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エピローグ

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肌を通る風が冷たい。
木々が色付き始めた宮殿の中庭を一人の男が歩いている。


男は近くの大木の幹にもたれ掛かかり、ため息をつく。浮かない表情をしているこの男は国の常備軍を統べるオレオ騎士団長だ。


オレオ「…はあ」


現在、主君であるアレク王は隣国へ外交に出かけている。留守を預かる立場上、騎士団長の責任は重い。だが、その任務のストレスが彼を追い詰めている訳ではなかった。


オレオ「…はあ」


オレオ「不安だなあ」


オレオ「アレク殿下が外交に出て、まる1日が過ぎた。あと5日は城には戻らない…」


オレオ「不安だなあ(二回目)」


オレオ(アレク殿下、いや、私のラヴァーはモテるんだ…外交先でも数多くの男女に狙われる!)


オレオ(今もこうしているうちに誰かに誘惑されていたらどうしよう…)


オレオ「心配過ぎて…」


オレオ「仕事が…手につかない!」


(その場でヘタりこむ)




オレオ「ああ、恋がこんなに辛いだなんて知らなかった…」


オレオ「今思えば…昔は気楽だったなあ…恋に恋していた頃が懐かしい…」


オレオ「そういえば、思い出した…」


オレオ「例の場所……まだ営業してるかなあ」






ドサッ!


オレオ「痛い…っ!」


オレオ「木の上からなんか落ちてきた!」


草A「イタタタタ…」


オレオ「え!」


草A「…あ!?」


オレオ「草…!」


草A「…いつぞやのお客さん!」



(二人で熱い抱擁)



オレオ「…草!…久しぶり!」


オレオ「ちょうど今あんたの事を思い出してたんだ!」


草A「ほんまでっか!」


オレオ「会いたかった!だって…今…すごく寂しかったんだ……_」


草A「ストップ!……お客さん」


オレオ「…え?」


草A「再来店希望なんですね!おおきに!…でも…実は今、僕にお客さんの期待に答えてあげられる事ができまへん…」


オレオ「…え?」


草A「逃げられたんですわ…うちのエースに…」


オレオ「何…!?」


オレオ「エースって…まさか…!」


草A「はい、テクニシャンですわ…うちの若い衆が独立する言うて、その子も一緒に出ていきはったんや…その後連絡もつながらへんのです…」


オレオ「なんだって!」

 
オレオ「探し出せないのか…!?(動揺)」


草A「スンマセンっ」


オレオ「何を…やってるんだ!アイツだけが唯一の心の拠り所だったのに!(激怒)」


草A「ほんますいません、やからこうして街にスカウトしにきたんです。新しいエースを探しだしたら、お店開けますから!」


オレオ「むむ………仕方ないな…」


草A「そん時は声掛けさして貰います!」


リチャード「団長ーl」


リチャード「団長ー!そこに居たんですね」


草A「おっとそれでは失礼します!」


リチャード「団長ー」


オレオ「あっもう居なくなった…」


オレオ「草A…」


オレオ「お前とは友情が育める気がする…」


リチャード「光栄です!団長!私も団長は友達かなと思ってました!」


オレオ「お前じゃねえよ!」


リチャード「あっ団長!待って下さいよー」


リチャード「ねえっ…待って!…団長!…団長ー!」





遠くで聞こえる部下の声を無視して
オレオは城内へと歩き続ける。

強く風の吹きすさん方向へ

ずっと愛するであろう人を想いながら…




                                     END
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