リバース!

渡里あずま

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リバース!1

憧れの君1

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「突然、告白してごめん。驚かせちゃったよね……でも、友達から始めるとかも、ダメかな?」



「いや、からって言うか女同士で友達より先はないし!」
「面倒な奴に好かれたな」
「うっ……」

 昼休みの学食で。
 昨日の晴香さん(名前で呼ぶよう言われた)からの告白を思い出し、ついついツッコミを入れていたら、一緒に昼飯を食べていた椿に(俺は弁当でこいつは味噌ラーメン)そう言われた。
 いや、まあ、晴香さんのことは言った……と言うか、白状させられたんだけどな?
 今朝、学校に来る時に椿に「何があった」と言われた。
 言葉だけだと質問とも取れるが、語尾にはハテナマークなんてなかった。
 そんな訳はないんだが、こいつはポモナみたいに人の心が読めるんじゃないかって思う。

「告白されるなんて、日常茶飯事だろうが」
「いや、今まで野郎ばっかりだったし……女の子、しかも、あんな美人なんて初めてだし」

 そこまで言って恥ずかしくなり、俺はごまかすようにおふくろが作ってくれた唐揚げを口に入れた。
 そう、見た目はってか性別は女だけどやっぱり俺、男なんだよ……あ、着替えの時とかにハアハアするって意味じゃないぜ?
 ただ、俺は男を恋愛対象として見ることは出来ない。キスとかそれ以上とか、考えただけでゾッとする。
 だからって、女の子とつき合うつもりは勿論、ないが――ただ、転生前は魔力無しの落ちこぼれだったから。そういう意味でも『女の子からの告白』は初めてなんだ。

「面倒なのは、性格だけじゃない」
「……えっ?」

 ラーメンを食べ終わった椿が、ボソリと呟く。
 それに弁当を食べる手を止めて、俺は首を傾げた。

「辰巳晴香は、あの辰巳グループ社長の一人娘だ。しかも成績優秀でスポーツ万能。去年、入学した外部生だが男女共に人気があって、次期生徒会長と噂されている」
「って、詳しいな。椿」
「これくらい、誰でも知ってる……と言うか、お前が疎すぎるだけだ」

 辰巳グループは、レストランやレジャー施設なんかで有名な大企業だ。
 晴香さんが、そこの社長令嬢だとは――感心する俺に、椿が呆れたようにため息をついた。仕方ないだろ、俺は自分のことでいっぱいいっぱいなんだから。

「完璧だな、天は二物も三物も与えたんだな」
「……お前もだろ?」

 まあ、確かにめがみに色々祝福されてるけどな?

「まあ、そんな奴がお前の親父さんの漫画を読んでたのは意外だがな」
「確かにそうだな」

 椿の言葉に俺は頷いた。
 親父は確かに少女漫画家だが、漫画を載せている雑誌は小学生から中学生向けだ。まあ、昔からある雑誌なんで母子で読まれてたりもするらしいが。

「僕だって、漫画くらい読むよ……って言っても、陸谷先生のだけだけど」

 そんな俺達の会話に突然、割り込んできた声。
 驚いて顔を上げた俺の前には、にっこり笑う晴香さんがいた。
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