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10話 気持ち
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『とりあえず第1段階はクリアできた。
衣沙菜、土砂崩れの時は力になれなくてごめんな』
「ううん、私は大丈夫だよ。
先生が土砂崩れに巻き込まれた時は目の前が真っ暗になったけど、
直君がいてくれたおかげで自分を見失わずにすんだし、
今はそれを回避できた。だから直君には凄く感謝してる」
『いや、不甲斐ない事に俺はこの姿だし、何もできてない。
だからこそかな? 今回の事を通じて、ある気持ちが沸いてきた』
直君の言葉から、いつもとは違う真剣さのようなものを感じたため、
私も聞き逃さないよう一言一言に耳を傾ける。
『必死に行動してくれている衣沙菜の姿を見て感動したし、
衣沙菜を失う事の怖さに強く胸が締め付けられた』
直君はそこで一度言葉を止めると、しばらく無言で見つめあう。
『衣沙菜、衣沙菜の事は俺が絶対に守る。
だから今回の件が解決して、もし元の世界に戻る事ができたら、
俺と付き合ってくれないか?』
え……直君と私が付き合う……?
今まで一方的に直君の事を好きと言ってきた。
でも、自分に自信が無い事もあって、どうせその願いは叶う事は無いと思っていた。
今思えばそんな気持ちを抱いていては、相手に届くはずがない。
だからこそ直君は首を縦に振らなったのだろう。
「直君、私……」
自分の弱さに気付いた私は言葉が詰まり、涙が溢れてきた。
『衣沙菜、もしかして迷惑だったか?』
「ううん! そんな迷惑だなんて事ない、絶対にないよ!
そうじゃなくて、今まで直君に好きと言いつつも、自分の弱さに甘えて、
直君を傷つけてたんじゃないかって思ったの……」
今は自分を庇っている場合じゃない。
思っている事は全部伝える。
私はそう思い、直君に正直な気持ちをぶつけてみた。
『……確かに衣沙菜に好きって言ってもらっていたけど、
心にどこか迷いがある事は分かっていたから、
受け入れる事は出来なかった』
やっぱり直君には私の気持ちが見透かされていたんだ。
『でもな、衣沙菜。今回の衣沙菜の成長と、その弱さも含めて
俺が守っていけるようになりたいと強く思うようになったんだ。
だから、衣沙菜は自分を責める必要は無いから』
「直君……私、今凄く嬉しい。直君の気持ちが凄く嬉しいの。
まだ弱気な部分も見せてしまうかもしれないけど、
直君を好きと言う気持ちは変わらない。
だから、元の世界に戻ったら私も……直君とお付き合いしたいな」
『ありがとう。俺も衣沙菜がそれに気付いてくれて凄く嬉しい。
あ、でもこんな姿で告白って大丈夫……だったか?』
「ううん、全然大丈夫! ぬいぐるみの姿をしていても、
直君の気持ちはちゃんと伝わってきたから!」
そう言って直君の頭をなでなでしてあげると、直君はくすぐったそうに
体をくねらせながら笑いを堪えていた。
衣沙菜、土砂崩れの時は力になれなくてごめんな』
「ううん、私は大丈夫だよ。
先生が土砂崩れに巻き込まれた時は目の前が真っ暗になったけど、
直君がいてくれたおかげで自分を見失わずにすんだし、
今はそれを回避できた。だから直君には凄く感謝してる」
『いや、不甲斐ない事に俺はこの姿だし、何もできてない。
だからこそかな? 今回の事を通じて、ある気持ちが沸いてきた』
直君の言葉から、いつもとは違う真剣さのようなものを感じたため、
私も聞き逃さないよう一言一言に耳を傾ける。
『必死に行動してくれている衣沙菜の姿を見て感動したし、
衣沙菜を失う事の怖さに強く胸が締め付けられた』
直君はそこで一度言葉を止めると、しばらく無言で見つめあう。
『衣沙菜、衣沙菜の事は俺が絶対に守る。
だから今回の件が解決して、もし元の世界に戻る事ができたら、
俺と付き合ってくれないか?』
え……直君と私が付き合う……?
今まで一方的に直君の事を好きと言ってきた。
でも、自分に自信が無い事もあって、どうせその願いは叶う事は無いと思っていた。
今思えばそんな気持ちを抱いていては、相手に届くはずがない。
だからこそ直君は首を縦に振らなったのだろう。
「直君、私……」
自分の弱さに気付いた私は言葉が詰まり、涙が溢れてきた。
『衣沙菜、もしかして迷惑だったか?』
「ううん! そんな迷惑だなんて事ない、絶対にないよ!
そうじゃなくて、今まで直君に好きと言いつつも、自分の弱さに甘えて、
直君を傷つけてたんじゃないかって思ったの……」
今は自分を庇っている場合じゃない。
思っている事は全部伝える。
私はそう思い、直君に正直な気持ちをぶつけてみた。
『……確かに衣沙菜に好きって言ってもらっていたけど、
心にどこか迷いがある事は分かっていたから、
受け入れる事は出来なかった』
やっぱり直君には私の気持ちが見透かされていたんだ。
『でもな、衣沙菜。今回の衣沙菜の成長と、その弱さも含めて
俺が守っていけるようになりたいと強く思うようになったんだ。
だから、衣沙菜は自分を責める必要は無いから』
「直君……私、今凄く嬉しい。直君の気持ちが凄く嬉しいの。
まだ弱気な部分も見せてしまうかもしれないけど、
直君を好きと言う気持ちは変わらない。
だから、元の世界に戻ったら私も……直君とお付き合いしたいな」
『ありがとう。俺も衣沙菜がそれに気付いてくれて凄く嬉しい。
あ、でもこんな姿で告白って大丈夫……だったか?』
「ううん、全然大丈夫! ぬいぐるみの姿をしていても、
直君の気持ちはちゃんと伝わってきたから!」
そう言って直君の頭をなでなでしてあげると、直君はくすぐったそうに
体をくねらせながら笑いを堪えていた。
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