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福岡編
片想い(下)
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強面集団で一番長身の男に目を引かれるようになったのはいつだったか。その理由さえも覚えていない。気がついた時はもう目で追っていた。
同じ警察官でも、刑事部の第一線で手腕を振るう徹と、総務係のような位置づけで内勤が基本の自分とは全く違う。書類のやり取りが唯一の接点だ。徹の手に渡る書類になりたいと何度思ったことか。そんな秘めた想いに、洞察力の高い同僚が気づくのは必然だった。ばれたが最後、あれよあれよと担がれてしまった。
「彼女」
そう答えた徹は、諦めたように空気を和らげた。
唖然としてしまったのは、恋人には振られたと聞かされていたからであるし、それ以上に職場では見たことのない優しい顔つきに見惚れてしまったからだった。
かっこいいというレベルの話ではない。真夏の湿気に近い纏わりつくような色気が発せられている。
捜査一課で女性職員に人気があるのは俊樹だ。見た目も話し方も人懐っこいからだと言うのはわかる。しかし、次点に徹の名前が上がらないのは不思議に思っていた。徹の魅力に気付かないなんて、と怒りに似た感情さえもっていた。
今、この瞬間だけは、それでよかったのだと噛みしめる。彼を独占しているようで優越感が湧く。同時に、常時渋面の仕事人に和らいだ顔をさせる恋人に嫉妬を覚える。
「浮気でも遊びでもなんでもいいから抱いてください」
大胆にも体が再度徹の腕を捉えた。しかも、簡単に逃すまいと両腕で抱き込むようにしっかりと固定している。
徹が反射で体を引いたが負けなかった。引かれた倍の力で引き戻す。
「ちょっ、美穂! あんた何言って、、、」
引かせたのは徹だけでなかった。美穂を勇気づけ、また慰めてくれていた友人に肩を掴まれる。引き剥がそうとする手に抗って、美穂は肩を揺らしてお咎めから逃れた。
美穂自身、自分の言動に驚いている。
思考が脳をすっ飛ばして、口と体に直結した。
「体力ならあります! あと、若さも」
「ふざけるな」
「くらべられてもいい。試してください」
自信なんてあるわけがない。
ただ必死なだけだ。
地味で経験の浅い美穂にとって最初で最後の賭けだった。徹が隣で飲んでいるだなんて夢のような出来事が現実に起きている。この好機を逃したら、一生、徹が触れる書類に嫉妬するしかないのだ。
「抱けだの試せだの、どこの誰か知らねぇヤツが怖いわ」
「だったら、せめて私に何が必要か教えてくださいっ」
「何かを足したところで変わらん。お前とどうこうなることは絶対にない」
「一回ぐらい相手してくれてもいいじゃないですか!」
据え膳食わぬは男の恥っていうでしょ! 浮気でも酔った勢いでもこっちがいいって言ってるのだから──
感情が高ぶる美穂は戦闘態勢甚だしく喚き散らす。
「おい」
徹が静かに空気を凍らせた。
美穂は本能的に口をつぐむ。
「いい加減にしろ。俺の女に嫌がらせでもしてみろ。どんな手使ってでも社会的に抹殺する」
美穂は言われた意味を直ぐに理解できなかった。徹の顔つきがいつもの、いや、いつも以上に険しくなっている。犯人を射抜く視線を向けられ、怒らせたことにようやく気がついた。
徹の殺気を孕んだ言葉がじわじわと意味を持つ。
「触るな」
厳しい一言の暗示にかかって両手から力が抜けた。徹にしがみついていた両手が痺れる。
興奮が冷めるにつれ、美穂の血の気が引いて行く。
「若い奴の考えることはわからんが、自分を大事にした方がいいだろ」
徹は恋人の関わることには怒っても、怒らせた側のことは別問題に捉えているらしかった。それが徹の気遣いでも、恋人以外には一ミリを興味がないだけでも、美穂にとっては長所に映る。
美穂の震える両手に、諦めきれない想いだけが残る。
「どうでもいいけどな」
至極面倒くさそうに言い放った徹は、二度と美穂を見ることはなかった。
***
翌朝、出勤するや否や、徹はゴキゲンな同僚たちに取り囲まれた。中には背伸びをして徹の肩に乗りかかってくるやつまでいる。
「美穂ちゃん持ち帰ったん?」
ひとつもいい思いをしていないだけに、徹は思い出したくもなかった。事実、昨晩は帰宅早々に眠りについて全て忘れたというのに、こうして無理やり思い出させられるとは忌々しい。
「なワケあるか!」
クソがっ、と吐き捨てても無意味だった。
もったいない、意気地なし、と矢継ぎ早に酷い野次が返ってくる。
「都合よくダシにして、ガキ押し付けんなっ。そもそも別れてねぇ!」
二度と妙な誘いをするなと言い切った。効果に関わらず、主張は必要だ。
苛つく徹を、日野と俊樹が小刻みに震えながら見守っている。
「知ってたなら止めろ」
チームに八つ当たりを向けた。他の課員同様、徹の怒りは怒りとして処理されず楽しませるだけだった。そうとわかっていても言わずにはいられなかった。
「橙子ちゃんチョイスのスーツに変えて、若いのが釣れるなんて何の因果かねぇ」
「直接告れたなら美穂ちゃんもスッキリしただろうし、橙子がいない間にけりがついて良かったでしょ」
日野に、橙子がスーツを選んだと話した覚えがないのに見抜かれている。俊樹にいたっては「むしろ感謝して欲しい」と胸を張る始末だ。
このふたりについては、徹たちが別れていないことも、橙子が長期出張中であることも知っている。
知った上での所業なのだ。
単純に、課の誰よりも──徹に言い寄った女よりも──質が悪い。
すでにじゅうぶんすぎるほど楽しませてやったはずだ。
「尾野、今度のシフト代われ」
否応なしに従わせた。
同じ警察官でも、刑事部の第一線で手腕を振るう徹と、総務係のような位置づけで内勤が基本の自分とは全く違う。書類のやり取りが唯一の接点だ。徹の手に渡る書類になりたいと何度思ったことか。そんな秘めた想いに、洞察力の高い同僚が気づくのは必然だった。ばれたが最後、あれよあれよと担がれてしまった。
「彼女」
そう答えた徹は、諦めたように空気を和らげた。
唖然としてしまったのは、恋人には振られたと聞かされていたからであるし、それ以上に職場では見たことのない優しい顔つきに見惚れてしまったからだった。
かっこいいというレベルの話ではない。真夏の湿気に近い纏わりつくような色気が発せられている。
捜査一課で女性職員に人気があるのは俊樹だ。見た目も話し方も人懐っこいからだと言うのはわかる。しかし、次点に徹の名前が上がらないのは不思議に思っていた。徹の魅力に気付かないなんて、と怒りに似た感情さえもっていた。
今、この瞬間だけは、それでよかったのだと噛みしめる。彼を独占しているようで優越感が湧く。同時に、常時渋面の仕事人に和らいだ顔をさせる恋人に嫉妬を覚える。
「浮気でも遊びでもなんでもいいから抱いてください」
大胆にも体が再度徹の腕を捉えた。しかも、簡単に逃すまいと両腕で抱き込むようにしっかりと固定している。
徹が反射で体を引いたが負けなかった。引かれた倍の力で引き戻す。
「ちょっ、美穂! あんた何言って、、、」
引かせたのは徹だけでなかった。美穂を勇気づけ、また慰めてくれていた友人に肩を掴まれる。引き剥がそうとする手に抗って、美穂は肩を揺らしてお咎めから逃れた。
美穂自身、自分の言動に驚いている。
思考が脳をすっ飛ばして、口と体に直結した。
「体力ならあります! あと、若さも」
「ふざけるな」
「くらべられてもいい。試してください」
自信なんてあるわけがない。
ただ必死なだけだ。
地味で経験の浅い美穂にとって最初で最後の賭けだった。徹が隣で飲んでいるだなんて夢のような出来事が現実に起きている。この好機を逃したら、一生、徹が触れる書類に嫉妬するしかないのだ。
「抱けだの試せだの、どこの誰か知らねぇヤツが怖いわ」
「だったら、せめて私に何が必要か教えてくださいっ」
「何かを足したところで変わらん。お前とどうこうなることは絶対にない」
「一回ぐらい相手してくれてもいいじゃないですか!」
据え膳食わぬは男の恥っていうでしょ! 浮気でも酔った勢いでもこっちがいいって言ってるのだから──
感情が高ぶる美穂は戦闘態勢甚だしく喚き散らす。
「おい」
徹が静かに空気を凍らせた。
美穂は本能的に口をつぐむ。
「いい加減にしろ。俺の女に嫌がらせでもしてみろ。どんな手使ってでも社会的に抹殺する」
美穂は言われた意味を直ぐに理解できなかった。徹の顔つきがいつもの、いや、いつも以上に険しくなっている。犯人を射抜く視線を向けられ、怒らせたことにようやく気がついた。
徹の殺気を孕んだ言葉がじわじわと意味を持つ。
「触るな」
厳しい一言の暗示にかかって両手から力が抜けた。徹にしがみついていた両手が痺れる。
興奮が冷めるにつれ、美穂の血の気が引いて行く。
「若い奴の考えることはわからんが、自分を大事にした方がいいだろ」
徹は恋人の関わることには怒っても、怒らせた側のことは別問題に捉えているらしかった。それが徹の気遣いでも、恋人以外には一ミリを興味がないだけでも、美穂にとっては長所に映る。
美穂の震える両手に、諦めきれない想いだけが残る。
「どうでもいいけどな」
至極面倒くさそうに言い放った徹は、二度と美穂を見ることはなかった。
***
翌朝、出勤するや否や、徹はゴキゲンな同僚たちに取り囲まれた。中には背伸びをして徹の肩に乗りかかってくるやつまでいる。
「美穂ちゃん持ち帰ったん?」
ひとつもいい思いをしていないだけに、徹は思い出したくもなかった。事実、昨晩は帰宅早々に眠りについて全て忘れたというのに、こうして無理やり思い出させられるとは忌々しい。
「なワケあるか!」
クソがっ、と吐き捨てても無意味だった。
もったいない、意気地なし、と矢継ぎ早に酷い野次が返ってくる。
「都合よくダシにして、ガキ押し付けんなっ。そもそも別れてねぇ!」
二度と妙な誘いをするなと言い切った。効果に関わらず、主張は必要だ。
苛つく徹を、日野と俊樹が小刻みに震えながら見守っている。
「知ってたなら止めろ」
チームに八つ当たりを向けた。他の課員同様、徹の怒りは怒りとして処理されず楽しませるだけだった。そうとわかっていても言わずにはいられなかった。
「橙子ちゃんチョイスのスーツに変えて、若いのが釣れるなんて何の因果かねぇ」
「直接告れたなら美穂ちゃんもスッキリしただろうし、橙子がいない間にけりがついて良かったでしょ」
日野に、橙子がスーツを選んだと話した覚えがないのに見抜かれている。俊樹にいたっては「むしろ感謝して欲しい」と胸を張る始末だ。
このふたりについては、徹たちが別れていないことも、橙子が長期出張中であることも知っている。
知った上での所業なのだ。
単純に、課の誰よりも──徹に言い寄った女よりも──質が悪い。
すでにじゅうぶんすぎるほど楽しませてやったはずだ。
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否応なしに従わせた。
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