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あの人は今
元主治医とカール伯父さん 1 ~カール視点~
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夕食の時間。
いつもは僕の世話をしてくれる執事と食べるのだけど、今日僕の前に座っているのは顔見知りの近衛騎士だ。
「カール殿、本日は執事が来られませんので、私がご一緒してもよろしいですか?」
「あ、うん…はい」
何かあったのだろうか。
そういえば今日補佐局でルースが懐妊したと聞いたから、その事で何かあったのかもしれない。
執事が僕に与える情報は、常に厳選されている。
それは、僕に負担を掛けないように、と考えられた結果なのだと思うんだけど……。
畏れ多くも国王陛下直々の治療に文句はない。
辛い出来事を突発的に思い出して苦しくなることも、悪夢を見る事もない。
そのおかげで少しずつ僕は料理が美味しいと思えるようになったし、楽しい話を聞いて笑えるようになった。
だけど、まだ腫れ物に触るような扱いは続いていて、それが少し寂しい。
もうだいぶ良くなったと思うのに…
子どもを1人しか産めなかった事にも、もう悲しみや辛さを感じたりはしないのにな。
「ルースの子ども…」
「カール殿、ご存知だったのですか」
「はい、今日補佐局で…産まれて来るまでは秘密だと言われましたが」
僕にチョコチョコと補佐局あたりの情報をくれるのはジュリとミゼだ。
ダグもライトも仕事でいなかった時、たまたま時間があった2人とお茶をしてから仲良くなった。
彼らは僕が酷い男の元から生きて戻った事を「ラッキーだ」と言ってくれた。
そして今もちゃんと生きてるのがすごいって…
変態貴族に身も心も踏みにじられて死んでしまう子なんかいっぱいいるんだって…
だから、心を助けられる方法を探すのに協力している僕を応援してくれるんだって。
聞けば2人とも元男娼なんだそうだ。
ラッキーにラッキーを重ねて補佐局に入ったからには、色街やスラムで不幸に沈んでいる人を少しでも救いたいんだと言っていた。
目標が高くて素晴らしいと思う。
だから僕も、過去に囚われずに頑張るって決めた。
だから僕は、誰かの妊娠で傷ついたりしない。
いや、少しは良いなって思ってしまうけど…。
僕は心のモヤモヤを振り払うように言った。
「無事に産まれてくると良いね!」
「ええ、きっと大丈夫ですよ。
ところでカール殿、明日ご予定はありますか?」
「いえ、特には……」
「良かった、なら一緒に街へ出掛けませんか」
「えっ?」
それって、僕とこの騎士さんの2人だけで…?
「もう夏になりますし、今お持ちのお洋服だけでは足りないでしょう?
それに、たまには外でお昼を食べたり、流行りのコーヒーショップでケーキやショコラを摘んだり…
最新の王都散策を一緒に楽しみませんか?」
「は…、あ、えっと……」
これって、街デートのお誘い……?
「では、明日お部屋まで迎えに参りますね。
カール殿、コーヒーを飲んだことは?」
「い、いえ……ありません」
「そうですか…ふふ、楽しみにしていてください」
騎士さんは、当日は身分を隠すため自分をヴァレリと呼んで欲しいと言って、少しお酒を飲みながらヴァレリと呼ぶ練習をしたりして……
そして、当日は私もヴァレリ殿から呼び捨てで呼ばれるのだ。
初めてのデート……
何だかドキドキしてきた。
いつもは僕の世話をしてくれる執事と食べるのだけど、今日僕の前に座っているのは顔見知りの近衛騎士だ。
「カール殿、本日は執事が来られませんので、私がご一緒してもよろしいですか?」
「あ、うん…はい」
何かあったのだろうか。
そういえば今日補佐局でルースが懐妊したと聞いたから、その事で何かあったのかもしれない。
執事が僕に与える情報は、常に厳選されている。
それは、僕に負担を掛けないように、と考えられた結果なのだと思うんだけど……。
畏れ多くも国王陛下直々の治療に文句はない。
辛い出来事を突発的に思い出して苦しくなることも、悪夢を見る事もない。
そのおかげで少しずつ僕は料理が美味しいと思えるようになったし、楽しい話を聞いて笑えるようになった。
だけど、まだ腫れ物に触るような扱いは続いていて、それが少し寂しい。
もうだいぶ良くなったと思うのに…
子どもを1人しか産めなかった事にも、もう悲しみや辛さを感じたりはしないのにな。
「ルースの子ども…」
「カール殿、ご存知だったのですか」
「はい、今日補佐局で…産まれて来るまでは秘密だと言われましたが」
僕にチョコチョコと補佐局あたりの情報をくれるのはジュリとミゼだ。
ダグもライトも仕事でいなかった時、たまたま時間があった2人とお茶をしてから仲良くなった。
彼らは僕が酷い男の元から生きて戻った事を「ラッキーだ」と言ってくれた。
そして今もちゃんと生きてるのがすごいって…
変態貴族に身も心も踏みにじられて死んでしまう子なんかいっぱいいるんだって…
だから、心を助けられる方法を探すのに協力している僕を応援してくれるんだって。
聞けば2人とも元男娼なんだそうだ。
ラッキーにラッキーを重ねて補佐局に入ったからには、色街やスラムで不幸に沈んでいる人を少しでも救いたいんだと言っていた。
目標が高くて素晴らしいと思う。
だから僕も、過去に囚われずに頑張るって決めた。
だから僕は、誰かの妊娠で傷ついたりしない。
いや、少しは良いなって思ってしまうけど…。
僕は心のモヤモヤを振り払うように言った。
「無事に産まれてくると良いね!」
「ええ、きっと大丈夫ですよ。
ところでカール殿、明日ご予定はありますか?」
「いえ、特には……」
「良かった、なら一緒に街へ出掛けませんか」
「えっ?」
それって、僕とこの騎士さんの2人だけで…?
「もう夏になりますし、今お持ちのお洋服だけでは足りないでしょう?
それに、たまには外でお昼を食べたり、流行りのコーヒーショップでケーキやショコラを摘んだり…
最新の王都散策を一緒に楽しみませんか?」
「は…、あ、えっと……」
これって、街デートのお誘い……?
「では、明日お部屋まで迎えに参りますね。
カール殿、コーヒーを飲んだことは?」
「い、いえ……ありません」
「そうですか…ふふ、楽しみにしていてください」
騎士さんは、当日は身分を隠すため自分をヴァレリと呼んで欲しいと言って、少しお酒を飲みながらヴァレリと呼ぶ練習をしたりして……
そして、当日は私もヴァレリ殿から呼び捨てで呼ばれるのだ。
初めてのデート……
何だかドキドキしてきた。
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