灰かぶり君

渡里あずま

文字の大きさ
11 / 96

遭遇と画策と予想外と1

しおりを挟む
 真白は、方向音痴だ。数日後に控えてる、新歓(一茶によると、王道学園物らしく『鬼ごっこ』らしい)が不安になるくらい、方向音痴だ。
(外に出てないといいんだけど)
 食堂を出てすぐ、校舎一階に向かう廊下と階段がある。足が早いのは知ってるが、姿が見えないとなると階段を上がったんだろうか?
 そこまで考えて、俺は携帯電話を取り出した。
 そして、真白に電話すると――二コールで出て、ちょっと驚いた。

『もしもし、谷!?』
「真白、今どこにいる?」
『えーと……三階!』
「……早いな。理事長室にでも、行く気だったのか?」
『違う! オレはただ、屋上にでもって……でも、ここだと屋上って無いよな』

 話しながら気づいたのか、電話で顔が見えないのにしょんぼりとしているのが解った。
(確かに、上二階が特別フロアだからな……今までも、何かあると屋上行ってたのかな?)
 煙と何とかは、高いところが好きで――馬鹿な子程可愛いって言葉もある。

「一緒に、教室戻らないか。今、二階行くから」
『……おう! 待ち合わせだなっ』

 途端に、真白の声が嬉しそうに声が弾む。単純だな、と思いつつ電話を切ると――待っていたかのようなタイミングで、声がかけられた。いや、ようにじゃなく待ってたんだろうけど。

「スルーか? おれとは、口もきけないって?」

 黒髪に、金のメッシュ。お坊ちゃま校の生徒とは思えない着崩しぶりと威圧感。そして何より美形っぷりに、廊下にいたのは気づいてたけど俺は無視を決め込んでいた。
 顔だけなら文句無しのSクラスだけど、この感じだと――Fクラス、不良クラスの生徒の可能性が高い。口調とか雰囲気からして、一匹狼って言うよりは不良のリーダー系か?

「いいえ。お手数おかけしたら、申し訳ないと思っただけです。失礼します」
「おれが怖いか?」

 そう言って、一歩踏み出そうとしたけど止められた。ったく、どうせなら真白に絡んで足止めしてくれりゃあ良かったのに。

「怖がるようなこと、されていません」
「何だ。見た目なんて気にしないってか?」
「まさか。見た目は大事ですよ」

 即座に答えたら、軽く目を見張られた。
 だけど、ガン見されたままだから――ちゃんと答えないと、解放してくれないか。仕方ない。
 第一印象は大事だ。それこそ今朝みたいに、悪印象を持たれたら始まるものも始まらない。

「大事ですけど……相手のことなんてある程度、やり取りしないと解りません。だからあなたのことも、会ったばかりなんで判断出来ません」

 だって俺、エスパーとかじゃないし。有名なのかもしれないけど、転校生だからこの人のこと知らないし。
 ……逆に言えば生徒会とか、あと真白。
 見た目じゃないとか、本当の自分を見てくれたとか思うのって――相当、見た目がコンプレックスって言うか、振り回されてるんじゃないのかな? だから、求めてるものが同じだから惹かれたんじゃないかと思う。
 そんな訳で目の前の、見た目について口にしたこの人も真白と仲良くやれるって思ったんだけど。
(っと、真白待ってるよな)

「失礼します」
「……おれは、安来刃金あきはがね。お前は?」
「北見真白」
「それは、さっきの毬藻の名前だよな?」
「……谷出灰、です」

 ちっ、覚えてたか――渋々答えて、一礼する。
 そしてもう会わないことを祈りながら、今度こそ階段を駆け上がった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪の策士のうまくいかなかった計画

迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。 今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。 そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。 これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに?? 王子は跪き、俺に向かって言った。 「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。 そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。 「ずっと好きだった」と。 …………どうなってるんだ?

君が僕を好きなことを知ってる

大天使ミコエル
BL
【完結】 ある日、亮太が友人から聞かされたのは、話したこともないクラスメイトの礼央が亮太を嫌っているという話だった。 けど、話してみると違和感がある。 これは、嫌っているっていうより……。 どうやら、れおくんは、俺のことが好きらしい。 ほのぼの青春BLです。 ◇◇◇◇◇ 全100話+あとがき ◇◇◇◇◇

天の求婚

紅林
BL
太平天帝国では5年ほど前から第一天子と第二天子によって帝位継承争いが勃発していた。 主人公、新田大貴子爵は第二天子派として広く活動していた亡き父の跡を継いで一年前に子爵家を継いだ。しかし、フィラデルフィア合衆国との講和条約を取り付けた第一天子の功績が認められ次期帝位継承者は第一天子となり、派閥争いに負けた第二天子派は継承順位を下げられ、それに付き従った者の中には爵位剥奪のうえ、帝都江流波から追放された華族もいた そして大貴もその例に漏れず、邸宅にて謹慎を申し付けられ現在は華族用の豪華な護送車で大天族の居城へと向かっていた 即位したての政権が安定していない君主と没落寸前の血筋だけは立派な純血華族の複雑な結婚事情を描いた物語

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

僕の部下がかわいくて仕方ない

まつも☆きらら
BL
ある日悠太は上司のPCに自分の画像が大量に保存されているのを見つける。上司の田代は悪びれることなく悠太のことが好きだと告白。突然のことに戸惑う悠太だったが、田代以外にも悠太に想いを寄せる男たちが現れ始め、さらに悠太を戸惑わせることに。悠太が選ぶのは果たして誰なのか?

【完結】恋愛初学者の僕、完璧すぎる幼馴染に「恋」を学ぶ

鳥羽ミワ
BL
志村春希は高校二年生で、同い年の幼馴染・須藤涼太のことが大好き。その仲良しぶりといったら、お互い「リョウちゃん」「ハルくん」と呼び合うほどだ。 勉強が好きな春希には、どうしてもひとつだけ、全く理解できないことがあった。それは、恋心。学年一位の天才でもある涼太にそのもどかしさを愚痴ったら、「恋」を教えようかと提案される。 仮初の恋人になる二人だけど、春希が恋を知ったら、幼馴染の友達同士のままではいられない。慌てる春希に「パラダイムシフトを起こそうよ」と提案する涼太。手を重ねて、耳元で囁く涼太。水族館デートに誘う涼太。あまあまに迫られて、恋愛初学者の春希が陥落しないはずもなく……。 恋を知ったら友達でいられない。でもこの思いは止められない。 葛藤する春希の隣で涼太だけが、この関係は両片思いだと知っていた。 幼馴染の溺愛恋愛ケーススタディ、開幕! 最後はもちろんハッピーエンド! ※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうへ投稿しています

【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話

須宮りんこ
BL
【あらすじ】 高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。 二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。 そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。 青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。 けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――? ※本編完結済み。後日談連載中。

誰かの望んだ世界

日燈
BL
 【完結】魔界の学園で二年目の学園生活を送るイオは、人知れず鶯色の本をめくる。そうすれば、必要な情報を得ることができた。  学園には、世界を構成するエネルギーが結晶化したといわれる四つの結晶石≪クォーツ≫を浄める、重要な家系の生徒が集っている。――遥か昔、世界を破滅に導いたとされる家系も。  彼らと過ごす学園生活は賑やかで、当たり前のようにあったのに、じわじわと雲行が怪しくなっていく。  過去との邂逅。胸に秘めた想い――。  二度目の今日はひっそりと始まり、やがて三度目の今日が訪れる。  五千年ほど前、世界が滅びそうになった、その時に。彼らの魂に刻まれた遺志。――たった一つの願い。  終末を迎えた、この時に。あなたの望みは叶うだろうか…? ――――  登場人物が多い、ストーリー重視の物語。学校行事から魔物狩り、わちゃわちゃした日常から終末まで。笑いあり涙あり。世界は終末に向かうけど、安定の主人公です。  2024/11/29完結。お読みいただき、ありがとうございました!執筆中に浮かんだ小話を番外編として収めました。

処理中です...