【完結】ざまぁは待ってちゃ始まらない!

紫蘇

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本気のざまぁを見せてやる!

王子様は、心置きなく結婚したい 6

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「ロンバードが地竜を倒した」

そう報告が上がってきた時、皆が驚愕した。

部下の箒に乗せられて帰ってきたギゼル殿は複雑な面持ちで、

「そう、ロンバードは…竜殺しに、なった」

と言った。
死体はすでに魔術塔に回収したそうだ。
竜の死骸は端から端まで使える。
竜玉が何個出るか分からないが、そこそこ大きな個体らしい。
バラす前に1度見に来い、だそうだ。

「竜玉も他の部位パーツも、ロンバードに権利がある。
 あの子に竜を弔う時間をやってくれ。
 竜の素材で出来た道具は、国のものになるとしても」
「……ああ、勿論だ」

俺たちも父上もただギゼルのいう事に頷くしか無かった。
それほど衝撃だったのだ。

ロンバードが、「殺した」という事が。

冗談でも「死ね」と言った事の無いロンバードが。
相手が罰を受けるのが嫌だからと、自分がどんな目に合っても黙っているロンバードが。
食材になった生き物の為に、食事の前に必ず手を合わせるロンバードが…


竜という生き物を、殺したのだ。
ロンバード自身の手で…。


報告に拠れば、同行した三人の護衛に村人の避難を頼んで、一人で囮になった後の事だという。
残りの二人…連絡係の魔術師は、先触れを出しに次に行く予定の村へ出かけており、もう1人の護衛は馬の世話と馬車の整備でその場に居なかったそうだ。

同行した護衛は全員が、辞表を提出してきた。
そりゃまあ…そうだろうな。

ロンバードの判断がどれほど正しくても…
守るべき対象に守られてしまったら、自分の存在意義に疑念を抱かざるを得まい。

ギゼル殿を送って行った弟のグウェンが、何とか説得してくれたらしいが…。


そうして俺たちが何を言って良いのか分からず黙り込んでいると、ギゼル殿が思い出したように言った。

「ああ、それと北の石碑の件、ロンバードから『金継ぎ』の要領でどうかっていう提案があった。
 それなら村にある物で一旦は対処出来そうだ。
 ただ物が物だけに、早急に新しいのを作ったほうがいい。
 悪いがあれと同じ大きさの石を手配して欲しい」

そうだ、国として1番大事な事を忘れていた。
オーセン国民を守る広域結界を維持するための石碑に異常が見つかったのだ。
人為的なものかどうかはまだ判別が付かないという事だが、結界の石を配置してからあの石が壊れるような天災が起きたことはない。

人為的なものだとしたら…
完全に、反乱目的だろう。

ため息をつきながら、メルバが言った。

「改革の残滓ってやつかなぁ…?」

二度と表舞台に出てこられないようにしてあげたのが良くなかったのかな~?
と反省している様な、していない様な発言をする。

父上が言う。

「言われてみれば、そろそろ年期が明けた連中もいる頃ではあるな」

父に続いてメルバとギゼルが喋る。

「あーもう、全っっ然更生出来てないじゃん!
 やっぱ裸で森に放置しとくのが正解だったんじゃないの?」
「だからそれは、魔物に人肉の味を覚えさせる事になるから駄目だって言っただろメルバ」
「それは、うーーん…まあ確かに、善悪で味は変わらないだろうけどさ」
「むしろブクブク肥え太ってる悪人の方が、脂っこくて嫌かもしれん…」
「最近油身駄目になってきたもんねぇ、ギゼルも」

この2人の話は時として物騒だ。
この両親からどうしてあんな優しすぎる子どもが産まれたのか…
オーセンの大いなる謎だと思う。

父上がため息をつく。

「大きなゴミを処分するのに必死で、小さなゴミは適当になってしまったからな」
「人も足りなかったしね~」
「だが昔の事を悔やんでも仕方がありますまい。
 ところで、陛下。
 犯人を見つけた場合、生死は気にされるか?」

ギゼル殿がさらに物騒な事を言う。
これが見得でも強がりでもないのが困る。
魔物の大増殖と大改革を最前線で乗り越えてきた人間に、そんなものは必要ないと分かってはいるが…。

同じく二つの大事件を乗り越えてきた父が言う。

「いや、なるべく捕まえる方向で頼む」
「ああ『なるべく』……かしこまった」
「駄目だよギゼル!
 もう臨月なんだから大人しくしてないと…」

メルバのいう事も尤もだ。
そろそろ大人しくしていて貰わないと、こっちの作戦が台無しになりそうだしな。

「…ともかく、石碑の損壊は人の手によるもの、という事で間違いないですか」
「ああ…自然現象でそうなったんなら、ロンバードがもうそれを見抜いているはずだ。
 あの子の事だ、犯人がいると思いたくない一心で人の作為を否定する根拠を必死に探したろうから」
「そうですか…手段はやはり、魔法で?」
「十中八九」

…やっぱり魔法、か。
それ以外やはり、考えられない…だろうな。

「魔法それ自体にこれ程悩まされるか…」
「人には過ぎた力ではあるからな」

魔法を持つ者、持たない者。
この国を二分する、旧来からの問題は…

未だに決着を見ていない。



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