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あの人は今
元主治医とカール伯父さん 3 ~カール視点~
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ヴァレリ殿とデートをした2日後。
いつもの診察で、陛下が僕にお尋ねになった。
「カール殿、ヴァレリとのデートは楽しかった?」
「ええと…まあ、はい」
「何か買ったり食べたりしたかな?」
「はい、夏服が安くなっていたので、それと、コーヒーというのを初めて飲みました」
「コーヒーか!苦くは無かった?」
「はい、砂糖とミルクを入れたのを頂きました」
「そう…美味しかった?」
「香ばしくて、紅茶より癖があるというか…ですが、美味しかったです」
「もし気に入ったのなら、補佐局の前にカフェがあるだろう?
あそこで飲めるから、行ってみるといいよ」
「へえ…そうだったんですね」
続けて陛下が質問なされる。
「王都を歩いてみて、どうだった?
しんどくなったりはしなかったかい?」
「その、人が沢山ですから、目が回るようでした…
あれもこれも、一日では回り切れないくらいで」
そうかそうか、と陛下は笑いながら頷く。
きっと王都の華やかな場所にも慣れているんだろうな…
デートだっていっぱいしてるに違いない。
陛下は僕にまたお尋ねになる。
「また街へ行ってみようと思うかい?」
「はい、ヴァレリ殿が「今度は食べ歩きデートしましょう」と誘ってくださって…」
「ヴァレリと一緒が、楽しいかい?」
「ええ…まあ、そうですね」
街歩きデート。
海沿いの診療所で、主治医の先生とも一度約束したな。
でも歩くリハビリが終わってからは手のリハビリが始まって、街へ行く話はいつの間にか無くなって…
「でも、そのお誘いも、社交辞令かもしれませんし、ヴァレリ殿にはご迷惑なのかも…」
「誘ってもらってその気になってしまう自分が嫌?」
「…誘ったり誘われたりに慣れている方なら、こんな気持ちにならないのだろうなと思って」
「そうだね、慣れていない者にとって、約束と社交辞令を見分けるのは困難だ」
「約束だと思わない方が…良いのは、分かるのです、でも…」
どうして、誘いを本気にしたらいけないのだろう。
誘いと約束は違うなんて、そんなの…分からない。
陛下はさらに僕にお尋ねになる。
「もしヴァレリ以外の他の誰かに誘われたら、どうする?」
「ええと、街へ行けるなら別にどの方でも…」
「ヴァレリの誘いもあるのに?」
「でもヴァレリ殿と恋仲になった訳ではありませんし、いつとも決まっていません」
すると陛下が仰った。
「そう、多分そういう事だよ」
「えっ」
「日にちが決まっていない事は、約束ではなく社交辞令なんだよ」
「あ、ああ…なるほど!」
そういえばあの時も、先生は「歩けるようになったら行こう」と言っただけで、日にちまでは言わなかった。
だからあれは社交辞令…
「約束しましょう」と言われても、本気にしてはいけなかったんだ。
そっか、僕、勘違いしてたんだ。
それで、彼の言葉に舞い上がって…
本気になって。
「そう、か…そうですよね」
そもそも自分より若い子を好きになるなんて、どうかしてた。
僕らユーフォルビアは、年上に輿入れするのが普通なのに。
ため息をつく僕。
それを見て陛下は仰る。
「ところでカール殿。
今、誰かの事を考えているでしょう?」
「えっ…なぜお分かりに…」
「ふふ、魔法だよ…と言いたいところだけど、僕は色々と情報を持っているからね、気づくのさ」
「は、はあ」
「…君がいた診療所からの報告は、主治医や看護師からのものだけではない。
お父上があなたに付けた護衛からも、報告が上がっている」
「…えっ」
前国王様が色々と便宜を図って下さったのは知っている。
だけど護衛なんて知らない。
知らない所に付いているんだよ、と陛下は笑っていうけど、何だか申し訳ない気持ちになる。
しょんぼりと下をむいた僕に、陛下はお声がけくださる。
「あなたの主治医が変わったのも、護衛からの報告が発端なんだよ」
「そ…う、だったん、ですか」
「最初の主治医は、治療方針が合わなそうだというのが理由。
次の主治医は下心が見えるのが理由だ」
し、下心……?
社交辞令ばかりじゃなかったって事?
僕は混乱した。
陛下は続けた。
「そこで質問なんだけどね。
その主治医君と会えるとしたら、会ってみたいかい?」
「えっ…」
「彼ね、君との約束を果たしたいんだって言って、王宮に来てるんだ」
「えっ」
どうしよう。
僕、彼と会うべきなんだろうか…?
いつもの診察で、陛下が僕にお尋ねになった。
「カール殿、ヴァレリとのデートは楽しかった?」
「ええと…まあ、はい」
「何か買ったり食べたりしたかな?」
「はい、夏服が安くなっていたので、それと、コーヒーというのを初めて飲みました」
「コーヒーか!苦くは無かった?」
「はい、砂糖とミルクを入れたのを頂きました」
「そう…美味しかった?」
「香ばしくて、紅茶より癖があるというか…ですが、美味しかったです」
「もし気に入ったのなら、補佐局の前にカフェがあるだろう?
あそこで飲めるから、行ってみるといいよ」
「へえ…そうだったんですね」
続けて陛下が質問なされる。
「王都を歩いてみて、どうだった?
しんどくなったりはしなかったかい?」
「その、人が沢山ですから、目が回るようでした…
あれもこれも、一日では回り切れないくらいで」
そうかそうか、と陛下は笑いながら頷く。
きっと王都の華やかな場所にも慣れているんだろうな…
デートだっていっぱいしてるに違いない。
陛下は僕にまたお尋ねになる。
「また街へ行ってみようと思うかい?」
「はい、ヴァレリ殿が「今度は食べ歩きデートしましょう」と誘ってくださって…」
「ヴァレリと一緒が、楽しいかい?」
「ええ…まあ、そうですね」
街歩きデート。
海沿いの診療所で、主治医の先生とも一度約束したな。
でも歩くリハビリが終わってからは手のリハビリが始まって、街へ行く話はいつの間にか無くなって…
「でも、そのお誘いも、社交辞令かもしれませんし、ヴァレリ殿にはご迷惑なのかも…」
「誘ってもらってその気になってしまう自分が嫌?」
「…誘ったり誘われたりに慣れている方なら、こんな気持ちにならないのだろうなと思って」
「そうだね、慣れていない者にとって、約束と社交辞令を見分けるのは困難だ」
「約束だと思わない方が…良いのは、分かるのです、でも…」
どうして、誘いを本気にしたらいけないのだろう。
誘いと約束は違うなんて、そんなの…分からない。
陛下はさらに僕にお尋ねになる。
「もしヴァレリ以外の他の誰かに誘われたら、どうする?」
「ええと、街へ行けるなら別にどの方でも…」
「ヴァレリの誘いもあるのに?」
「でもヴァレリ殿と恋仲になった訳ではありませんし、いつとも決まっていません」
すると陛下が仰った。
「そう、多分そういう事だよ」
「えっ」
「日にちが決まっていない事は、約束ではなく社交辞令なんだよ」
「あ、ああ…なるほど!」
そういえばあの時も、先生は「歩けるようになったら行こう」と言っただけで、日にちまでは言わなかった。
だからあれは社交辞令…
「約束しましょう」と言われても、本気にしてはいけなかったんだ。
そっか、僕、勘違いしてたんだ。
それで、彼の言葉に舞い上がって…
本気になって。
「そう、か…そうですよね」
そもそも自分より若い子を好きになるなんて、どうかしてた。
僕らユーフォルビアは、年上に輿入れするのが普通なのに。
ため息をつく僕。
それを見て陛下は仰る。
「ところでカール殿。
今、誰かの事を考えているでしょう?」
「えっ…なぜお分かりに…」
「ふふ、魔法だよ…と言いたいところだけど、僕は色々と情報を持っているからね、気づくのさ」
「は、はあ」
「…君がいた診療所からの報告は、主治医や看護師からのものだけではない。
お父上があなたに付けた護衛からも、報告が上がっている」
「…えっ」
前国王様が色々と便宜を図って下さったのは知っている。
だけど護衛なんて知らない。
知らない所に付いているんだよ、と陛下は笑っていうけど、何だか申し訳ない気持ちになる。
しょんぼりと下をむいた僕に、陛下はお声がけくださる。
「あなたの主治医が変わったのも、護衛からの報告が発端なんだよ」
「そ…う、だったん、ですか」
「最初の主治医は、治療方針が合わなそうだというのが理由。
次の主治医は下心が見えるのが理由だ」
し、下心……?
社交辞令ばかりじゃなかったって事?
僕は混乱した。
陛下は続けた。
「そこで質問なんだけどね。
その主治医君と会えるとしたら、会ってみたいかい?」
「えっ…」
「彼ね、君との約束を果たしたいんだって言って、王宮に来てるんだ」
「えっ」
どうしよう。
僕、彼と会うべきなんだろうか…?
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