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猟師と青年 1

青年、砦にて悲報を知る

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あれから1ヶ月。
ロウさんのとこから薪を持って帰ってきた日の夕方、砦の食堂で、上官が沈痛な面持ちでみんなに告げた。

「トーリ王国との最初の「戦闘」は、奴らの卑劣な手により、我が軍に多大な犠牲が出ることとなった。
よって、次の「戦闘」では、必ずや勝利を収め、我々は彼らの無念を晴らさねばならない」

出た出た、勝つまでやれば負けはない、ってやつ。

「今回の被害は、大将以下、下士官まで生死は不明」

死んだってことね。

「同行した第2皇太子殿下も、十数名の領軍ともに行方不明となった。」

えっ?

食堂内がざわつく。
第2皇太子といえば、あの北の猟犬を束ねてる化物…
歳を取らず若いままの、死の妖精…
そして、みんなの視線がおれに集まる。

「ソラ、お前は斥候として前線へ行き、第2皇太子殿下の行方を追え」

「…はい」

「お前も元は北の猟犬、その鼻で殿下を探し当てることくらい出来るだろう。
 また領軍は、独自の判断で殿下と同行したとのことではあるが、今までの功績を鑑み、捜索の対象とする」

「…はい」

まさか、帝国のやつら、カラス君を一人で戦に参加させようとしたのか?何の為に?

そりゃ、心配で、みんなついて行くよな。
なら、カラス君は、きっと生きてる…はず。

見つけ出して、助けなきゃ。
一体誰にどんな目に合わされてるか…
くそっ。

上官はまだ何かしゃべることがあるらしい。
とりあえず聞くことにする。

「お前は光栄にも、皇都騎士団と同行することになる。失礼なことのないよう努めろ。第2皇太子殿下、及び領軍を発見次第、生死に関わらず、騎士団に報告するように。以上」

皇都騎士団って、あの「我々は帝国臣民でござい」みたいな、あの集団?
散々おれらを犬扱いして小馬鹿にしてきたあいつらと?

最悪…。

「解散」

ボヤボヤしてる場合じゃない。
ロウさんに、明日から小屋へは行けないって、言わなくちゃ。
おれは、砦を抜け出して、いつも荷馬車を引いてくれる馬に飛び乗った。

「ロウさんとこに、行こう」

日暮れがせまる。
急がなきゃ。
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