灰かぶり君

渡里あずま

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遭遇と画策と予想外と2

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 食堂での騒ぎは直ぐ様、広まったみたいで――真白と教室に戻ったら、午前中以上に睨まれて罵られた。いや、まあ、幸い一茶達が戻って来てくれたから、手は出されなかったけど。
(そろそろ、呼び出されるかな)
 俺は何もしてないけど、王道展開的には生徒会が真白を(親衛隊から守るのに)呼び出して、手が出せなくなるから代わりに――って流れが想定される。今日みたいに、一茶や奏水がいれば無事かもしれないけど。
(嫌なことは、さっさと終わらせた方が良いよな)
 そんな訳で夕飯の後、俺は三人に話を切り出した。

「明日以降、親衛隊に呼び出されたら行って来るから。心配しないでくれ」
「「……えっ?」」
「親衛隊って、何だ?」

 一茶と奏水は揃って声を上げ、信じられないって感じの視線を向けてきた。
 そして真白は、そもそも親衛隊を知らない(当然だよな)からもっとも質問をしてきた。

「イケメンのファンクラブだな」
「イケメン……一茶とか?」
「って、ちょっと待って谷君!」
「そうだよ、男前平凡受けも萌えだけど! 何、実は族潰しとか!?」
「まさか」

 少し的外れ(確かに、生徒会と結びつく方が変だけど)な真白とは対照的に、奏水と一茶が慌てて止めてきた。
 一茶なんて、チワワ可愛いとか言ってた筈だけど――あと族潰しとか、そんな裏設定は俺にはないから期待をするな夢見るな。

「そのリアクションだと、過激派って奴か?」
「……生徒会と、あと奏水のは」
「ねぇ、谷君。少し落ち着くまでは、僕達といよう?」
「そう言ってくれるのは、ありがたいけど……引き延ばして、逆にムキになられても困るし」

 そして俺は、嫌なことはさっさと終わらせたい。大切なことなんで、二回言った。
 願うべきは王道通り、最初は警告(注意)で終わることかな――変質者が会長と副会長だからって、いきなり強姦とかはやめてくれよ?

「何だよ、過激派って……親衛隊って、悪い奴らなのか?」
「違う」

 流石に不穏な雰囲気を感じたのか、真白が尋ねてくる。それを否定したのは、真白に妙な思い込みを持って欲しくないからだ。
 喧しいとか心が狭いとかは思うけど、好きだからこそと思えば可愛……くはないか。好きだからって、何でも許される訳じゃないし。
(ただ、それを真白が闇雲に否定するのも違うからな)
 まあ、ともかく。
 生徒会の連中は、自分の理解者である真白に親衛隊の悪い噂を聞かせるんだろうけど――鵜呑みにして、真白に暴れられたら悪循環に陥ってしまう。
 真白の退学云々もだけど、流石に学校崩壊は見逃せない。
 真白の暴走と、生徒会の職務放棄――この二つを回避出来れば、最悪の事態は免れるんじゃないか? 王道フィクションの世界だと、リコールだの入院(過労&刃物沙汰)だのと深刻だけど、俺のはリアルな体験取材なんだから。複雑だけど、真白の恋を見守ればいいよな?
 そんな訳で、小さな子供に言い聞かせるように俺はたとえ話を出した。

「真白も、好きな奴に他の奴が近づいたら面白くないだろう?」
「何でだ? 皆で遊べばいーだろ?」
「……そうくるか」

 とってもピュアな答えを返されて、ちょっと困った――っと、そうだ。真白には、もう一つ言っておかないと。

「真白? もし生徒会の連中に遊ぼうって言われたら、新歓準備の邪魔にならないか聞けよ」
「えっ?」
「遊んじゃって、中止になったら大変だろ? 俺、イベントって好きなんだ。鬼ごっこ楽しみだなー」
「そーなのか? 解った!」

 多少、棒読みになった気はするけど、今度は素直に頷かれて安心した。本当、さっきはどうしようかって思ったよ。
(っと、そう言えば)

「なぁ、安来って人にも親衛隊っているのか?」
「……っ!?」
「何々、谷君もいつの間にかフラグ立てたの!? しかも『あの』Fクラスのキングと!」
「……少し、話しただけだ」

 名前を出した途端に奏水が青ざめ、一茶が盛り上がった――うん、関わらない方が良いんですね解りました。
(ってか、キングって……妙に似合ってるのがまた、何とも)
 学校は社会の縮図だって言うけど、だからってヤクザとかマフィアはいらんだろ。
 そう思ってたら、不意に部屋着のTシャツの裾を引っ張られた。
 何かと思ったら、真白がジッと見上げていた。瓶底眼鏡だけど、昼間のキング――って呼ぶのも何だな、安来さん並にガン見された。

「誰だそいつ、いつ会ったんだ!?」
「食堂出た後」

 隠すことではないんで話したけど、そもそも何で聞かれてんだろう? 内心、首を捻ってたら一茶が真白に話しかけた。

「さっきの、谷君のたとえ話だけどさ? 今みたいに、真白の知らないところで谷君と誰かが話すのって、何でってならない?」
「は?」
「なるっ」
「親衛隊のチワワちゃん達も、今の真白とおんなじ。だから谷君は、ちゃんと話して解って欲しいんだよ」
「そっか……解った!」

 ちょっと待て。このたとえ話だと、真白が俺のことを好きみたいじゃないか。
(……あれか。友達を、他の奴に取られたくないってのか)
 お子様な真白には、下手に恋愛とか言うより解り易いか。説明が上手いな、一茶。

「無自覚……だと!?」
「谷君? 今は真白も無自覚だから、それでも良いけど……ちゃんと考えてね?」

 感心する俺に一茶は後ずさり、奏水はそう言って微笑んだ――失礼な。俺はちゃんと『恋愛対象にはならない』って、自覚してるぞ?
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