当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園4年目

港町での混乱

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5日目の早朝、港に船がついた。
モロー君ちの船もついたようだ。
すぐに荷物を抱えて船を降りる。
迎えの馬車がもう来ている…はず…

「…何かあったんですかね?」
「何だろうな、妙に騒がしいな」

気になって港にいた兵隊さんに尋ねてみると、昨日の午後に事件が起きたのだという。

「砂漠から、得体の知れないものが現れたのです」
「…はい?」
「見張り番によると、10歳くらいの子どもの大きさで、急にモコモコと湧き出して歩き出し…
 あ、今は動かないんですが」
「動かないんですか?」
「はい、新しい魔物ではないかと…」
「新しい魔物!!」

その言葉にソラン先輩とビスカリア教授が超反応した。

「すぐ、見に行きましょう!」
「我々、こう見えても魔生物の専門家でして、何か分かることがあるやもしれません!」

それならば…と港の衛兵さんが、その場所に俺たちを案内してくれるという。
俺たちは荷物を全部セリンセ商会に丸投げして、すぐに馬車に乗り込み出発した。

「何なんだ、次から次へと…」
「問題はミミズだけで結構じゃと言うのに」

案内されたのは、街の門から出て少し行った砂漠の端。
そこにあったのは…

「…ゴーレム?」

あの前世の超有名RPGで見たやつが、そこにいた。

***

ゴーレムは、俺が近づいて触ろうとするとサラサラと崩れた。
崩れた中から出てきたのは…

「サンドワームをおびき寄せる用の魔道具…?」
「この魔道具の魔石が歌に反応したんですかね」
「船の上からここまで飛んだのか?魔力が!?」

ビスカリア教授が驚きの声を上げる。
そりゃそうだ、あの時はまだ港も見えていなかったんだもんな。

「つまり、昨日見えた街はここだったのか…」

俺の呟きに、カート君が目敏く反応した。

「えっ、これ、ルースさんの仕業なんですか!?」
「いや…どうなんだろ、俺だけの魔力ってわけじゃないと思うけど」

ルディ君とエルさまとベルガモット教授の魔力もあってこそだろう。
とはいえ、ちょっと気が遠くなるくらいには俺も魔力使ってるけど…。

「ああ…これとルースの能力が合わさるならありうるか」
「はいっ!?」

ネリネ教授曰く、この魔道具は土の魔力を放出させるように出来ているものだから、細い魔力でも拾えたんじゃないかとのこと。
後から追いついてきたセリンセ商会の人たちも言う。

「これ、おびき寄せたい場所に設置するタイプだから…街外れで兵士のいる場所にあったんだな」
「それで出てきた瞬間に見つかった…ってことか」

うん?
ここで聞いちゃいけない人の声がしたような…

「やっぱりルースはめちゃくちゃだね」
「魔力量もさることながら、魔力操作能力はトップクラスですもんね」

…この声は、まさか…。
恐る恐る声がした方を見ると、そこには…

「…あーーー!!」
「あっ、しまった…もうバレちゃった」
「イドラ君!?ガーベラ先輩!!」


2人は俺たちを見まわしてから…


「「来ちゃった☆」」

と、見事なハモり具合で言った。

***

「ともあれ、ゴーレムの作り方は分かりましたね」
「だな、こりゃ失われて当然だな…」
「作るのに必要な条件が多すぎたってことか」

今回の事を踏まえて馬車の中で議論した結果、ゴーレムを作るのに必要なのは

・歌が上手い魔法使い3人
 ※しかも高声・中声・低声で1人ずつ
・魔力操作が上手い魔法使い1人
 ※蒸気機関の仕組みを理解している事
 ※歌からイメージを導き出せる感受性がある事
 ※ゴーレムの姿をイメージできている事
・土属性の魔石1つ
 ※込められている魔力量が多ければ尚良し

という、人材集めに苦労しそうな条件だった。

「やっぱこの踊ってる人、操る人だったんですね」
「じゃあこの記述は…まさか作るために揃えるもののことでも書いてあるのか?」
「まさかメモ書きだったりしねえだろうな…」
「早いとこ解読しましょう!」

古代魔法チームは早くもやる気を出して解読を始めた。

「歌が良ければ、魔力操作の人は楽なのかな」
「少なくともイメージを導きやすくはなるだろう。
 グロリオサ卿が荷が重いと言うなら代わろう」
「それなら是非とも…お願い致します」
「じゃ、じゃあ僕も、エル王子に…」
「駄目ですよ、エルさまは攻撃部隊にいてくれないと困るんですから」
「ぐ…ぐふぅ…」

と歌のチームは少々編成を変えて練習を行うことになり、

「ですから蒸気機関というのはですね…」
「ううむ、絵だけでは何とも…」
「駄目だ、さっぱりだ…」
「実際の物を見ることは出来んかのう…」

ゴーレム操作係は誰が適任か分からないまま、とりあえず残された全員が蒸気機関について学ぶことになった。

「いっそルースが体術をやったほうが…」
「……現実的とは言えんな」
「ひどい!!」

俺だってイメトレは人一倍やってんだぞ!
身体がついていかないだけで!!
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