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生まれた瞬間に決められた人生
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しおりを挟む「いただきます!」
「好き嫌いせずに食べるのよ?」
「う……頑張る……」
元気よく声をあげた後に母からの追撃。
昨日、ピーマンを残したことに対しての言葉なのだろう。今日は何一つ残してはダメよ? という遠回しの注意。
そういう日に限って、苦手な野菜が食卓に並んでいたりするのだから、母はきっと鬼だろう。
さっき角が見えた気がしたし。
黙々と食べている俺を余所に、じいちゃんは食べている途中で箸を置いて立ち上がった。
もぐもぐと口が動いているのが視界に入る。すかさず、母がじいちゃんに怒るが、じいちゃんは素知らぬふりをしていた。これはよくあることである。
食べている途中でじいちゃんはよく席を外す。食事中に動き回るなんて、行儀の悪いことだと教えられている俺からしたら、じいちゃんのこの行動はかなり気になるものだ。
じいちゃんは行儀が悪いということを自覚しているのだろうか? いや、ほぼ毎日と言っていいほど、母に怒られているのだ。そんなこと言われなくても分かっているはず。
じいちゃんがこうして動き回るのは決して無意味な行動ではない。ただ、食事中にすることでもないだろうと思う。前もってやっておけば、母だってこんなに怒らないだろう。
じいちゃんの段取りが悪いと言ってしまえばそれっきりだが。
「今日はこの映像にするか!」
「おじいちゃん、いつも言ってるでしょう。ご飯を食べている時はうろうろしないでって。海が真似したらどうするの?」
「海は頭のいい子だから真似なんてしないだろうよ。なぁ? 海」
「え……」
突然俺に振られても困る。
箸でつまんでいた米をポロッと零しながら、じいちゃんの方へと見やる。
じいちゃんはにこにこ笑いながら、いつもの円盤を取り出していた。
じいちゃんが他に持っている円盤。
あれも、はるか昔に使われていたというもの。名前は忘れてしまったが、あの小さな円盤の中に映像が組み込まれているのだという。
あの円盤だけでは映像を見ることは出来ない。円盤から映像を読み取るのに、特殊な機械を要するのだ。その機械も今となってはかなり珍しく、もうこの世界ではじいちゃんしかもっていないかもしらないという物。
じいちゃんが円盤を機械の中に入れて、機械のボタンを押す。そして、天井に備え付けられている板を引っ張り出した。
この板に円盤の中の映像を送ることによって映し出される。初めて見た時、板の中に人間がいるのか!? とびっくりした。
それもまた特殊な機械ならしく、ただ映像を映し出すだけのものだというのを理解するのに時間がかかった。
「さて……これを見ながらご飯を食べるのが、楽しみってもんよ」
「まったく……そういうのはご飯を食べる前に準備しておいてよね」
ため息混じりに母が呟く。すでに、映像に目を奪われているじいちゃんにはその言葉は届いていないが。
じいちゃんが楽しみにするほどなのだから、きっと面白いものなのだろうと、俺も機会の方へと体を向ける。が、グイッと横から母に引っ張られて定位置へと戻される。
見るならご飯を食べ終わりなさい。という顔でこちらを怒り顔で見ていた。
やばい。また雷が落ちる。それだけは避けなくては。
「ご、ごめんなさい」
とりあえず謝る。
そのあとはご飯をかきこむようにして、平らげた。映像の続きが気になって、ゆっくりご飯を食べるのがもどかしいからだ。
急ぎすぎて喉に詰まらせて、死にそうになったのは言うまでもない。
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