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第四節 えっ?アタシここでもハンターするの?
第25話 人間界と恋心と光と真相 後編その壱
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リヴァイアタンは嫉妬を冠するこの国の貴族である。家名に貴族位は無く、彼女自身の貴族位は子爵だ。だからサージュ家自体は貴族家ではない事になる。
そしてそんな彼女は王都の港湾及び王都の南側に所領を抱えていた。
また王都の警備部門長・ベルンの主でもある。
女性が貴族位を持てないハズのこの国でただ1人、その実力だけで貴族位を勝ち取った猛者だ。
然しながら彼女は貴族家の出身ではない故に彼女が持つ貴族位は一代限りとされている。
その後の働き次第では「家名に貴族位を与えられるのでは?」と巷では囁かれていた。
そんな実力派の貴族だ。
「先に話した正体不明の魔石の話しを覚えているか?」
「えぇモチロンよ。でもやっぱりその話しに繋がるのね?」
「あぁ、そうだ。ところで貴君は貴族達の所領については詳しいかな?」
「そうね、多少本で読んだくらいかしら?」
「そうか、なら妾がざっと説明しよう」
「先ずはここ、港湾地域を除く王都周辺は魔王陛下の直轄領だ。そして更にその周りを取り囲む形で陛下派閥の諸貴族の所領が配置されている」
「魔王陛下に与しない派閥の貴族達は更にその奥にちらほら所領がある」
「では、更にその奥はどうなっているか分かるか?」
「えっと、辺境を治める貴族がいるんだっけ?」
「そうだ。諸貴族の所領の更に奥は、辺境伯と呼ばれる貴族がいる。だから、そいつら一代貴族の所領になっている」
「名目上、今の辺境伯達は魔王陛下と敵対しておらず魔王陛下に恭順しているが、その真意は分からないのが現状だな」
「ふぅん、なるほどね」
「しかし先の反乱、陛下派閥の貴族でさえ魔王陛下に刃を向けたのだ。恭順の意を示しているだけの辺境伯共が何を企んでいるのかは皆目見当もつかないのは分かるだろう?」
「リヴィエさんは北の辺境伯が、王都ラシュエに侵攻してくる可能性を考えているのね?」
「ほう?なんでそう思った?是非聞かせて欲しいものだ」
「そうね、でも分かり易く言えばこれは直感だから説明は難しいわ」
「そうか…。ならば妾が続けよう」
「先の反乱のおり、王都の北の所領を預かるルネサージュ家。そのルネサージュ領の山が消し飛んだのを知っているか?」
「えっ?」
「恐らくは、北の辺境伯がマモン達と共闘する為に山を消し飛ばし進軍ルートを作成しようとしたとの考えが現状で有力な…」
「ちょ、ちょっと待って!そ、その話し、領主であるアスモデウスさんや、とお、いや、魔王陛下には確認したのかしら?」
「いや、確認などしておらん」
「だがなその前に、貴君が魔王陛下のご息女である事はとっくに知っている。だからさっきも敢えて「御子様」と呼ばせて頂いただろう?」
「確かに魔王陛下は魔王陛下だが、だから無理に貴君まで「魔王陛下」と言う必要はないと思うぞ?特にそういった輩の目が無いのであれば尚更…な」
「あはは。う、うん、お気遣いありがとう、リヴィエさん」
「それじゃあリヴィエさん、これから重要な事を話すから絶対に驚かないで聞いてもらえる?」
会話は弾んでいた。2人ともバカではないし、むしろその逆だ。
だから普通以上に知恵は回るし思考は速い。
だから会話が弾んでいた。しかし、ルネサージュ領の山が会話に挙がり出した途端、少女の歯切れは悪くなっていった。
だからこそ「このままではいけない」と意を決した。よって少女は神妙な表情を作り、重く重く言の葉を紡ごうとしていた。
リヴィエはそんな少女の表情に対して息を飲んでいた。
「リヴィエさんが話してた山を消し飛ばしたの、アタシ…なの」
神妙な面持ちの少女が紡いだ突拍子もない告白に、リヴィエはその瞳をただただ白黒とさせていた。
そして、リヴィエはふと我に返ると屋敷中にその哂い声を響かせていった。
「な、なんだと?貴君があの山を消し飛ばした、だとぉ?あっははははっははは、馬鹿も休み休みに言え。さては先程といい今回といい、貴君は妾を哂わせ殺すつもりだろう?ひーっひっひっひはっはふっ」
少女が意を決する必要があったのはこの事を予期したからだ。この長引くだろう爆笑の渦に再び巻き込まれる感じがしたからだ。
だから神妙な面持ちで重く紡いだのだが、効果はなかったようだ。
然しながらリヴィエは大哂いを始めたものの、少女の心配は杞憂に終わった。何故なら少女の顔付きが神妙な面持ちのまま変わらないので直ぐに真顔に戻ったからだった。
「そ、それは本当の事なのか?」
こくっ
「くっくく…くくく、ぐっ!抑えろ、抑えろ。哂ってはダメだ、哂っては…。ダ…メだあぁぁぁぁぁ!はーっはっはっはひっふはっふはははっひひっーひっひっ」
「はぁ。こんな事になりそうだったから絶対に驚かないでって言ったのに。ぷぅ」
こうしてリヴィエの大哂いは暫く続いた。
「でね、その時の事を知っているのは、その場にいた父様とアスモデウスさん、そして、ルミネとアタシ。後は敵の黒幕である銀髪の男だけよ」
「よし、分かった。それはちゃんと確認しておこう。ふふふ」
「そ、それにしても、くくくっ。あれ程の山を消し飛ばすとは、ぷぷぷ。き、貴君は一体何をしたのだ?ひひひへはっははっ」
話しはいつしかリヴィエが興味を持つ方へとすり替わっていた。
要するに国の一大事から、リヴィエの知りたい欲求へと変化していったのだった。
「い、いや、ちょっとした魔術で…」
「魔術とな?そのような大魔術、闘いの中では不向きであろう?それとも何か?その銀髪の男とやらは、その大魔術でなければ倒せない程の相手なのか?」
「はぁ。うん、分かったわ。あの時のコトを話すわよ。哂わずにきいてくれるならちゃんと話してあげるわよ」
「分かった。善処しよう」
「善処じゃダメよ。少しでも哂ったらアタシは話すのを止めるから、それくらいの覚悟で聞いてもらえる?」
「うっ、心得た」
少女は瞳を輝かせながら根掘り葉掘り聞いて来るリヴィエへの対応にいても立ってもいられず、あの時の詳細を話す事にした。
そしてそんな彼女は王都の港湾及び王都の南側に所領を抱えていた。
また王都の警備部門長・ベルンの主でもある。
女性が貴族位を持てないハズのこの国でただ1人、その実力だけで貴族位を勝ち取った猛者だ。
然しながら彼女は貴族家の出身ではない故に彼女が持つ貴族位は一代限りとされている。
その後の働き次第では「家名に貴族位を与えられるのでは?」と巷では囁かれていた。
そんな実力派の貴族だ。
「先に話した正体不明の魔石の話しを覚えているか?」
「えぇモチロンよ。でもやっぱりその話しに繋がるのね?」
「あぁ、そうだ。ところで貴君は貴族達の所領については詳しいかな?」
「そうね、多少本で読んだくらいかしら?」
「そうか、なら妾がざっと説明しよう」
「先ずはここ、港湾地域を除く王都周辺は魔王陛下の直轄領だ。そして更にその周りを取り囲む形で陛下派閥の諸貴族の所領が配置されている」
「魔王陛下に与しない派閥の貴族達は更にその奥にちらほら所領がある」
「では、更にその奥はどうなっているか分かるか?」
「えっと、辺境を治める貴族がいるんだっけ?」
「そうだ。諸貴族の所領の更に奥は、辺境伯と呼ばれる貴族がいる。だから、そいつら一代貴族の所領になっている」
「名目上、今の辺境伯達は魔王陛下と敵対しておらず魔王陛下に恭順しているが、その真意は分からないのが現状だな」
「ふぅん、なるほどね」
「しかし先の反乱、陛下派閥の貴族でさえ魔王陛下に刃を向けたのだ。恭順の意を示しているだけの辺境伯共が何を企んでいるのかは皆目見当もつかないのは分かるだろう?」
「リヴィエさんは北の辺境伯が、王都ラシュエに侵攻してくる可能性を考えているのね?」
「ほう?なんでそう思った?是非聞かせて欲しいものだ」
「そうね、でも分かり易く言えばこれは直感だから説明は難しいわ」
「そうか…。ならば妾が続けよう」
「先の反乱のおり、王都の北の所領を預かるルネサージュ家。そのルネサージュ領の山が消し飛んだのを知っているか?」
「えっ?」
「恐らくは、北の辺境伯がマモン達と共闘する為に山を消し飛ばし進軍ルートを作成しようとしたとの考えが現状で有力な…」
「ちょ、ちょっと待って!そ、その話し、領主であるアスモデウスさんや、とお、いや、魔王陛下には確認したのかしら?」
「いや、確認などしておらん」
「だがなその前に、貴君が魔王陛下のご息女である事はとっくに知っている。だからさっきも敢えて「御子様」と呼ばせて頂いただろう?」
「確かに魔王陛下は魔王陛下だが、だから無理に貴君まで「魔王陛下」と言う必要はないと思うぞ?特にそういった輩の目が無いのであれば尚更…な」
「あはは。う、うん、お気遣いありがとう、リヴィエさん」
「それじゃあリヴィエさん、これから重要な事を話すから絶対に驚かないで聞いてもらえる?」
会話は弾んでいた。2人ともバカではないし、むしろその逆だ。
だから普通以上に知恵は回るし思考は速い。
だから会話が弾んでいた。しかし、ルネサージュ領の山が会話に挙がり出した途端、少女の歯切れは悪くなっていった。
だからこそ「このままではいけない」と意を決した。よって少女は神妙な表情を作り、重く重く言の葉を紡ごうとしていた。
リヴィエはそんな少女の表情に対して息を飲んでいた。
「リヴィエさんが話してた山を消し飛ばしたの、アタシ…なの」
神妙な面持ちの少女が紡いだ突拍子もない告白に、リヴィエはその瞳をただただ白黒とさせていた。
そして、リヴィエはふと我に返ると屋敷中にその哂い声を響かせていった。
「な、なんだと?貴君があの山を消し飛ばした、だとぉ?あっははははっははは、馬鹿も休み休みに言え。さては先程といい今回といい、貴君は妾を哂わせ殺すつもりだろう?ひーっひっひっひはっはふっ」
少女が意を決する必要があったのはこの事を予期したからだ。この長引くだろう爆笑の渦に再び巻き込まれる感じがしたからだ。
だから神妙な面持ちで重く紡いだのだが、効果はなかったようだ。
然しながらリヴィエは大哂いを始めたものの、少女の心配は杞憂に終わった。何故なら少女の顔付きが神妙な面持ちのまま変わらないので直ぐに真顔に戻ったからだった。
「そ、それは本当の事なのか?」
こくっ
「くっくく…くくく、ぐっ!抑えろ、抑えろ。哂ってはダメだ、哂っては…。ダ…メだあぁぁぁぁぁ!はーっはっはっはひっふはっふはははっひひっーひっひっ」
「はぁ。こんな事になりそうだったから絶対に驚かないでって言ったのに。ぷぅ」
こうしてリヴィエの大哂いは暫く続いた。
「でね、その時の事を知っているのは、その場にいた父様とアスモデウスさん、そして、ルミネとアタシ。後は敵の黒幕である銀髪の男だけよ」
「よし、分かった。それはちゃんと確認しておこう。ふふふ」
「そ、それにしても、くくくっ。あれ程の山を消し飛ばすとは、ぷぷぷ。き、貴君は一体何をしたのだ?ひひひへはっははっ」
話しはいつしかリヴィエが興味を持つ方へとすり替わっていた。
要するに国の一大事から、リヴィエの知りたい欲求へと変化していったのだった。
「い、いや、ちょっとした魔術で…」
「魔術とな?そのような大魔術、闘いの中では不向きであろう?それとも何か?その銀髪の男とやらは、その大魔術でなければ倒せない程の相手なのか?」
「はぁ。うん、分かったわ。あの時のコトを話すわよ。哂わずにきいてくれるならちゃんと話してあげるわよ」
「分かった。善処しよう」
「善処じゃダメよ。少しでも哂ったらアタシは話すのを止めるから、それくらいの覚悟で聞いてもらえる?」
「うっ、心得た」
少女は瞳を輝かせながら根掘り葉掘り聞いて来るリヴィエへの対応にいても立ってもいられず、あの時の詳細を話す事にした。
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