続・異世界温泉であったかどんぶりごはん

渡里あずま

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これからについてと、帰りたかった場所

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 この後、恵理達はロッコに帰り、一緒に戻ったティートは今度、どんぶり屋を頼んできた料理人達を連れてまた辺境伯領へ来ることになる。その後はニゲルとの商いも入るので、またしばらくティートはロッコへは戻らない。
 そんな訳で彼を労う為に恵理はティートに許可を取り、居酒屋の厨房を使って魯肉飯ルーローハンと、多めに作っていた豚角煮まんとを共に振る舞った。見た目に反して、彼は肉が大好きなのでとても美味しそうに豚肉を頬張っていた。
 ちなみにティートの現在の役職は、帝都以外の支店長である。
 つまり、ニゲルの担当もまたティートになるのだが──最初は彼が挨拶等済ませるとしても、普段は商会の別の者に頼むと言い出した。確かに、ニゲルまでではオーバーワークになると思ったが。

「商売相手としては臨むところですが、人として王子とは合わないと思います」
「えっ?」
「今は違うかもしれませんが、最初は女神のことを下に見ていた訳ですからね。あっ、仕事はちゃんとしますよ? 有能な者に任せますので、ご安心下さい」
「え、ええ」

 にっこり笑って言われてしまえば、恵理としては頷くしかない。
 単に、恵理を馬鹿にされた私怨だった。自分の作れるのはただの家庭料理であり、グルナはれっきとした料理人で和洋中作れるので、彼を欲しがったハオの気持ちはよく解るのだが──ティートは、納得しないだろう。と言うか、人への好き嫌いに対して下手に口出しするべきではない。しかも、その理由が恵理自身なら尚更だ。

(と言うか見た目とか、思い込んだら一直線な辺り、王子とティートって似てるから……むしろ、無理に近づかない方がいいかも)

 個性や特徴が似ていると嫌なところまで似てしまい、過剰に反応して嫌悪してしまう場合がある。勿論、仲良くなれる場合もあるが、それはお互いが決めて歩み寄った上でだ。

(仲良くなるか、あくまでも仕事のみの関係になるかは、二人次第よね)

 そう声に出さずに呟いて、恵理は食べ終えた食器を洗うことにした。
 そして、レギンにボイラーや換気扇を作ってくれたお礼を言いに行った後(引き留められるのを振り切って)恵理達は辺境伯領を後にした。
 ……強行軍だが、一日でも早くロッコへと帰りたかったからだ。



 馬車の中で、恵理はグルナと話をした。魯肉飯(ルーローハン)は恵理が、茶碗蒸しはグルナが作るとして、豚角煮まんをどちらが作るかについてである。とは言え、これはすぐに話がついた。

「グルナが作る、口の中で溶けるくらい柔らかい豚角煮まんが食べたいわ」
「任せろ!」

 恵理のおねだりに、グルナは即答した。チョロいとレアン達一同は思ったが、確かにほぼ彼が作った豚角煮まんは美味しかったので、思うだけで口にはしなかった。
 とは言え、角煮を作るのに手間暇時間がかかるので、毎日ではなくグルナの店の定休日に作って翌日一日限定で発売することにした。

 ちなみにミリアムの魔法の鳥でティートが部下を連れ、食材や調味料を用意してニゲルに行くことを伝えるとロッコにつく前にハオからの手紙が届いた。何かリクエストでもあるのかと思って読んでみて、恵理はその手紙をグルナへと渡した。口で伝えるより直接、読んで貰った方が早いと思ったからである。

「何々? 冬に雪で商会が来なくなるのは寂しいから……転移魔法を使うか、蒸気機関車を走らせるの、どっちがいい?」
「……早速、突っ走り出したみたいね」
「だなぁ……俺としては、異世界を走る蒸気機関車は見たいけど。そうなると、国同士の話になって時間がかかるだろうから……まずは荷物をアイテムボックスに入れて、転移魔法かな」
「ヴェロニカ様から、殿下に話をしますね」
「お願いね、ティート」

 そんな話をしているうちに、恵理達が乗った馬車がロッコへと到着する。

「店長さん、お帰りなさいっ」
「グルナ! よく帰ってきたな!」

 馬車を降りたところで、大浴場の従業員であるドリスや、グルナの店の常連客から声がかかる。
 自分達を迎えてくれた温かい声に、恵理とグルナは満面の笑みで応えたのだった。

「「ただいまっ!」」
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