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オマケ
*ハロウィン・パーティー 前夜祭
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「ねえ、ナティエちゃん。今年は冬の社交シーズンの始めに『ハロウィン・パーティー』をしようと思うの。どうかな?」
ぱっと明るく笑って、魔の王であるイリスはそう言った。
魔の王の城、執務室。窓を背にして、大きな書き物机がある。その机に向かって、魔の王は真面目に書類仕事をこなしていた。
近頃は朝から昼まではこうして書類に目を通して、了承の署名をすることがイリスの日課になっていた。
部屋に入って来た、『冷淡公』であり『使徒議会』の議長であるナティエは、耳慣れぬ単語に小首をかしげた。
「『ハロウィン・パーティー』とは、どの様な催しでしょう? 陛下」
「詳しい説明は後でシーモスから聞いて欲しいんだけど……簡単に言うと、お客も給仕もみんな仮装して、楽しく過ごすパーティーだよ!」
「仮装、でございますか?」
新たな書類をイリスに差し出して、ナティエは遊色の唇に人差し指を当てた。
「うん! タイキの国のお祭りでね、秋の終わり頃にみんなが仮装して、お菓子をあげたり食べたりするんだって」
にこにこと楽しそうに笑うイリスに、ナティエもわずかに唇を緩ませる。イリスとナティエの関係は今の所は良好で、魔の王と『使徒議会』は硬く結びついていた。
「ああ、『ソトビト』の……私も、社交シーズンの始めに、城でパーティーを催す事には賛成です。シーモス、詳しい説明を」
「はい。かしこまりました。『冷淡公』」
イリスのかたわらに控えていたシーモスが、ナティエの隣に進み出て説明を始める。
事の発端は、数日前。
夕食を食べ終わって、泰樹とイリス、それにシーモスとアルダーの四人はイリスの部屋でくつろいでいた。
「……所でタイキ様。『ハロウィン』とは、どの様な祭りなのでしょう」
ちょくちょく『あちら』に渡っているシーモスが、近頃よく見かけるというカボチャの飾りについて泰樹にたずねた。それで泰樹が「ありゃ、ハロウィンのカボチャ」と返すと、シーモスはさらに質問してきたのだった。
「ハロウィン? 俺も良く知らねーけど、10月の終わり頃にお化けとかにコスプレしてお菓子を貰いに行ったりするんだ。子供たちがさ。大人もコスプレして酒飲んだりパーティーしたりすっけど、俺はそう言うのあんま興味なくてな」
「コスプレ?って、なあに?」
興味津々と言った顔で、イリスがたずねる。泰樹はがりがりと髪をかき回して、乏しいハロウィン知識をどうにか脳ミソから絞り出した。
「あーコスプレって言うのは、仮装だな。基本はお化けとか、吸血鬼とか、狼男とか、そう言う怖いのみたいだぜ? でもハロウィンの仮装は何でも良いみたいだ。好きなマンガのキャラとか、映画のキャラとかそう言うのでも」
「お化け……は何となくわかるけど、吸血鬼?とか狼男?とかはわかんない。他には?」
イリスはすっかり、見知らぬお祭りに惹かれているようだ。目をキラキラとさせて、アレやコレやをたずねてくる。
「うーん。後はカボチャ。オレンジ色のカボチャが幅きかせててさ。中くりぬいてランタンにしたりするんだよ。何でかは良く知らねーけど」
「カボチャ……って、緑と黄色のお野菜だよね? ほくほくしてて甘くて美味しいの!」
「ああ、でもハロウィンのカボチャはオレンジで、食ってもあんまり美味くないらしい」
あんまり美味しくない。そう聞いて、イリスはしょぼんと眉を寄せた。
「……なるほど、タイキ様はハロウィンを詳しくご存じでは無い、と?」
「うん。ハロウィンってさ、元々は外国の行事でさ、日本でやるようになったのは最近のことだからなあ」
曖昧な返答を続ける泰樹に、シーモスが助け船を出す。泰樹は苦笑して、ソファに頭をあずけた。
「良いなあ! 僕もコスプレ?してお菓子貰いたいな! 僕がコスプレするなら、どんなのが良い?」
「んー。そうだなあ。イリスは王様だし、ミイラ男とかどうかな? ミイラは昔のエラい王様だって聞いたことあるぜ」
泰樹はシーモスのお下がりのスマホを操作して、ミイラ男について検索する。どんな仕組みなのかは解らないが、このスマホは『あちら』のインターネットに繋がっているらしい。少しの時間を置いて、検索結果が画面に現れる。それをのぞき込んで、イリスはきゃらきゃらと笑った。
「この人、包帯でぐるぐるだー! 昔々の王様はみんなこうなの?」
「うーん。わかんねえ。シーモスに聞いてくれ」
泰樹もなぜファラオ達がミイラになっているのかは良く知らない。説明することを諦めて、シーモスにぶん投げるとシーモスは微笑んでイリスに解説を始めた。
「……うん! 『ハロウィン』って、楽しそう! ねえ、シーモス、タイキ。僕らもやろうよ、ハロウィン!!」
一通り質問を終えると、イリスは満面の笑みを浮かべてそう言った。
その日から、シーモスはハロウィンについてのリサーチを始めた。
起源から始まって、定番の仮装、飾り付け、お菓子、それからそれから……瞬く間に、シーモスは『ハロウィン』について、泰樹よりはるかに詳しくなっていく。
「……と、言う訳で、『ハロウィン』とは古代ケルト人の……説が有力で……『ハロウィン』と言う呼称は……」
「あー。うん。そう言う難しそうなことはアンタに任せた」
リサーチの結果を聞き流す泰樹に、そっとため息をつきながら、シーモスは眼鏡の位置を直す。
「……では、『ハロウィン・パーティー』の仮装は、私にお任せいただけますか?」
「うん。いいぜ! 任せた!」
そんなこんなで、いつの間にやら話は進んで。
秋も終わりの月の最終日に、魔の王の城で大規模な『ハロウィン・パーティー』が開かれることとなっていたのだ。
「パーティーがあるそうだな、『暴食公』」
「あぁ。王様のぉお城でぇ、仮装パーティーだぁ。……いい加減ん、名前でぇ呼べよぉ、ラルカぁ」
『暴食公』レオノの寝室。巨大なベッドの端に、かつては『苛烈公』と呼ばれていたラルカが腰掛けていた。ベッドにごろりと横になったレオノはラルカの腕を引いた。
ラルカは、首輪以外はその身に一糸もまとっていない。この寝室にいる時は、何も着てはならない。それが、レオノが取り決めた掟だった。
「やめ、ろ! ケダモノがっ!」
「お前だってぇ、期待してるんだろぉ? もう、ひくひくしてるもんなぁ」
「は、あっぐ……っ!」
不意に急所を探られて、ラルカは息を押し殺した。この1年以上、この寝室で慰み者にされてきた。たくましい腕に為す術無く引き寄せられて、探られた秘所は、すでに柔らかく縦に割れている。
「あぁ……良い具合だぁ。すっかりオレの形になったぁ」
「……ぐっ……!」
ラルカは奥歯を噛み締めて、声をこらえた。レオノに散々暴かれ、作り替えられた身体が恨めしかった。この寝室では、レオノが望むままに声を上げるしかない。
「お前がぁ欲しいぃ」
「っ……」
抱き寄せられて、耳元でささやかれる。ラルカはその腕の中から逃れようともがいた。レオノはラルカのあごをとらえて、顔を寄せる。ザラついた舌先で頬を舐められる前に、ラルカは顔を背けた。
「何だぁ、そぉんなに嫌かぁ? こっちは素直なのになぁ?」
「っ!?」
ラルカの両足が、レオノの腕に抱え上げられた。レオノの指先が、ラルカの秘所の縁をなぞる。その刺激だけで、ラルカの腹の奥は熱くなった。
「ここぉ、すっかりぃオレを覚えてるなぁ」
「や……めろっ! うぐっ!」
男を受け入れる形に作り替えられたソコは、レオノの指を簡単に飲み込んだ。内壁をぐるりと探られ、ラルカは体をのけぞらせる。
「ふふん……気持ち良いかぁ?」
「う、く……っ!」
指先が良い所に触れたのか、ラルカの腰が跳ねた。その反応にレオノは指をもう一本突き立てる。二本の指を受け入れて、ラルカは唇を震わせた。
「そぉんなに良かったかぁ」
「く、うぅっ」
二本の指が中を押し広げていく。だが、その刺激では足りない。ラルカの腰は無意識のうちに揺れ、指をさらに奥へと引き込もうとした。
「素直になった方が楽しぃぜぇ? この1年でぇ、お前はぁずいぶんん淫乱になったからなぁ」
「だま……れっ! ああっ!」
レオノの指先が、良い所をかすめる。ラルカは体をのけぞらせて、身もだえた。その反応に気をよくして、レオノは執拗にそこを責めたてる。
「ほらぁ、気持ち良いんだろぉ? 素直になればぁもっと良い思いが出来るぜぇ?」
「あぅっ、く……そっ!」
ラルカは唇を噛み締めた。声を出せばレオノを喜ばせるだけだ。それはわかっているのに。漏れ出ようとする声を堪えるだけで、精一杯だった。
「うあぁああっ!」
「……ふん」
不意にレオノの指が引き抜かれた。その刺激に思わずラルカは声を上げた。その反応にレオノが薄く笑う。
「もうぅ、良いかぁ」
「……っ!?」
指の代わりに巨大で熱いものが触れた。それはラルカの秘所を押し広げていく。敏感な内壁をこすられる感覚に、ラルカはなす術もない。
「うっ、く……あぅっ!」
「すっかりぃ柔らかくなったなぁ。……最初の頃はぁ、きつきつだったのになぁ」
「はあっ、あっ!」
ゆっくりとレオノが腰をゆする。その刺激にラルカは震えた。初めて貫かれた時は激痛しか感じなかったというのに、今では内壁をこすられるだけで快感が背筋を走り抜ける。
「ふ……っ! あぅっ!」
「ここかぁ?」
「あああぁっ!」
レオノの巨木が、ラルカの良い所を押し上げる。ラルカはシーツを握り締めて、声を上げた。
「ほらぁ、そろそろぉ良いだろぉ? 声を出せよぉ」
「ぅああっ! は……っ!」
レオノが、ラルカの首筋に獅子の顔を埋める。その刺激にすら感じるのか、ラルカは激しく身もだえた。もはや、限界だった。
「ひあっ! ああぁああっ!!」
「……っ」
声を上げて、ラルカは達した。
「く……そ……」
「あぁ、良い声だぁ」
「う……あうっ!?」
息を乱したラルカの中に入ったままのレオノが動き出す。達したばかりには強すぎる刺激だった。それでも、快楽を追うことを教え込まれた身体は貪欲にそれを受け止める。
「あぁあっ! あぅっ!」
「う……っ」
全てが過敏になっている。すぐに熱は高まり、ラルカの理性を溶かす。レオノはその締め付けに眉を寄せて、さらに腰を揺すった。
「んあっ! あぅっ!」
「っ……はぁ……あぁ」
レオノも限界が近いのか、その声は切羽詰まっていた。激しくなる動きにラルカも追い詰められていく。もう何も考えられなかった。ただ、快楽だけを求めて腰を揺らす。
「あぅっ! うあぁああっ!!」
「ぐっ……うっ」
一際深くレオノが突き入れた。その衝撃にラルカはもう一度達した。今度は射精をともなわない、乾いた絶頂だった。レオノも息をつめて熱を放つ。その熱い飛沫に内壁を焼かれて、また軽く達した。
「はぁ……はぁ……」
「……ふう」
荒い息を吐いて、レオノはラルカの中から自身を引き抜いた。ずるりと抜けていく感触に、ラルカは身震いする。
「……はあぁ。良かったかぁ?」
「……」
レオノは上機嫌で笑った。その笑い声を聞きながら、ラルカはシーツに顔を埋める。今夜も声を堪えきれなかった。この1年ですっかり感じやすくなってしまった。
いや、レオノによって身体を作り替えられてしまったと言うべきか。
「そぉんなに良かったかぁ。嬉しいぜぇ」
「……」
上機嫌なレオノの声に、ラルカは唇を噛み締めた。
「……私を……連れて行け」
「ん?」
「私を、城のパーティーに連れて行け」
嬌声でひび割れた声が、ラルカの唇からもれる。レオノはそっと、武骨な指先でラルカの遊色の髪を梳いた。髪を切らぬまま、ずいぶん長く伸びてきている。きらきらと輝くその髪は、美しかった。
「……良いぜぇ」
あっさりとレオノは承諾する。その言葉に、ラルカはあっけにとられて、顔を上げた。
「……?! 本当、か!」
「ただしぃ、条件がぁ、あるぅ」
条件。ごくりと息を飲んで、ラルカは身構えた。いつになく、レオノは真剣な眼差しで、ラルカを見下ろした。
「お前はぁ、オレのぉ、番になれよぉ。そしたらぁ、その報告を兼ねてぇ、城につれてってやるぅ」
「つ、がい……?」
ラルカは首をかしげた。レオノも小首をかしげる。
「そうだぁ、番だぁ」
「……っ! な、何を、馬鹿なことを!」
ようやく、言葉の意味を理解したラルカは顔色を変えた。その反応にレオノは目を見開く。
「なんだよぉ? 嫌なのかぁ?」
「当たり前だっ! この、ケダモノがっ!」
「……ふぅん?」
レオノは目を細める。そして、ラルカをベッドの上に押さえつけた。
「な……っ!」
「いいぃ度胸だなぁ? そんなにぃ言うならぁ、体にぃ教え込んでやるよぉ」
「ひ……!」
首筋に牙を立てられて、ラルカは思わず悲鳴を上げた。牙が食い込む痛みに、顔をしかめる。このまま食いちぎられるのか。恐怖に、涙がにじんだ。だが、その牙はあっさりと首筋から離れる。
「……く……っ」
「物わかりのぉ悪い奴だなぁ……そんなにぃ嫌ならぁ、連れていかなくてもぉ、良いんだぞぉ?」
「……っ」
レオノの言葉にラルカは唇を噛んだ。
この1年間、散々屈辱を味合わされた。この屋敷だけが、ラルカに許された世界だった。レオノ配下の魔人たちは、ラルカを丁重に扱った。何一つ不足の無いように、気配りは行き届いていた。だが、ラルカに真の自由は無かった。
もう十分だ。まっぴらだ。ここから出て、あの半竜人に一泡吹かせるためなら、何だってしてやる!
「……連れて行け」
「ふぅん?」
「私を……お前の番にしろ!」
それは屈辱的な言葉だった。レオノはくっと笑うと、再びラルカの首筋に牙を立てた。今度は皮膚を突き破るほどに強く噛みつく。鋭い痛みに顔をしかめながら、ラルカはそれでも逃げなかった。
「……っ!」
ずるりと牙が抜けていく。その感触に、ラルカは固く目を閉じた。首筋から血があふれだす。それを舐め取って、レオノは笑う。
「くくっ……美味ぇ」
「……ぐっ」
痛みに、ラルカはうめいた。それにかまわずレオノはその体を引き寄せ、自身の上に持ち上げる。そして再び猛った自身をラルカの秘所に押し当てた。
「たっぷり教え込んでやるよぉ、かわいい番にぃ。お前が誰のものなのかぁ」
「う……っ」
ずぶずぶと太い楔が体の中に入ってくる。その衝撃にラルカは息をのんだ。痛みには、屈辱には、歯を食いしばって耐えれば良い。このケダモノをあざむければ、それで良いのだ。
「うああっ! あぁっ!」
激しく揺さぶられて、ラルカは高い声を上げた。狭い内壁を押し広げながら、熱い塊が出入りする。それがひどく心地よかった。この1年で作り替えられた身体が、レオノを求めて貪欲に絡み付く。
「ふあっ! あぅっ! それ、ダメ、だ……っうあああぁっ!!」
「ぐ……っ」
たっぷりと、熱い白濁が体内に吐き出される。その刺激にラルカも軽く、熱を吐き出した。
「あ、は……は、ぁ……あぁ……っ」
「くくっ……ずいぶん、気持ち良さそうだなぁ?」
「……うるさいっ」
からかうような声に、ラルカは頬を赤らめて顔を背けた。
ぱっと明るく笑って、魔の王であるイリスはそう言った。
魔の王の城、執務室。窓を背にして、大きな書き物机がある。その机に向かって、魔の王は真面目に書類仕事をこなしていた。
近頃は朝から昼まではこうして書類に目を通して、了承の署名をすることがイリスの日課になっていた。
部屋に入って来た、『冷淡公』であり『使徒議会』の議長であるナティエは、耳慣れぬ単語に小首をかしげた。
「『ハロウィン・パーティー』とは、どの様な催しでしょう? 陛下」
「詳しい説明は後でシーモスから聞いて欲しいんだけど……簡単に言うと、お客も給仕もみんな仮装して、楽しく過ごすパーティーだよ!」
「仮装、でございますか?」
新たな書類をイリスに差し出して、ナティエは遊色の唇に人差し指を当てた。
「うん! タイキの国のお祭りでね、秋の終わり頃にみんなが仮装して、お菓子をあげたり食べたりするんだって」
にこにこと楽しそうに笑うイリスに、ナティエもわずかに唇を緩ませる。イリスとナティエの関係は今の所は良好で、魔の王と『使徒議会』は硬く結びついていた。
「ああ、『ソトビト』の……私も、社交シーズンの始めに、城でパーティーを催す事には賛成です。シーモス、詳しい説明を」
「はい。かしこまりました。『冷淡公』」
イリスのかたわらに控えていたシーモスが、ナティエの隣に進み出て説明を始める。
事の発端は、数日前。
夕食を食べ終わって、泰樹とイリス、それにシーモスとアルダーの四人はイリスの部屋でくつろいでいた。
「……所でタイキ様。『ハロウィン』とは、どの様な祭りなのでしょう」
ちょくちょく『あちら』に渡っているシーモスが、近頃よく見かけるというカボチャの飾りについて泰樹にたずねた。それで泰樹が「ありゃ、ハロウィンのカボチャ」と返すと、シーモスはさらに質問してきたのだった。
「ハロウィン? 俺も良く知らねーけど、10月の終わり頃にお化けとかにコスプレしてお菓子を貰いに行ったりするんだ。子供たちがさ。大人もコスプレして酒飲んだりパーティーしたりすっけど、俺はそう言うのあんま興味なくてな」
「コスプレ?って、なあに?」
興味津々と言った顔で、イリスがたずねる。泰樹はがりがりと髪をかき回して、乏しいハロウィン知識をどうにか脳ミソから絞り出した。
「あーコスプレって言うのは、仮装だな。基本はお化けとか、吸血鬼とか、狼男とか、そう言う怖いのみたいだぜ? でもハロウィンの仮装は何でも良いみたいだ。好きなマンガのキャラとか、映画のキャラとかそう言うのでも」
「お化け……は何となくわかるけど、吸血鬼?とか狼男?とかはわかんない。他には?」
イリスはすっかり、見知らぬお祭りに惹かれているようだ。目をキラキラとさせて、アレやコレやをたずねてくる。
「うーん。後はカボチャ。オレンジ色のカボチャが幅きかせててさ。中くりぬいてランタンにしたりするんだよ。何でかは良く知らねーけど」
「カボチャ……って、緑と黄色のお野菜だよね? ほくほくしてて甘くて美味しいの!」
「ああ、でもハロウィンのカボチャはオレンジで、食ってもあんまり美味くないらしい」
あんまり美味しくない。そう聞いて、イリスはしょぼんと眉を寄せた。
「……なるほど、タイキ様はハロウィンを詳しくご存じでは無い、と?」
「うん。ハロウィンってさ、元々は外国の行事でさ、日本でやるようになったのは最近のことだからなあ」
曖昧な返答を続ける泰樹に、シーモスが助け船を出す。泰樹は苦笑して、ソファに頭をあずけた。
「良いなあ! 僕もコスプレ?してお菓子貰いたいな! 僕がコスプレするなら、どんなのが良い?」
「んー。そうだなあ。イリスは王様だし、ミイラ男とかどうかな? ミイラは昔のエラい王様だって聞いたことあるぜ」
泰樹はシーモスのお下がりのスマホを操作して、ミイラ男について検索する。どんな仕組みなのかは解らないが、このスマホは『あちら』のインターネットに繋がっているらしい。少しの時間を置いて、検索結果が画面に現れる。それをのぞき込んで、イリスはきゃらきゃらと笑った。
「この人、包帯でぐるぐるだー! 昔々の王様はみんなこうなの?」
「うーん。わかんねえ。シーモスに聞いてくれ」
泰樹もなぜファラオ達がミイラになっているのかは良く知らない。説明することを諦めて、シーモスにぶん投げるとシーモスは微笑んでイリスに解説を始めた。
「……うん! 『ハロウィン』って、楽しそう! ねえ、シーモス、タイキ。僕らもやろうよ、ハロウィン!!」
一通り質問を終えると、イリスは満面の笑みを浮かべてそう言った。
その日から、シーモスはハロウィンについてのリサーチを始めた。
起源から始まって、定番の仮装、飾り付け、お菓子、それからそれから……瞬く間に、シーモスは『ハロウィン』について、泰樹よりはるかに詳しくなっていく。
「……と、言う訳で、『ハロウィン』とは古代ケルト人の……説が有力で……『ハロウィン』と言う呼称は……」
「あー。うん。そう言う難しそうなことはアンタに任せた」
リサーチの結果を聞き流す泰樹に、そっとため息をつきながら、シーモスは眼鏡の位置を直す。
「……では、『ハロウィン・パーティー』の仮装は、私にお任せいただけますか?」
「うん。いいぜ! 任せた!」
そんなこんなで、いつの間にやら話は進んで。
秋も終わりの月の最終日に、魔の王の城で大規模な『ハロウィン・パーティー』が開かれることとなっていたのだ。
「パーティーがあるそうだな、『暴食公』」
「あぁ。王様のぉお城でぇ、仮装パーティーだぁ。……いい加減ん、名前でぇ呼べよぉ、ラルカぁ」
『暴食公』レオノの寝室。巨大なベッドの端に、かつては『苛烈公』と呼ばれていたラルカが腰掛けていた。ベッドにごろりと横になったレオノはラルカの腕を引いた。
ラルカは、首輪以外はその身に一糸もまとっていない。この寝室にいる時は、何も着てはならない。それが、レオノが取り決めた掟だった。
「やめ、ろ! ケダモノがっ!」
「お前だってぇ、期待してるんだろぉ? もう、ひくひくしてるもんなぁ」
「は、あっぐ……っ!」
不意に急所を探られて、ラルカは息を押し殺した。この1年以上、この寝室で慰み者にされてきた。たくましい腕に為す術無く引き寄せられて、探られた秘所は、すでに柔らかく縦に割れている。
「あぁ……良い具合だぁ。すっかりオレの形になったぁ」
「……ぐっ……!」
ラルカは奥歯を噛み締めて、声をこらえた。レオノに散々暴かれ、作り替えられた身体が恨めしかった。この寝室では、レオノが望むままに声を上げるしかない。
「お前がぁ欲しいぃ」
「っ……」
抱き寄せられて、耳元でささやかれる。ラルカはその腕の中から逃れようともがいた。レオノはラルカのあごをとらえて、顔を寄せる。ザラついた舌先で頬を舐められる前に、ラルカは顔を背けた。
「何だぁ、そぉんなに嫌かぁ? こっちは素直なのになぁ?」
「っ!?」
ラルカの両足が、レオノの腕に抱え上げられた。レオノの指先が、ラルカの秘所の縁をなぞる。その刺激だけで、ラルカの腹の奥は熱くなった。
「ここぉ、すっかりぃオレを覚えてるなぁ」
「や……めろっ! うぐっ!」
男を受け入れる形に作り替えられたソコは、レオノの指を簡単に飲み込んだ。内壁をぐるりと探られ、ラルカは体をのけぞらせる。
「ふふん……気持ち良いかぁ?」
「う、く……っ!」
指先が良い所に触れたのか、ラルカの腰が跳ねた。その反応にレオノは指をもう一本突き立てる。二本の指を受け入れて、ラルカは唇を震わせた。
「そぉんなに良かったかぁ」
「く、うぅっ」
二本の指が中を押し広げていく。だが、その刺激では足りない。ラルカの腰は無意識のうちに揺れ、指をさらに奥へと引き込もうとした。
「素直になった方が楽しぃぜぇ? この1年でぇ、お前はぁずいぶんん淫乱になったからなぁ」
「だま……れっ! ああっ!」
レオノの指先が、良い所をかすめる。ラルカは体をのけぞらせて、身もだえた。その反応に気をよくして、レオノは執拗にそこを責めたてる。
「ほらぁ、気持ち良いんだろぉ? 素直になればぁもっと良い思いが出来るぜぇ?」
「あぅっ、く……そっ!」
ラルカは唇を噛み締めた。声を出せばレオノを喜ばせるだけだ。それはわかっているのに。漏れ出ようとする声を堪えるだけで、精一杯だった。
「うあぁああっ!」
「……ふん」
不意にレオノの指が引き抜かれた。その刺激に思わずラルカは声を上げた。その反応にレオノが薄く笑う。
「もうぅ、良いかぁ」
「……っ!?」
指の代わりに巨大で熱いものが触れた。それはラルカの秘所を押し広げていく。敏感な内壁をこすられる感覚に、ラルカはなす術もない。
「うっ、く……あぅっ!」
「すっかりぃ柔らかくなったなぁ。……最初の頃はぁ、きつきつだったのになぁ」
「はあっ、あっ!」
ゆっくりとレオノが腰をゆする。その刺激にラルカは震えた。初めて貫かれた時は激痛しか感じなかったというのに、今では内壁をこすられるだけで快感が背筋を走り抜ける。
「ふ……っ! あぅっ!」
「ここかぁ?」
「あああぁっ!」
レオノの巨木が、ラルカの良い所を押し上げる。ラルカはシーツを握り締めて、声を上げた。
「ほらぁ、そろそろぉ良いだろぉ? 声を出せよぉ」
「ぅああっ! は……っ!」
レオノが、ラルカの首筋に獅子の顔を埋める。その刺激にすら感じるのか、ラルカは激しく身もだえた。もはや、限界だった。
「ひあっ! ああぁああっ!!」
「……っ」
声を上げて、ラルカは達した。
「く……そ……」
「あぁ、良い声だぁ」
「う……あうっ!?」
息を乱したラルカの中に入ったままのレオノが動き出す。達したばかりには強すぎる刺激だった。それでも、快楽を追うことを教え込まれた身体は貪欲にそれを受け止める。
「あぁあっ! あぅっ!」
「う……っ」
全てが過敏になっている。すぐに熱は高まり、ラルカの理性を溶かす。レオノはその締め付けに眉を寄せて、さらに腰を揺すった。
「んあっ! あぅっ!」
「っ……はぁ……あぁ」
レオノも限界が近いのか、その声は切羽詰まっていた。激しくなる動きにラルカも追い詰められていく。もう何も考えられなかった。ただ、快楽だけを求めて腰を揺らす。
「あぅっ! うあぁああっ!!」
「ぐっ……うっ」
一際深くレオノが突き入れた。その衝撃にラルカはもう一度達した。今度は射精をともなわない、乾いた絶頂だった。レオノも息をつめて熱を放つ。その熱い飛沫に内壁を焼かれて、また軽く達した。
「はぁ……はぁ……」
「……ふう」
荒い息を吐いて、レオノはラルカの中から自身を引き抜いた。ずるりと抜けていく感触に、ラルカは身震いする。
「……はあぁ。良かったかぁ?」
「……」
レオノは上機嫌で笑った。その笑い声を聞きながら、ラルカはシーツに顔を埋める。今夜も声を堪えきれなかった。この1年ですっかり感じやすくなってしまった。
いや、レオノによって身体を作り替えられてしまったと言うべきか。
「そぉんなに良かったかぁ。嬉しいぜぇ」
「……」
上機嫌なレオノの声に、ラルカは唇を噛み締めた。
「……私を……連れて行け」
「ん?」
「私を、城のパーティーに連れて行け」
嬌声でひび割れた声が、ラルカの唇からもれる。レオノはそっと、武骨な指先でラルカの遊色の髪を梳いた。髪を切らぬまま、ずいぶん長く伸びてきている。きらきらと輝くその髪は、美しかった。
「……良いぜぇ」
あっさりとレオノは承諾する。その言葉に、ラルカはあっけにとられて、顔を上げた。
「……?! 本当、か!」
「ただしぃ、条件がぁ、あるぅ」
条件。ごくりと息を飲んで、ラルカは身構えた。いつになく、レオノは真剣な眼差しで、ラルカを見下ろした。
「お前はぁ、オレのぉ、番になれよぉ。そしたらぁ、その報告を兼ねてぇ、城につれてってやるぅ」
「つ、がい……?」
ラルカは首をかしげた。レオノも小首をかしげる。
「そうだぁ、番だぁ」
「……っ! な、何を、馬鹿なことを!」
ようやく、言葉の意味を理解したラルカは顔色を変えた。その反応にレオノは目を見開く。
「なんだよぉ? 嫌なのかぁ?」
「当たり前だっ! この、ケダモノがっ!」
「……ふぅん?」
レオノは目を細める。そして、ラルカをベッドの上に押さえつけた。
「な……っ!」
「いいぃ度胸だなぁ? そんなにぃ言うならぁ、体にぃ教え込んでやるよぉ」
「ひ……!」
首筋に牙を立てられて、ラルカは思わず悲鳴を上げた。牙が食い込む痛みに、顔をしかめる。このまま食いちぎられるのか。恐怖に、涙がにじんだ。だが、その牙はあっさりと首筋から離れる。
「……く……っ」
「物わかりのぉ悪い奴だなぁ……そんなにぃ嫌ならぁ、連れていかなくてもぉ、良いんだぞぉ?」
「……っ」
レオノの言葉にラルカは唇を噛んだ。
この1年間、散々屈辱を味合わされた。この屋敷だけが、ラルカに許された世界だった。レオノ配下の魔人たちは、ラルカを丁重に扱った。何一つ不足の無いように、気配りは行き届いていた。だが、ラルカに真の自由は無かった。
もう十分だ。まっぴらだ。ここから出て、あの半竜人に一泡吹かせるためなら、何だってしてやる!
「……連れて行け」
「ふぅん?」
「私を……お前の番にしろ!」
それは屈辱的な言葉だった。レオノはくっと笑うと、再びラルカの首筋に牙を立てた。今度は皮膚を突き破るほどに強く噛みつく。鋭い痛みに顔をしかめながら、ラルカはそれでも逃げなかった。
「……っ!」
ずるりと牙が抜けていく。その感触に、ラルカは固く目を閉じた。首筋から血があふれだす。それを舐め取って、レオノは笑う。
「くくっ……美味ぇ」
「……ぐっ」
痛みに、ラルカはうめいた。それにかまわずレオノはその体を引き寄せ、自身の上に持ち上げる。そして再び猛った自身をラルカの秘所に押し当てた。
「たっぷり教え込んでやるよぉ、かわいい番にぃ。お前が誰のものなのかぁ」
「う……っ」
ずぶずぶと太い楔が体の中に入ってくる。その衝撃にラルカは息をのんだ。痛みには、屈辱には、歯を食いしばって耐えれば良い。このケダモノをあざむければ、それで良いのだ。
「うああっ! あぁっ!」
激しく揺さぶられて、ラルカは高い声を上げた。狭い内壁を押し広げながら、熱い塊が出入りする。それがひどく心地よかった。この1年で作り替えられた身体が、レオノを求めて貪欲に絡み付く。
「ふあっ! あぅっ! それ、ダメ、だ……っうあああぁっ!!」
「ぐ……っ」
たっぷりと、熱い白濁が体内に吐き出される。その刺激にラルカも軽く、熱を吐き出した。
「あ、は……は、ぁ……あぁ……っ」
「くくっ……ずいぶん、気持ち良さそうだなぁ?」
「……うるさいっ」
からかうような声に、ラルカは頬を赤らめて顔を背けた。
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