43 / 45
ただいまとお帰りと
しおりを挟む
「ティート、ただいま!」
「女神! お帰りなさいっ」
朝食後、穏やかに――と言うか、創世神が馬車まで転移させてくれた(と言うか朝食を食べ、別れの挨拶をした途端、馬車にいて驚いた)ので、本当にこっそりと恵理達は王城を後にすることが出来た。
そして来た時同様、交代で馬車を走らせて恵理達は無事、グリエスクード辺境伯領に辿り着いた。
ミリアムの魔法の小鳥を使って、ティートには事前に戻ることを伝えていた。だから出迎えられるとは思っていたが、十日以上離れるのは久しぶりだったので、こうして会えてホッとした。グルナもいるし、無事に戻って来られたのだと実感した。
「……ただいま」
「はい、お帰りなさい」
小さな声で、もう一度言った恵理にティートが笑って頷いてくれる。
「女神の知恵とレギン師の匠の技のおかげで、居酒屋の設備は充実しました! どうか、見てやって下さい」
「本当!? 楽しみっ……グルナ、皆! 行きましょうっ」
そしてティートが弾んだ声でそう言ったのに、恵理も思わずはしゃいだ声を上げ――グルナ達を振り向いてそう言うと、ティートに促されるまま居酒屋の辺境伯領支店へと向かった。
※
レギンが超特急(ボイラーを作るのに数日、徹夜もしたらしい)で工事をしたので、何とすでにロッコのどんぶり店で実装されている換気扇もボイラーも完成していた。まずは換気扇におぉ、と内心感心しながら、今はまだ誰もいない支店の中へと入る。
「元々、浴槽に入れたお湯や洗った時に出る水などを流すのに二階に排水溝はあったんです。今回は魔道具を取り付け、そこからお湯や水を出す為の水道を浴槽まで伸ばしました」
魔道具のスイッチを入れると、火の魔石が動いて水がお湯になる。まずはこの支店とレギンの自宅で使ってみて、問題が無ければアレクサンドラの住む城にも取り付け、いずれは一般家庭まで普及する予定らしい。
早速、魔道具のスイッチを入れ、蛇口を捻ってみる。
しばらくすると水が温まり、熱いお湯となって蛇口から出てきた。イメージした通りのボイラーに、恵理もだがグルナも目を輝かせる。
「すごいな! ってかボイラー、城ではなかったけどニゲルでも使えないか?」
「どうなのかしら? まあ、城では人力が求められる場合もあるけど……今度、手紙送って聞いてみましょうか」
「鳥で、送れる」
「そうね。ミリーにお願いしようかしら」
「……そんなやり取りをするくらい、仲良くなったんですか?」
グルナが戻ってきたので、和解したとは思っていたが――ティートが目にしたのは、グルナを連れ去ったところまでだ。だから普通に話をしている恵理とグルナに、ついそんな疑問が口から出た。
そんなティートに、恵理が更に追い打ちをかける。
「仲良くって言うか、利害の一致? あ、リウッツィ商会にニゲルの食材や調味料の購入と、アスファル帝国やアジュールの食材や調味料をハオ王子に売って欲しいんだけど」
「……そんなやり取りをするくらい、仲良くなったんですか? まあ、やりますね。細かい打ち合わせは、追々で」
「ほぼ即答すごいな」
恵理の言葉に多少の動揺(同じ台詞が出たので)はあるものの、あっさりと答えるティートに対してグルナが言い、レアン達もうんうんと頷いた。
「女神! お帰りなさいっ」
朝食後、穏やかに――と言うか、創世神が馬車まで転移させてくれた(と言うか朝食を食べ、別れの挨拶をした途端、馬車にいて驚いた)ので、本当にこっそりと恵理達は王城を後にすることが出来た。
そして来た時同様、交代で馬車を走らせて恵理達は無事、グリエスクード辺境伯領に辿り着いた。
ミリアムの魔法の小鳥を使って、ティートには事前に戻ることを伝えていた。だから出迎えられるとは思っていたが、十日以上離れるのは久しぶりだったので、こうして会えてホッとした。グルナもいるし、無事に戻って来られたのだと実感した。
「……ただいま」
「はい、お帰りなさい」
小さな声で、もう一度言った恵理にティートが笑って頷いてくれる。
「女神の知恵とレギン師の匠の技のおかげで、居酒屋の設備は充実しました! どうか、見てやって下さい」
「本当!? 楽しみっ……グルナ、皆! 行きましょうっ」
そしてティートが弾んだ声でそう言ったのに、恵理も思わずはしゃいだ声を上げ――グルナ達を振り向いてそう言うと、ティートに促されるまま居酒屋の辺境伯領支店へと向かった。
※
レギンが超特急(ボイラーを作るのに数日、徹夜もしたらしい)で工事をしたので、何とすでにロッコのどんぶり店で実装されている換気扇もボイラーも完成していた。まずは換気扇におぉ、と内心感心しながら、今はまだ誰もいない支店の中へと入る。
「元々、浴槽に入れたお湯や洗った時に出る水などを流すのに二階に排水溝はあったんです。今回は魔道具を取り付け、そこからお湯や水を出す為の水道を浴槽まで伸ばしました」
魔道具のスイッチを入れると、火の魔石が動いて水がお湯になる。まずはこの支店とレギンの自宅で使ってみて、問題が無ければアレクサンドラの住む城にも取り付け、いずれは一般家庭まで普及する予定らしい。
早速、魔道具のスイッチを入れ、蛇口を捻ってみる。
しばらくすると水が温まり、熱いお湯となって蛇口から出てきた。イメージした通りのボイラーに、恵理もだがグルナも目を輝かせる。
「すごいな! ってかボイラー、城ではなかったけどニゲルでも使えないか?」
「どうなのかしら? まあ、城では人力が求められる場合もあるけど……今度、手紙送って聞いてみましょうか」
「鳥で、送れる」
「そうね。ミリーにお願いしようかしら」
「……そんなやり取りをするくらい、仲良くなったんですか?」
グルナが戻ってきたので、和解したとは思っていたが――ティートが目にしたのは、グルナを連れ去ったところまでだ。だから普通に話をしている恵理とグルナに、ついそんな疑問が口から出た。
そんなティートに、恵理が更に追い打ちをかける。
「仲良くって言うか、利害の一致? あ、リウッツィ商会にニゲルの食材や調味料の購入と、アスファル帝国やアジュールの食材や調味料をハオ王子に売って欲しいんだけど」
「……そんなやり取りをするくらい、仲良くなったんですか? まあ、やりますね。細かい打ち合わせは、追々で」
「ほぼ即答すごいな」
恵理の言葉に多少の動揺(同じ台詞が出たので)はあるものの、あっさりと答えるティートに対してグルナが言い、レアン達もうんうんと頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
没落港の整備士男爵 ~「構造解析」スキルで古代設備を修理(レストア)したら、大陸一の物流拠点になり、王家も公爵家も頭が上がらなくなった件~
namisan
ファンタジー
大陸の南西端に位置するベルナ子爵領。
かつては貿易で栄えたこの港町も、今は見る影もない。
海底には土砂が堆積して大型船は入港できず、倉庫街は老朽化し、特産品もない。借金まみれの父と、諦めきった家臣たち。そこにあるのは、緩やかな「死」だけだった。
そんな没落寸前の領地の嫡男、アレン(16歳)に転生した主人公には、前世の記憶があった。
それは、日本で港湾管理者兼エンジニアとして働き、現場で散った「整備士」としての知識。
そして、彼にはもう一つ、この世界で目覚めた特異な能力があった。
対象の構造や欠陥、魔力の流れが設計図のように視えるスキル――【構造解析】。
「壊れているなら、直せばいい。詰まっているなら、通せばいい」
アレンは錆びついた古代の「浚渫(しゅんせつ)ゴーレム」を修理して港を深く掘り直し、魔導冷却庫を「熱交換の最適化」で復活させて、腐るだけだった魚を「最高級の輸出品」へと変えていく。
ドケチな家令ガルシアと予算を巡って戦い、荒くれ者の港湾長ゲンと共に泥にまみれ、没落商会の女主人メリッサと手を組んで販路を開拓する。
やがてその港には、陸・海・空の物流革命が巻き起こる。
揺れない「サスペンション馬車」が貴族の移動を変え、「鮮度抜群の魚介グルメ」が王族の胃袋を掴み、気性の荒いワイバーンを手懐けた「空輸便」が世界を結ぶ。
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる