっとつぐみ目線で門を指す。
「うん、待ち時間に調べたんじゃ、近いとこにホテルがあったわい」
「……ばか」
「好きに言え、ふふ…嬉しいのぅ、チィとホテル巡りじゃ」
「声大きい…ばか、」



 大学から歩いて20分。
 インターネットの地図情報では『徒歩25分』と書かれていたはずだが、焼きそばをぶら下げて歩く二人は思ったより早足になっていたのだろう。
「…ここか?普通のビルみたい…」
「景観保護とか…いろいろあるんだよ」
「なるほどな」
 さすが格式高い街というかラブホテルひとつとっても渉が思い描いていたそれとは少し違って、土地代が高いからというのもあるのだろうが縦に長い雑居ビルの様な所が多いように感じた。
 中でも近かったホテルを選んで休憩に入れば中は神戸のホテルとそう変わらず、そりゃやる事は同じだものなと彼はひとり得心とくしんして荷物を床へ下ろす。

「…来ちゃった…」
「チィ、こっち来いや」
もじもじする千鶴を抱き寄せればその手足は熱く、外歩き用の厚着を1枚1枚剥ぎ落とせば身体も当然ぽっぽと熱を帯びていた。
「ふ…ん…」
抱き締めただけでこの反応、渉もシャツを脱いで下着だけになりぴたと肌を合わせると、不思議と高まった緊張はだんだんといで穏やかになる。
「気持ちええ…なぁチィ、なんがいけんかった?」
「あの…」
「エッチは下手じゃったじゃろうけど、初めてじゃったけ許してほしいわ…賢者タイムもどうにか…チィをイかせるとかはまだ分からんけぇ経験を積まんとなんとも…」
「ち、違う、それはまぁ、それもない事はない、けど、」
「うん、」
渉は持参したコンドームの箱を持ち、すすすとベッドへ寄り切り千鶴を腰掛けさせた。
 真ん前に立ち鼠蹊靭帯そけいじんたいに沿って指を滑らせればその動きを千鶴は自然と目で追ってしまう。そしてゆうっくりと新しい赤のブーメランパンツを下ろしていけば現れた肉の棒を彼女は直視できずそっぽを向く。
「どうじゃろ、」
「何が…」
「どんな感じ?文章で説明してみせぇや」
「はぁ?」
「勉強しよるんじゃろ、少なくともワシより言葉は知っとるじゃろ」
渉も今日は無意味にウロウロしていた訳ではなくて、展示物には一応全て目は通したし、千鶴を待っている間に職員に解説を求めたりときちんと客としての立場を全うしていたのだ。
 千鶴は今回は何かを製作・展示などはしていなかったが、渉は学部学科の説明も読んだしゼミごとの研究内容や卒業論文のタイトルも目に入れた。少なくともどんなことを研究しようとしているかくらいは把握している。
「なに…やだぁ、」
「見て、ワシのちんちん。どんな感じ?」
「えっ…あ、んー…あ、…赤黒い、くて…んー…黒子ほくろがあって」
「そう?お、ほんまじゃ。裏側は気付かんかったわ」
「…毛が…黒々としてて…やだ、寄らないでって、」
次第にずいずいと近付いてくるイチモツ、千鶴は強張った顔で牽制けんせいしつつ、腕を伸ばして一定の距離を保とうと踏ん張る。
「よう見て、」
「やぁ…汗臭い、」
「歩いたけぇのぅ」
「立派だよ、もう…あの…やめて、舐めたりはできない」
 照れが消えて本気の怒りが見え隠れしてきたら渉は腰を引きひざまずいて、
「させるかぃ…んなこと…」
うつむく顔を覗いてキスをした。
「んふ…あん…わた、ル、ぐ…んムぅ…んー」
「ぷへ…チィ、エッチ、しよ」
「う、うん…あの、あ、え、」
 渉は千鶴をころんと転がし、堂々たるベッドへ手だけつかせて尻と対面する。
 可哀想に千鶴は自分の置かれている状況とこれから行われる体位がどんな物か分からず、生まれたての子鹿のように脚をぷるぷると震わせた。いわゆる正常位しか知らないのだ。
 濡れ場のあるドラマや映画も観たことはあるが決定的な描写は当然だが省かれて…汗だくの恍惚こうこつの男女の顔とか絡まる脚とか、そんな上辺しか情報が無いのだ。
「いろいろ、シてみたいんじゃ、バック…これは立ちバックかの、ん♡」
「あ、お尻は無理、やだ、」
「はぁ?……違うわ、」
コンドームを装着した渉はそうは言いつつも位置をしっかり指で確認し、少しほぐし、間違いなく前の穴へと挿入した。
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