当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

文字の大きさ
24 / 586
学園1年目

【閑話休題】昼食会後 〜コスモス先輩視点〜

しおりを挟む
「…とんでもねーもん、見ちまった…」

昼食会が終わって、殿下とルースとかいうやつが出てったのを見て…俺は思わず呟いた。

アイリスとかいうやつも言った。

「あんな貧乏伯爵の息子と殿下が…冗談でしょ?」

あんな濃厚なキスを見せつけられて、平気なやつがいたら見てみたい…って…そういや、こいつ…平気そうだったな。

「あー、エルム…様よぅ、あんた、アレ見せられて平気なのかよ」

エルムのやつは言った。

「ええ、別に?」
「…公爵様のご子息は違うねぇ」
「ははは、今の王家がユーフォルビアを欲しがるのは当たり前の事だからね。今更かな」
「……どういうことだ?」
「どうもこうもないさ…ああ、君は知らないんだね、そういえば…伯爵家だものね。
 アイリス君なんか商家だしね…知らないよね」

くくく、とエルムは嗤う。
なんだこいつ…さっきのときとイメージ違うぞ。

「君たちは知らないかもしれないけどね、僕達くらい王家に近い家にはね…ユーフォルビアは「最高の苗床」として知られているんだ」
「なえどこ?」
「よく子どもをはらむ家ってことさ」
「……はっ?」
「言い換えれば多産の家系…アイリス君は、彼を貧乏伯爵と言ったけど、あの家が慎ましいのには理由があるんだよ」
「……えっ?」
「どの代でも常に子どもの数が多いんだ。そして、その子ども全員にレベルの知識や教養と、一人でお腹の子どもを守りきるだけの力をつけさせなくてはならない」
「……?」
「君たちは馬鹿なのかい?学園で最高学年まで学ぶのにいくら掛かるか知らないの?自分が子どもの頃家庭教師はつけていた?じゃあその給料はいくら?
 あそこの慎ましさの理由はね、子どもの教育費が嵩むからさ…援助があって、なお、ね」

エルムのやつはニタリと嘲笑った。

「守る力にしてもそうさ。
 あの家の書庫を見たことがあるかい?貴重な魔法書が王宮図書館なみに揃っている。本に随分お金をかけているよ、そして保管費もね。
 そしてユーフォルビアには魔法に長けた者が多い…彼も魔法を随分使えるらしいけど、子どもを護りきるのに、魔法はとても便利だろうね?」

俺はあまりのことに衝撃を受ける。

「……まさか」
「どうやら本人にも知らされていないんだろうね。
 あの感じだと…ふふふ」

アイリスの奴が…言う。

「…彼は、王家に子宝をもたらす為の…道具?」
「ああ、そんなことを言っちゃいけない。
 ユーフォルビアが多産であるためには、「愛」が大事なんだからね」

何だ急に…愛って…

「愛が大事…って?」
「あはは…愛なんてものがどう役に立つのかは知らないけどね、愛あればこそ「苗床」はその機能を十全に発揮すると言われているんだ」

つまり、こうやって昼食会を開く理由は…

「殿下がルース君の外堀を埋めるためさ。
 僕が、彼は知らないだろうと思う理由はね。
 本人が気づいているなら、普通、こんな昼食会…
 仕切るなんてことすら、しないはずだろ?
 なのにこの会、発案は…彼から、なんだよね。
 ふふふ、どうしてか知らないけど、面白いね」

「そんな!…あいつは、それで…いいのかよ…」

あの1年坊主にそんな背景があったなんて…

「良いも悪いも無いね。
 アルファード殿下は一人っ子…陛下も上王様も一人っ子、三代続けて一人しか生まれていない。
 そして、四代続けて一人しか子どもができない家は…神の怒りを買うと言われている」
「神の、怒り?」
「そう、五代目には一人の子どもも生まれなくなる…即ち、お家の断絶だよ。
 平民や下級貴族なら問題ないけど、王家が断絶なんてことになったら…内乱は確定だろうね」
「……。」
「そんな切羽詰まった国が、この国を含めて12。
 ルース君は十二男…意味、わかるよね?」
「……!」
「あの家のご子息はね、全員が王家に嫁ぐことが決まっているんだよ…生まれる前からね」

何てこった…

「もちろん、それを良く思わない家も国もある。
 ユーフォルビアは伯爵家だ、家柄は決して高くない。そこが12もの国の外戚になる。
 タダではいられないだろうね?
 守ってやらないとって…思わないかい?」

俺は大いに頷いた。

エルムは続けてアイリスにも言う。

「そして、ユーフォルビアが護られて、12もの国と繋がりを持ち続けることになれば…彼を馬鹿にしていられるのも、今のうちだけだろうね?」
「ひっ」

エルムは続けた。

「ユーフォルビアはね、この国の切り札なんだよ。
 我が国が他国に強気に出られるのは、軍事力より経済力より、いざというときにユーフォルビアから子どもを送ってやるという密約があるからさ。
 ああ、そう言えば、十三人目を作れってお達しがあったらしいよ?全く、何人産めば許されるのやら。
 ゼフ殿もロイ殿もお気の毒だね」

そんな、酷い話があるか…!

俺があいつを守ってやる。
そう決めた。
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う

ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。 次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた オチ決定しました〜☺️ ※印はR18です(際どいやつもつけてます) 毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目 凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日) 訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎ 11/24 大変際どかったためR18に移行しました 12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

同室のアイツが俺のシャワータイムを侵略してくるんだが

カシナシ
BL
聞いてくれ。 騎士科学年一位のアイツと、二位の俺は同じ部屋。これまでトラブルなく同居人として、良きライバルとして切磋琢磨してきたのに。 最近のアイツ、俺のシャワー中に絶対入ってくるんだ。しかも振り向けば目も合う。それとなく先に用を済ませるよう言ったり対策もしてみたが、何も効かない。 とうとう直接指摘することにしたけど……? 距離の詰め方おかしい攻め × 女の子が好きなはず?の受け 短編ラブコメです。ふわふわにライトです。 頭空っぽにしてお楽しみください。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

処理中です...