当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園2年目

ダンジョン3日目 その1

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「そろそろ食料もないですし、戻る頃合いですね」

ダンジョン3日目。
ここらがちょうど真ん中になるそうだ。
俺は魔石もだいぶ拾ったので満足だし、2日目に分かれた「スライム研究チーム」のことも気になるので特に反対ではなかったんだけど、コーラス様はもう少し先も見てみたいらしく、トレッドさんも「もうちょっと大きい石も欲しい」とのことで、
話し合いの結果…

「じゃあ、朝のうち進めるだけ奥へ進んで、午後から戻る感じでいきましょうか」

ということになった。
ただ、この先はゴブリン(特定外来種扱い)の目撃情報があり、危険度が引き上げられているらしい。
コーラス様は護衛がいるからいいとして、問題はダグラスさんだよな。
剣の腕前もどのくらいなのか分からないし。
気になるのでクリビアさんに聞いたら、
「冒険者登録のときに試験はしてますから、それなりには戦えると思いますよ!」
とのこと…ほんまか?

「今日も先頭が剣士、後方に魔法使いで」
「うむ、ルース、行くぞ」

というわけで、なぜかまた先頭集団にいる俺。
コーラス様とトレッドさんは後方。
ダグラスさんは…やっぱ、先頭だよな。

「今日は俺たちがルーのこと守るからね」

ディー兄とウィン兄も先頭に来て言う。
いや、俺はいいからダグラスさんを頼みます!

「じゃあ、要り用なものだけ持って行くか。他はここへ置いていこう、身軽なほうがいいからな」
「そうですね!
 どなたか荷物番をお願いできますか?」
「じゃあ、僕が。ルース、僕の分の魔石も頼むよ」
「一人じゃ心配だな…おい、アレク、お前も残れ」
「え~!」

ガーベラ先輩とアレクさんが荷物番になった。
まあ、拳闘士と魔法使いの組み合わせなら安心だな。
昨日アレクさんの戦いを見てたけど…結構思い切りがいいし判断も早いし強いんだ。

「じゃあ出発するか」

本日の探索、スタート!


----------

「おりゃ!」
「とうっ!」

今のところ、完全に俺の出番は無い。
なんせ剣士の数がすごいのだ。
殿下、カレンデュラ親子、ディー兄、ウィン兄、ダグラスさん…。
前衛だけで6人いる。

「このあたりに、魔法しか効かない敵も出るので、それまで温存でお願いします」

とクリビアさんがいうので、その時がくるまで黙々と魔物をバラし、魔石を集める。
結構いいサイズのもある。魔石を入れる袋も重たくなってきた…。
魔法しか効かない敵って、ゴースト系かな?
それとも…

「出たぞ!骸骨兵だ!」
「効くか!?雷撃剣!」ドガン!コロコロ…
「おお、すごいな!一撃か!」
「魔法なら効くって言うからやってみたが、こりゃなかなか…後でジョンに教えてやろう、っと!」
ガン!ガツン!バリバリ!ドゴッ!

…やっぱり出番なさそう。

「乱獲はやめてくださーい、倒すのは襲ってきた魔物だけですよー!」
「おう!」
「トルセン!待て!先に行き過ぎるな!」

先生たちはずんずん先に進む。
戻ってこれるのかこれ…。

それにしても結構な数倒してるなあ。

骸骨兵の魔石って茶色なんだな…じゃあ、土属性?
土だとしたら雷は効きづらいはずなんだけど…まあ、あんだけのパワーでやられたら…死ぬ、よな?

まあいいや!
魔石、魔石っと…あっちい!なんだこれ!
「………?」
嫌な予感がして周りを見ると、魔石同士が共鳴している…まさか…

倒しきれてない!?

落ちている魔石と魔石がくっつき始める。
骸骨たちの残骸が集まっていく。
魔石が合成されてるのか!?
魔石の茶色が徐々に濃くなっていく。

これは…!

「危ない!ルース!」
気づいたみんなが走って来る。
後ろからはおじいちゃん先生が走って来る。
「待って!もう少し!来ちゃだめ!」
「何言ってる!逃げろ!」

逃げるなんてとんでもない!

「おじいちゃん!みんなを足止めして!」
「おお!?クレイウォール!」

土壁が剣士たちの前に出来る。
それと同時ぐらいに魔石が光を発し、その周りを骨が取り囲んで…大きな骸骨の魔物になろうとする。
「魔石の様子が見えないじゃん…くっそ!ウィンドボール!」バキバキ…
魔石周辺の骨を魔法で吹き飛ばしてさらに観察をつづけると、魔石は青い炎を上げながら溶け合うように一つになっていく様子が見えた。
「魔石を溶かして一つにするのか?だとすればかなりの高温…あ!」
地獄の業火グランド・インフェルノくらいの火魔法を凝縮して魔石に与えれば、同じ現象が起きる?
「ルース!死ぬ気か!?」
これを水で冷やせば…ああもう、骨がまた集まってきて見えなくなってきた。
そういえばリリー君が開発したあれ、使えそう…

「自分に結界!からのウォーター!」ドオン!

水蒸気で爆発が起き、骨がもう一度吹き飛ぶ。やっぱかなりの高温だな…でもこれなら地獄の業火グランド・インフェルノほどじゃなくてもいけるかも。
ヘヴィさんに頼まなくて済むならそれに越したことはない…っと、確認は後だな、土壁が崩れてきてるし、みんな心配してるし、この辺で観察終了だ。

「ルース!」

「ウォーターアロー最大!」ドバン!「からのウィンドボール大!」ゴォォォ…「からのトルネード!」ギュルギュルギュル…。

骨がそこらじゅうに散ったら困るから、トルネードで集めとこ。そういえばこの骨、スライムの餌にならないかな…持って帰ってあげようっと。
俺は振り返って、みんなの足止めをしてくれたおじいちゃん先生にお礼を言った。

「先生、ありがとうございます。
 さっきの、魔石の錬成のヒントになりそうです」
「お、おお…それを知りたいがために?」
「まあ、そうです」
「危ないじゃろ!!」
「いや、今日はここまで温存してたし、やれる自信はありましたから…っと」

大きな茶色の魔石を拾う。色も上々。
これはおじいちゃんの研究室にあげよう…
あそこ土属性の研究室だからね、こう見えて。

しかし、ちょっと一気に魔法使いすぎたかな…。
目が回ってきた。う~ん。

「ルース!」

おじいちゃん先生が俺の体を抱きとめてくれる。
この感じ、なんか殿下に似てる…ような…?

「この、魔石…おじいちゃんの…研究室に」
「しっかりせんか!」



そんな、死ぬんじゃないんだから、大げさな…

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