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11話 時系列
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「直君と気持ちが通じたおかげで、まだまだ頑張れる気がしてきたよ!」
『それは良かった。この世界ではまだやるべき事があるので、
ここは気を取り直して、学校までの計画を今から練るぞ』
直君が浮かべる笑顔で私の中にある「不安」の2文字が吹き飛ぶ。
直君には昔から頼ってばかりだったから、
今回こそは直君の力になってあげたいんだ。
『それじゃ、まず時系列で整理して考えてみよう。今の時間は13時20分で、
大雨が降り始める時間は、先生に電話をかけた時間、14時10分より前か』
「そうだね。まだ50分くらいはあるけど、マスターの話からすると、
学校まで15分~20分かかるみたいだから、
余裕をもって30分と想定しておいたほうがいいのかな?」
この先何が起こるか分からないので多めに見積る必要がある。
『俺達はマスターと違って初めて通る道だし、
それくらいで計算しておいた方が良いだろうな』
「あと、直君。もし何か覚えていたら教えて欲しいんだけど、
直君のお父さんの書いた物語で学校までの道のりについて
何か書かれてた?」
『そうだな……とりあえず土砂崩れが起きるとかなかったけど、
道が二つに分かれている場所があって、その片方が崩れていて、
遠回りする描写はあった気がする』
「二つに分かれた道、ね。それじゃマスターに聞いてみるね」
「学校への道の事か? それなら近道は雨が降るとぬかるむ事が多いから、
遠回りした方がいいと思うぞ」
「あ、そうですか。それじゃ、直君。マスターの言うとおり、遠回りを……」
ってわー! なぜかマスターが真横にいて、私達の話に参加している!
「マ、マスター! 私達……じゃなくて私の話を聞いてたんですか!?」
「聞いてたも何も、あんな大きな声で話してれば自然と聞こえてくるだろう?
それに事情がよく分からんが、そのぬいぐるみと話してたのも分かってたしな。
独り言で通すならもっと小さな声で話さないとだめだぞ?」
マスターはそう言って、大声をあげて笑い始めた。
『こうなったら仕方ない。マスターに全部話をして、
確実に学校に辿りつく事を優先しよう』
「分かった。直君の言う通りマスターに話をしてみるよ」
ぬいぐるみと話している私の姿を不思議な表情で見つめる
マスターにここに来てからの事、自分達の事、全てを話した。
「そう言う事だったのか。私は女子高生とか言ってたのも、
ぬいぐるみに話しかけていたのも1つに繋がったよ。
でもまさかそのぬいぐるみの中に享の息子が入っているとは
夢にも思わんかったよ」
『まあ、俺もまさかこんな状態になるとは思ってなかったよ』
「直君もこんな状態になるとは思ってなかったそうです」
「はは、まあそうだろな。直樹君の事とか色々聞きたい所だが、
時間も無い事だし、本題に入ろうか。
とりあえず先生が土砂崩れに会う事は回避できたんだな?」
「はい。先生との待ち合わせ場所を学校に変更したから大丈夫だと思います。
後は、直君と無事学校にたどり着いて、先生と会う事ができれば」
マスターにそう言うと、笑みを浮かべて話を続ける。
「なら今すぐ学校に向かえば15分くらいで着く事ができる。大雨が降る前にな。
学校への道順も間違えないようにメモしてやるから、それで大丈夫だろう」
「ありがとうございます!
コーヒーまでご馳走して頂いて何てお礼を言えばいいのやら」
「大丈夫だよ。享はこの喫茶店の常連でよく利用してくれたし、
それに享の変えたかった未来と言うのを実現して欲しいからな」
マスターはそう言って親指をぐっと立てると、小さなマッチ箱を手渡してくる。
「これは?」
なぜマッチ箱を渡されたのか分からないので、不思議に思っていると、
「そこに電話番号が書いてあるから」と言葉を付け加えられる。
「この喫茶店って『白樺』って言うんですね。
雰囲気にあった良い名前だと思います。
学校に着いたらこの番号にかけさせて頂きますね」
「おぅ、よろしく頼むな。それじゃ2人とも頼んだぞ」
マスターから花束と傘を受け取ると、元気良く「はい!」と答える。
「直くんは肩に掛けた鞄の中に入れて、顔をちょこんと出して…っと。
それじゃ、マスター! 行って来ます!」
私はマスターにふかぶかと頭を下げると、喫茶店を後にした。
『それは良かった。この世界ではまだやるべき事があるので、
ここは気を取り直して、学校までの計画を今から練るぞ』
直君が浮かべる笑顔で私の中にある「不安」の2文字が吹き飛ぶ。
直君には昔から頼ってばかりだったから、
今回こそは直君の力になってあげたいんだ。
『それじゃ、まず時系列で整理して考えてみよう。今の時間は13時20分で、
大雨が降り始める時間は、先生に電話をかけた時間、14時10分より前か』
「そうだね。まだ50分くらいはあるけど、マスターの話からすると、
学校まで15分~20分かかるみたいだから、
余裕をもって30分と想定しておいたほうがいいのかな?」
この先何が起こるか分からないので多めに見積る必要がある。
『俺達はマスターと違って初めて通る道だし、
それくらいで計算しておいた方が良いだろうな』
「あと、直君。もし何か覚えていたら教えて欲しいんだけど、
直君のお父さんの書いた物語で学校までの道のりについて
何か書かれてた?」
『そうだな……とりあえず土砂崩れが起きるとかなかったけど、
道が二つに分かれている場所があって、その片方が崩れていて、
遠回りする描写はあった気がする』
「二つに分かれた道、ね。それじゃマスターに聞いてみるね」
「学校への道の事か? それなら近道は雨が降るとぬかるむ事が多いから、
遠回りした方がいいと思うぞ」
「あ、そうですか。それじゃ、直君。マスターの言うとおり、遠回りを……」
ってわー! なぜかマスターが真横にいて、私達の話に参加している!
「マ、マスター! 私達……じゃなくて私の話を聞いてたんですか!?」
「聞いてたも何も、あんな大きな声で話してれば自然と聞こえてくるだろう?
それに事情がよく分からんが、そのぬいぐるみと話してたのも分かってたしな。
独り言で通すならもっと小さな声で話さないとだめだぞ?」
マスターはそう言って、大声をあげて笑い始めた。
『こうなったら仕方ない。マスターに全部話をして、
確実に学校に辿りつく事を優先しよう』
「分かった。直君の言う通りマスターに話をしてみるよ」
ぬいぐるみと話している私の姿を不思議な表情で見つめる
マスターにここに来てからの事、自分達の事、全てを話した。
「そう言う事だったのか。私は女子高生とか言ってたのも、
ぬいぐるみに話しかけていたのも1つに繋がったよ。
でもまさかそのぬいぐるみの中に享の息子が入っているとは
夢にも思わんかったよ」
『まあ、俺もまさかこんな状態になるとは思ってなかったよ』
「直君もこんな状態になるとは思ってなかったそうです」
「はは、まあそうだろな。直樹君の事とか色々聞きたい所だが、
時間も無い事だし、本題に入ろうか。
とりあえず先生が土砂崩れに会う事は回避できたんだな?」
「はい。先生との待ち合わせ場所を学校に変更したから大丈夫だと思います。
後は、直君と無事学校にたどり着いて、先生と会う事ができれば」
マスターにそう言うと、笑みを浮かべて話を続ける。
「なら今すぐ学校に向かえば15分くらいで着く事ができる。大雨が降る前にな。
学校への道順も間違えないようにメモしてやるから、それで大丈夫だろう」
「ありがとうございます!
コーヒーまでご馳走して頂いて何てお礼を言えばいいのやら」
「大丈夫だよ。享はこの喫茶店の常連でよく利用してくれたし、
それに享の変えたかった未来と言うのを実現して欲しいからな」
マスターはそう言って親指をぐっと立てると、小さなマッチ箱を手渡してくる。
「これは?」
なぜマッチ箱を渡されたのか分からないので、不思議に思っていると、
「そこに電話番号が書いてあるから」と言葉を付け加えられる。
「この喫茶店って『白樺』って言うんですね。
雰囲気にあった良い名前だと思います。
学校に着いたらこの番号にかけさせて頂きますね」
「おぅ、よろしく頼むな。それじゃ2人とも頼んだぞ」
マスターから花束と傘を受け取ると、元気良く「はい!」と答える。
「直くんは肩に掛けた鞄の中に入れて、顔をちょこんと出して…っと。
それじゃ、マスター! 行って来ます!」
私はマスターにふかぶかと頭を下げると、喫茶店を後にした。
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