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初の依頼
しおりを挟む「カンカン!カーン!勝負アリ!」
そう言ってベルさんはゴングと金槌を持って宣言してきた。いや持ってるなら使えよ!
「叩くと疲れるんですよねぇ」
「……前に思いっきりぶっ叩いて壊したからだ」
ベルさんの言葉にドロンさんは僕たちコソッと真実を教えた。どれだけ強く叩いたんだ?
「ありがとうございました。チンピラ冒険者さん方!」
「いててて!はやく!はやく!ベルちゃん!話すように言って!」
「あっはい、アイさーん。もう大丈夫ですよー」
『一本くらい……』
「やばいよぉおおお!ボソッと何か聞こえたよぉおおお!」
アイの言葉にヒャッハー男はビクビクし始めた。
「アイやめてあげて」
『了解です』
アイはそう言うとすぐに男から手を離した。
そういえばどうして正面戦闘が出来るんだろう?
すごく慣れた手つきで無力化してたけど。
『ふふふ……やはり戦闘モードは良いですね』
「ちょっと待って僕それ知らない」
毎回思うんだけど、アイは僕が知らないうちに勝手に自分を改造してない?
『まぁ……「俺にしか体をいじらせるな」なんてマスターのエッチ!』
「違うからね⁉︎」
アイが体をクネクネさせる。
やめろやめろ!変なことをしてるように見えるだろ!
「すまんな坊主」
そう言われて声がした方を見ると、さっき僕と戦ったモヒカンがいた。
「怪我をしてねぇか?」
そう言ってモヒカンは僕の体をキョロキョロ見回す。
「大丈夫です」
「それは良かった。ランちゃーん。変身解いてもいいか?」
「良いですよー!」
「変身?」
「見ればわかる」
ベルさんと男のやりとりに僕が首を傾げていると、モヒカン男は姿を変えて、20歳くらいの見た目茶髪男性になった。
『マスター!見た目が変わってますよ!』
アイはその光景に目を丸くした。
「ちょっとした魔法の道具を使うが、俺はこうやって姿を変えれんだよ」
男はそう言って、僕に手を伸ばす。
「さっきはビビらせて悪かったな。ここ銀クラスの冒険者“ヴァン・シュタイン”だ」
「アーク・ミリアムです」
シュタインさんと僕はお互いに握手をして自己紹介をした。
『じゃあもう一人の人も変身ですか⁉︎』
アイはキラキラした顔でもう一人のモヒカンを見る。
「あぁアレは普通にモヒカンなだけだ」
「普通にモヒカン」
なかなかのパワーワードじゃないだろうか?
「いてて……怖かった……めっちゃ怖かった……大丈夫?腕折れてない?一箇所凄い曲がるんだけど」
「そこは関節だ馬鹿」
シュタインさんの近くにモヒカンの人が行き、僕たちの方を見た。
「オレの名前は“ヴァン・エルカ”、シュタインの弟だ」
そう言って頭を下げる。
「アーク・ミリアムです」
『アイです』
「もう二度とアイさんとは戦いたく無いです」
そう言ってシュタインの背中側に回ろうとしているのを見るとどうやらアイはかなりの恐怖を植え付けたようだ。
「さてと自己紹介が終わったところで!」
そう言ってベルさんは手をパンパンと叩く。
「アーク君とアイちゃんはこのヴァン兄弟と一緒に依頼に行ってもらいます!」
『えっ⁉︎そうなんですか⁉︎』
「はい!初めての依頼は簡単な物ですが、依頼の受け方、依頼主との交流、そして報酬の貰い方など!最初の一回は絶対に誰かと受けてもらいます!ちょっと待っててくださいね!」
そう言って一度、受付のところに戻ると今度はドラムを持ち出してきた。
そして、そのままドルルルルルとドラムを打ち出す。
いやそんな演出いらないから!
「お二人の最初の依頼それは」
ドルルルルルル!
「[デデン!]です!」
「『被ってる!』」
ドラムのやつで依頼のやつ全部消えたわ!
「失礼しました!草むしりです!」
『「へっ?」』
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