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学園6年目
案の定発熱 ~アルファード視点~
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招待制学術交流会が終わったその日、
ルースは案の定熱を出して寝込んだ。
「うー…頭痛い」
「頑張りすぎだ、少しは休め」
「うう…はい、ゴホゴホ」
今回はどうも風邪ひきらしい。
寝不足のうえに厨房でぎりぎりまで手土産のマフィンを作って汗をかいたまま寒空の下新年会に出席すれば、そうなるのは目に見えていると思うのだが。
「来年の手土産は外注にしろ」
「うー…、でも、俺が招待して…友達、だし…」
「な・ら・ん」
「すみませ…ずずっ」
まったく、風邪では手も出せんではないか。
さっさと治って貰わねば…。
「そういえば、薬学の2人はまだ居たな?」
「そうれす…後宮の裏庭に薬草畑を作るって…」
「風邪に効く薬が無いか聞いてくる。
大人しく寝ていろ、いいな」
「うう、でも、色々読む物が」
「な・ら・ん」
「あい…」
まったく、何のために側室がいると思っているんだ。
あれは正室の仕事を分散させるためにあるのだぞ?
さっさと分担を決めて周知させねばならん。
「今のうちに決めてしまうか…」
俺もやる事をやらねば、愛想をつかされてしまうな。
さっさとやってしまうか…ふむ。
「しかし、まずは薬学のを探すのが先だ」
さてと、後宮の裏庭…ということは、やつらは王宮に泊まっているのだろうか?
「それにしても、庭に畑…とは?」
研究熱心な事だ…と言って、良いのだろうか。
***
後宮の裏庭に回ってみるとそこに薬学の2人がいた。
2人は庭の木々の間に縄を張り、畑の計画を練っているようだった。
気が付く様子の無い2人に声を掛ける。
「ブレティラ教授、スキルラ助手」
「これは、殿下!…今日はお一人で?」
「残念ながらな」
そう言うと2人は顔を見合わせ、頷き合い…
意を決したように教授の方が言った。
「とんでもありません。
殿下がお一人になられるのを待っておりました」
「…なぜだ?」
そう聞くと、助手のほうがそっとピンク色の小瓶を差し出してきた。
「何だ、これは」
「カメリア王家に伝わる秘薬でございます」
「…何?」
と、いう事は…これは、媚薬…!?
「私共、カメリア城に潜入致しまして、そこで宮廷薬師の方と仲良くなりまして…少しだけ分けて頂きました」
「でかした」
「有難きお言葉」
勝手についてきて居なくなったと思ったら、そんな所に…潜入の手腕が上がってきたな。
「その方に、駄目で元々と思いつつもこの秘薬の調合について尋ねてみたのです」
「なるほど?」
「残念ながら、今はこの薬をローズで調合することは叶いません。
材料がこちらに無いのです…カメリアでも王家が管理する森にしか生えていない薬草が元だそうでして」
「ほう」
「それで、その薬草をこちらでもわんちゃん育てられないかと思いまして…ここに、種を蒔こうかと」
そう言って教授の方が小さい紙袋に入った種を見せた。
「その種…いくらかかった」
「10万程でございます、それ以上は誤魔化しが効かぬからと」
「10万か…分かった、20万出そう」
「えっ…!良いのですか!?」
「うむ、こっちの薬の方の代金もあろう?
上手く育てばさらに80万、計100万。
その上で薬が完成すれば初年度は1本10万…
その次の年からは毎年薬が出来上がった時点で、価格は両者の話し合いにより決定する、というのはどうだ」
「ははっ…有難き幸せ!!」
さすがにこれを商取引で真正面からは無理だろう。
一応、媚薬の類は法で禁じられているからな。
まあ後宮の事ならどうとでもなる……
ふふふ。
あ、いかん。
大事な事を忘れていた。
「そうだ、お前たち。
風邪に効く薬は調合できるか?」
「ええ、症状に合わせて調合致しますが、どのような?」
「熱・鼻水・せきだな」
「典型的な風邪ですね…誰かからうつされたので?」
「いや、冷えただけだろう。
汗をかいたまま外での宴に出たりするからだ」
「あ、あー…なるほど」
「後ほど離れへお持ち致します、お待ちを…
行くぞ、シーマ!」
「はい、教授!」
そういうと2人はサササ…と最小限の足音で王宮薬草園のほうへ消えた。
「…まるで影だな」
彼らのうちどちらがこれから学園に残るのかこっちへ来るのかは分からんが…
いや、薬学の授業なら代わりもいるし、両方引き抜くのもアリか。
「…ふむ」
俺はそのまま離れへと戻り…
眠っているルースに気付かれないように、ベッド下の小箱へそっとピンクの小瓶をしまった。
ルースは案の定熱を出して寝込んだ。
「うー…頭痛い」
「頑張りすぎだ、少しは休め」
「うう…はい、ゴホゴホ」
今回はどうも風邪ひきらしい。
寝不足のうえに厨房でぎりぎりまで手土産のマフィンを作って汗をかいたまま寒空の下新年会に出席すれば、そうなるのは目に見えていると思うのだが。
「来年の手土産は外注にしろ」
「うー…、でも、俺が招待して…友達、だし…」
「な・ら・ん」
「すみませ…ずずっ」
まったく、風邪では手も出せんではないか。
さっさと治って貰わねば…。
「そういえば、薬学の2人はまだ居たな?」
「そうれす…後宮の裏庭に薬草畑を作るって…」
「風邪に効く薬が無いか聞いてくる。
大人しく寝ていろ、いいな」
「うう、でも、色々読む物が」
「な・ら・ん」
「あい…」
まったく、何のために側室がいると思っているんだ。
あれは正室の仕事を分散させるためにあるのだぞ?
さっさと分担を決めて周知させねばならん。
「今のうちに決めてしまうか…」
俺もやる事をやらねば、愛想をつかされてしまうな。
さっさとやってしまうか…ふむ。
「しかし、まずは薬学のを探すのが先だ」
さてと、後宮の裏庭…ということは、やつらは王宮に泊まっているのだろうか?
「それにしても、庭に畑…とは?」
研究熱心な事だ…と言って、良いのだろうか。
***
後宮の裏庭に回ってみるとそこに薬学の2人がいた。
2人は庭の木々の間に縄を張り、畑の計画を練っているようだった。
気が付く様子の無い2人に声を掛ける。
「ブレティラ教授、スキルラ助手」
「これは、殿下!…今日はお一人で?」
「残念ながらな」
そう言うと2人は顔を見合わせ、頷き合い…
意を決したように教授の方が言った。
「とんでもありません。
殿下がお一人になられるのを待っておりました」
「…なぜだ?」
そう聞くと、助手のほうがそっとピンク色の小瓶を差し出してきた。
「何だ、これは」
「カメリア王家に伝わる秘薬でございます」
「…何?」
と、いう事は…これは、媚薬…!?
「私共、カメリア城に潜入致しまして、そこで宮廷薬師の方と仲良くなりまして…少しだけ分けて頂きました」
「でかした」
「有難きお言葉」
勝手についてきて居なくなったと思ったら、そんな所に…潜入の手腕が上がってきたな。
「その方に、駄目で元々と思いつつもこの秘薬の調合について尋ねてみたのです」
「なるほど?」
「残念ながら、今はこの薬をローズで調合することは叶いません。
材料がこちらに無いのです…カメリアでも王家が管理する森にしか生えていない薬草が元だそうでして」
「ほう」
「それで、その薬草をこちらでもわんちゃん育てられないかと思いまして…ここに、種を蒔こうかと」
そう言って教授の方が小さい紙袋に入った種を見せた。
「その種…いくらかかった」
「10万程でございます、それ以上は誤魔化しが効かぬからと」
「10万か…分かった、20万出そう」
「えっ…!良いのですか!?」
「うむ、こっちの薬の方の代金もあろう?
上手く育てばさらに80万、計100万。
その上で薬が完成すれば初年度は1本10万…
その次の年からは毎年薬が出来上がった時点で、価格は両者の話し合いにより決定する、というのはどうだ」
「ははっ…有難き幸せ!!」
さすがにこれを商取引で真正面からは無理だろう。
一応、媚薬の類は法で禁じられているからな。
まあ後宮の事ならどうとでもなる……
ふふふ。
あ、いかん。
大事な事を忘れていた。
「そうだ、お前たち。
風邪に効く薬は調合できるか?」
「ええ、症状に合わせて調合致しますが、どのような?」
「熱・鼻水・せきだな」
「典型的な風邪ですね…誰かからうつされたので?」
「いや、冷えただけだろう。
汗をかいたまま外での宴に出たりするからだ」
「あ、あー…なるほど」
「後ほど離れへお持ち致します、お待ちを…
行くぞ、シーマ!」
「はい、教授!」
そういうと2人はサササ…と最小限の足音で王宮薬草園のほうへ消えた。
「…まるで影だな」
彼らのうちどちらがこれから学園に残るのかこっちへ来るのかは分からんが…
いや、薬学の授業なら代わりもいるし、両方引き抜くのもアリか。
「…ふむ」
俺はそのまま離れへと戻り…
眠っているルースに気付かれないように、ベッド下の小箱へそっとピンクの小瓶をしまった。
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