当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園5年目

久々のダンジョン 3

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一日目は結局、何の戦闘もなく過ぎた。
予定よりも随分早くキャンプ予定地に着いたので、俺は殿下とソラン先輩と一緒に周囲の様子を軽くうかがってみる事にした。

まずはさっき通ってきたルート…鬱蒼と茂る木々と崩れかけの壁がトンネルのようになった通路を少し戻ってみる。
魔物を驚かさないようにそろそろと歩くと、にゅりにゅりと壁の隙間や穴ポコからスライムが出てくるのが見えた。
上を見ると、カサカサ!と何かが隠れる音…

「お前の魔力を恐れているんじゃないか?」
「殿下の殺気じゃないですかね」
「まあまあ、どっちもどっちですよ。
 ちゃんと魔物いたんですね、良かった」

フゥ…どうやら気のせいだったようだ。

「明日からの進路も確認してみますか?」
「そうだね、念の為に見ておこうか」

キャンプ予定地まで戻って、明日進む予定の通路をこれまた3人でそろそろと歩く。

「湿度は保たれてるね、大丈夫」
「コケや草なんかも生えてますしね、これなら…あっ、ダンジョン内の薬草採取もするんだった…忘れてた」
「ミミズが増えていることは無さそうか」
「ええ、は適度な数に抑えられているものと思われます」
「つまり穴ごと丸焼きにするのが一番効率が良いということか…」
「ダンジョンごと灰にならなければ、ですね」

地獄の業火グランドインフェルノがもう少し範囲を限定して使えれば…

「ちょっと地獄の業火グランドインフェルノか…出来る気がしないな」
「ヘヴィさんに相談してみたら?
 ヘザーさんが生活魔法の論文出してるから、「ちょっとシリーズ」に興味は持ってると思うよ」
「そうですかね?じゃあちょっと聞いてみよう…」

それにしても、魔物いないな…
キャンプ張ってるとこの近くだからかな。

まあ、明日になったら分かるでしょ!

***

そんなこんなで3日目。

「今日も出ませんね…」
「やはり警戒されているのではないか?
 一昨年、大暴れしたからな」
「そういえばそうでしたね…」
「やりすぎちゃったのかしら…」

一昨年一緒にダンジョンに潜ったメンバーはエルさまの言葉にちょっと反省したのか視線を明後日の方向に向ける。
行程も半分を過ぎたのにほんとに一匹も出ない…
無茶苦茶不安なんだけど。

ミミズは出なくてももっと恐ろしいものが出そう…

「おう、ここから別の方向に向かうぞ~」
「はーい」
「こっち…ここの穴から、抜けるんだ」
「こんなところに…よく見つけたな!」

ベルガモット教授は興味津々でその穴を見つめる。
ビスカリア教授はちょっとドヤ顔をしている。
ソラン先輩が心配そうに言う。

「僕、通りますかね…」
「いけるいける…多分」
「多分!?」
「お前の父さんも通れたんだからさ」
「何の参考にもなりませんよ!?」

そういえばこの穴を見つけたのってビスカリア教授とソラン先輩のお父さんなんだっけ…
そういえばお父さんの姿を見た事ないな。
今年あたりご挨拶には来られるだろうと思うんだけど…ほら、息子さんが側室になるわけだから?

「さてと、ゴーレム実験用の穴も探しつつ、進むか」
「都合よく開いてれば良いんですけどね…」
「まあ、無ければそこの通路に空いているのを利用すれば良いじゃろ」

俺たちは順番に穴を潜ってダンジョンマップの外側へと足を踏み入れた…。
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