異世界転生、授かったスキル【毎日ガチャ】って…

学園編

第23話 現役騎士

　頭を垂れながら闘場から降りるセブルス先輩、闘場の下で目を瞑りながら精神集中する人の隣に座ると、目を『カッ』と開いて私を睨みつけた。

「おい、コール！お前が大将だろうが。闘場早く上がって来い！」
「先輩判ってますよ。俺まで回るとは正直思ってなかったんでね」
「俺は騎士団を退団してるから、もうお前の先輩ではないんだから先生と呼べよ！」

　コール先輩が先生と懐かしそうに話してる、どうやら先生と騎士団時代の知り合いだったのね。闘場に上がったコール先輩は、頭を『ポリポリ』と掻きながら話し掛けてきた。

「セレンだっけ？命令だから勝たなきゃいけないんだよ。現役騎士としてガキの遊びに付き合うのは面倒なんだが仕方ないか」
「はい、私も勝たなきゃいけないのは同じですね」
「チッ、調子が狂うな…」

　私は『ニコッ』と微笑みながら返事をすると、少し困った表情で言葉を返した。

　コール先輩は現役騎士なんだね。これは少し気合を入れないと勝てないのかな？なんて考えていると、先生が3戦目開始の声を上げた。
　
「それじゃ、3戦目を始めろ！」

　コール先輩はロングソード構えながら、なにか『ブツブツ』言いながらも素早い連続斬りを仕掛けてきた。私は槍で応戦して防いでいると、コール先輩は左手をこちらに向けて魔法発動した。あれは魔法を詠唱していたのね……

「〚岩弾ロックバレット〛！」
「やばっ！」

　私は咄嗟にバックステップをしながら、槍を反転させて石突で打ち払ったけど、コール先輩はその隙を見逃さない、ロングソードを横に向けて剣技を放ってくる。

「ほぅ、だがコイツは躱せるかい？〚斬撃スラッシュ〛！」
「キャッ！」

　少し変な声が出ちゃったけど、咄嗟に右腰のホルダーに入っている扇を抜いて、斬撃を受け止めたけどバランスを崩して尻もちをつく、コール先輩は畳み掛けるように上段からロングソードを振り降ろした。私は扇を投げ捨てて、両手で槍を構えてロングソードを受け止める。

『ガキィーン！』
「おい、マジか……」
「ヘヘっ、マジですよっと！」

　私は槍で受け止めると同時に、先輩の鳩尾にカウンターの蹴りを入れていた。予想外のカウンターにダメージを負ったコール先輩は後方へ距離を取ったので、私もそのタイミングで体勢を整えた。

「お前、本当に学生ガキなのか？」
「学園1年生のガキですよ！」

　驚くコール先輩とは対照的に、私は笑顔で返事をしてから反撃に転じる。
　私は槍を右手一本で下段に構えながら距離を詰めて行くと同時に、左手で魔法を発動させる。

「視界を奪え〚目潰しサンドブラスト〛！」
「なっ！」

　私の奇襲が見事にハマった！
　そのまま槍でコール先輩の脇腹へ打撃を入れてから、石突を額の前で寸止めした所で勝負あり。

「それまで、勝者セレン！大将が破れたので、スレイン組の勝利を宣言する。これにて【決闘】は終了したと宣言する！」

　私の4年生3人抜きで【決闘】は終了した。
　負けた3人の先輩達は、決闘申請書に記載された内容通りに、スレイン様へ深々と頭を垂れて謝罪をした。コール先輩以外は物凄く不満な顔をしていたけど、ゼクス殿下が不満そうな顔して闘技場を去って行く姿に少し違和感を感じたけど、この時はあまり気にせずにいたのだった。