続・異世界温泉であったかどんぶりごはん

渡里あずま

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共同戦線

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「あの方にも、解っているんです……でも、どうしても異世界の料理が……過去が、忘れられないのでしょう。そんな時、異世界の料理を作れる料理人が現れたら……さぞ、喜んだと思います」

 そこで一旦、言葉を切ってフェリシアは話を続けた。

「ですが……いくら嬉しかったからと言って、同意を得ずに他国の民を連れてくるのは……平民だとしても、許されないことです。ただ、家臣達は気にしませんし、私も……元平民なのと、ハオ様の気持ちが解るだけに強く言えなくて……出来る限り、叶えてあげたくて」

 フェリシアの『本当に』言いたいことについて、理解は出来た。
 それこそハオやグルナのような転生者や、恵理のような転移者がいなければ、ハオの夢は――異世界の料理を再現し、広めることは叶わない。だからこそ、恵理にハオの事情を話してハオの暴走を止めるのもだが、グルナや恵理に協力してもほしいのだろう。
 しかし、理解出来ることと納得出来ることは違う。

「異世界が……過去が忘れられないのは、私もグルナも同じです。だからこそ、記憶の中の料理を作り出した訳ですし」
「じゃあ」
「だけど」

 恵理の言葉に、フェリシアの水色の目が期待に輝くが、恵理はそう制して話の先を続けた。

「レシピや材料は渡せても、グルナは渡せません……少なくとも、断ったグルナを無視して連れてきた今の状態だと、連れて帰る以外はありません」
「そ、れは」
「……ただ、王子と話はします。今の話を聞いたら、王子が納得しない限りはまたグルナが連れ去られそうですし……今回のことがなければ、こっちも欲しいものがあったから出来る限りは交渉しようと思ってたんですよ? まず、王子とケリをつけて。話は、それからです」
「十分です!」

 結果はともかく話をする『だけ』で良さそうなのと、フェリシア曰く同郷者のよしみで彼女の頼みを全部ではないが受けることにした。

「店長!」
「エリ様」
「お待たせ。話は終わったから、行きましょう? あ、グルナのいる場所は教えて……」
「私が、連れていきます」
「姫様!?」

 そんな恵理に、黙って成り行きを見守っていたレアンとミリアムが声をかけてくる。安心させるように答えると、フェリシアがそう言ってきた。思った以上に、恩に感じてくれたらしい。
 正直、恵理達だけで動くよりは手伝って貰う方が助かると思ったが当然、忠臣ルォシーが黙っている訳はなく。けれど、愛する夫の為になりたいフェリシアが退く訳もない。

「落ち着いて、ルォシー? こちらの頼みを聞いて貰うのだから、私も出来る限りは協力するわ……という訳で、あなたにもお願いがあるの」

 にこにこ、にこにこ。
 見た目は可愛らしいが、その笑顔には断れない圧があり――しばしの沈黙の後、ルォシーは「……は、い」と渋々だが頷いたのだった。
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