続・異世界温泉であったかどんぶりごはん

渡里あずま

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それぞれの主張

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 日本の小説や漫画では、異世界転生や異世界転移する前に神と会って、己の役割を告げられることがあった。恵理は転生ではなく転移だが、フィクションの世界ではその場合でも異世界に到着する前と神と会っていた。
 だから同じ日本から来たグルナに会った時、恵理はこっそり聞いたのだが。

「小説や漫画とは違うのよ。グルナも、そして私も特に神様には会ってない……あなたも、そうでしょう?」
「っ!」
「だったら、自分の役割は自分で決めて良いと思うけど……人の役に立ちたい。ここまでは良いわ? でも、グルナの同意を得ずに連れ去るのは違うし、私が泣き寝入りする義理もない」
「……グルナは、美味しい料理を作ってくれた!」
「そりゃあ、料理人だもの。ニゲルの食材や調味料も、興味があったでしょうし……でも、グルナはニゲルでも帝都でもなくロッコで店を開いたし、美味しい料理を振る舞ってロッコやロッコに来た人達に提供したの。それはグルナが、ロッコを選んでくれたってことだと思う……んだけど」

 ハオの主張は解る。美味しい異世界料理を振る舞われたら、自分が特別になった気がするのだ。初めてグルナの料理を食べた時、恵理も同じ気持ちになったのでよく解る。
 しかし帝都で嫌がらせを受けたせいでもあるが、何せ水田まで作ったくらいだからグルナはロッコにこだわり、あるいは思い入れがあると思われる。ただ、今更だがグルナから直接聞いたことがなかった気がして、最後はついそう言って問いかけるようにグルナを見た。
 そんな恵理に頷き、グルナが笑ってハオに言った。いや、しっかりキッパリと断りを入れた。

「美味そうに食べてくれたのは、嬉しかった。ありがとうな……だけど俺は故郷が、ロッコが好きなんだ。店も一人で回してるから、ニゲルにずっと残ることは出来ない」
「あんな、小さな店……っ、ニゲルでなら王宮で料理の腕を振るうことも、王室御用達として大きな店を得ることも!」
「小さくて、悪かったな……じゃあ王子は、美味い飯を食わせるし家も用意するからロッコに来いって言ったら来るのかよ?」
「それとこれとは、別だっ」
「同じだよ。俺にとってはな」

 子供のように癇癪を起こすハオに、同じく子供に言い聞かせるようにグルナが言う。
 一方、グルナがロッコを選んでくれたことが嬉しくて、頬が緩まないようにグルナの手を握る手に力を込めながら恵理もハオに負けじと声を上げた。

「食材やレシピは、可能な限り提供する。だから、グルナは返して貰うわ!」
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