人命救助で命を落として異世界転生、助けたはずの女の子が僕を追いかけて異世界にやってきたんだけど……

小桃

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第三章 覚醒編

第43話 同じ穴のむじな

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▽冒険者シグルドside▽
 期限が迫る依頼のため、俺達4人は大急ぎで身支度を、ミルド共生国を目指す。

 今回の依頼で最大の問題となるのは、令嬢がミルド共生国に居るという情報しかない。さらに最悪なのは崖を飛び降りて国境を越えていて、隣国ゴルデッド王国から進むとなると、アンドレア山脈を越えなければならない。もし往復するとなれば、期限内に令嬢を連れ戻すことは不可能となる。

 そんな訳で俺達は崖の前に居る……。

「ねぇ、本当に飛び降りるのよね?」

 進撃で唯一の女であるペトラが、崖を目の前にして青ざめた表情で確認してきた。俺はなにを今更と思いながら、ため息をついてから応える。

「はぁ~、伯爵の話を聞いてたんだろう? 令嬢はここを飛び降りたんだ。お前も覚悟を決めろ!」
「えっ……、3人で行けないの?」

 ペトラは完全にヤル気が失せたようだが、パーティー唯一の属魔職エレメンターなので抜けることは許されない。

属魔職エレメンター抜きで行けるわけないだろう! お前が依頼失敗の賠償金を払うのなら、今から俺が伯爵の元へ依頼を断りに行くぞ?」
「うっ……」
「ははっ、俺達3人が居るんだから、ちゃんとサポートしてやるか行こうぜ!」
「きゃっ!」

 パーティーのムードメーカーであるチャントラが、怖気づくペトラの肩に手を当てた。背後から肩を触れられてため驚きの声をあげた。

「もう! 心臓が止まるかと思ったじゃない!」
「ははっ、可愛い声を出すなんて、ペトラもやっぱ女なんだな! 大切な仲間なんだちゃんと守るから安心しな」
「はぁ~、本当に頼むわよ?」

 チャントラのおかげで、ペトラの覚悟が決まったようで、そろそろ崖から飛び降りようとした時、1人の男が声をかけてきた。

「なぁ、あんたらも飛ぶのか?」
「あぁ、ちょっと依頼を受けちまってね。あんたも依頼を受けたのか?」
「まぁな、簡単な人探しだよ」

 声をかけてきた男も人探しだと言った。見た目から俺達と同じ冒険者で間違いないが、単独でミルド共生国へ行くってことは、冒険者ランクは上で間違いないだろう。

「お互い厄介な依頼を受けたな」
「そうか? 俺は何度も経験してるから慣れたもんだよ。良かったら途中まで一緒に行くか?」
「本当か? 俺達は初めてだったから助かるぜ! 俺は進撃のシグルド、Bランクの冒険者だ」
「俺はギレン、Aランクの冒険者だ」

 ギレンはAランクの冒険者だった。おそらく中級ノマルンより上の階級で戦闘職バトラーってとこだな。崖の向こうを知る者と行動を共にできるのは非常に心強い。この時は、依頼達成の確率が上がったと思い喜んだのだが、その考えが甘かったと思うとは……この時点は流石に判らなかった。

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