【完結】ざまぁは待ってちゃ始まらない!

紫蘇

文字の大きさ
187 / 218
向かえ!大団円

連行される俺

しおりを挟む
東へ進路を取って、ほんの5分程だった。

「…鳥?」

一羽の鳥…キュナスという魔物が、俺の横を並走飛行し始めた。
キュナスは魔物の中でも大人しい部類で、大きさは鳩ぐらいの非常によく見る魔物だ。
ほぼ「鳥」といって差し支えない。

そのキュナスが、一羽…また一羽と、俺に並走し始めた。
何か俺にして欲しい事があるのかな…と考えながら一緒に飛んでいると、さらに一羽のガルーダがやってきて、俺を追い越して群れの先頭に立った。

ガルーダはそこそこ危険な鳥だ。
ボディが少し人間っぽくて、キュナスの10倍ほどの大きさで、きりもみ回転で鋭い羽根とカマイタチを飛ばして攻撃してくるし突撃もしてくる。

「クォーーン」

そのガルーダはまるで俺に「ついて来い」と言うように一鳴きし、飛ぶ速度を上げた。
ついて行っていいものか迷う…

「そっちに何かあるの?」
「キューイ」
「俺に何か用があるの?」
「キューイ」

人間の言葉が分かるのかは謎だが、とりあえず問いかけには答えてくれる…
という事は「敵意が無い」という事なんじゃないだろうか?

俺はさらに意思疎通を図れるかガルーダに言ってみた。

「そろそろみんなが心配するからさぁ、帰ってもいいかなぁ」
「ブブー」
「暗くなるから、帰りたいんだけど」
「ブブー」

どうやら人間の言葉を理解しているらしい。
いや、理解できる個体らしい…と言っておこう。
全部のガルーダがこうなのか分からんしな。

「クォーーン」
「はいはい、着いて行けばいいのね?」
「キューイ」
「早めに帰してね」
「ブキュー」
「どっちの返事なのそれは…」

とにかく、行ってみるしかない。
俺は黙ってガルーダの後ろを飛び続ける。
日が沈んで辺りは暗くなってきたけど、仕方ない。

だって、全員殺して帰るなんて出来ないもん。

「ねえまだ飛ぶの?」
「ブブー」
「そろそろつくの?」
「キューイ」

どうやらそろそろ目的地らしい。
「キューイ」がYESで「ブブー」がNOなら、だけど…。


******


…どうしよう。
俺、とんでもない事に巻き込まれたのかもしれない。

そう思ったのは、ガルーダに付いて地面に降りた直後だった。

《よく来てくれましたね、人の子よ》
《妻よ、こいつは我が兄を倒した男の息子だぞ!》

ガルーダの案内で、連れて来られたのは森の中に開いた大きな縦穴だった。
さすがにこの深さの穴には飛び込めないな…と思っていたら、ガルーダにポイと突き落とされて…
必死で何とか着地して。

そしたらさ…
目の前にさ…
竜がいるのよ…
しかも、7頭いるのよ…
希少な種族じゃなかったんか?

《希少だとも!お前の父親のせいで、一人減ったしな》
「はっ、申し訳ありませんっっ!!」


今、竜に、頭の中に直接語り掛けられている。

《あなた……今はどうか我慢して》
《兄は死んだが俺は死なんぞ!》
《我慢しろっつってんだろうが!!》
《ハイッスイマセン》

そう、竜。
東の竜、最も竜らしい竜。
そして人間と意思疎通を図れる個体…

いや、2人分聞こえるしな…
東の竜は人とお話できるのがデフォなんかな。
ところで、親父がこの竜のお兄さんを倒したって…まじ?

《まじだぞ!まあ兄貴も悪いんだ、当時ちょっと荒れてて、人間は皆殺しだ~!!って言ってたしサ…》
《旦那は少し黙っていなさい》
《ハイッスイマセン》

どうやら俺の頭の中も多少覗ける模様。
そして奥様に頭が上がらない旦那様…
竜って仲良し夫婦なんだな。

しかし、どう思考したものを読み取ってどう思考したものは読み取らないのかが分からん。
ここは思い切って声を掛けてみよう…

「そのー…お、奥様?ご用件をお伺…」
《そう!あなた、卵に回復魔法をかけたのよね?》
「えっ、えー…あ、あの、南東の…」

どうやら、鳥の魔物の卵に回復魔法をかけてから返した話がここまで伝わっているらしい。
そういえばあの後の卵は無事に孵ったのかな…
いや、さすがにまだ生まれるには早い…

《どの卵も、みんなとても元気よ。
 順調に育ってるわ、親元から随分長い時間引き離されていたのに…ね》
「本当ですか!?…良かったぁあ~~!」

奥様竜からお聞きするに、どうやら卵にも回復魔法は一定の効果があったらしい。
治癒じゃなくて回復を選んで良かった…

《だから私の卵にも、お願いしたいの》
「えっ…卵?何かあったんですか!?」
《この前から、少し元気が無いの…》
「すぐ見せてください!!」

どうやら、奥様の卵に何かあったらしい。
これほど大きな魔物が次世代を育てられないと、何か良くない事が起きる気がする…!

「俺にどこまでの事ができるか分かりません。
 でも、全力でやってみます…!」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

処理中です...