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12話 学校に向けて
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喫茶店から外に出ると、前回豪雨の中をつっきった時と違って、
辺りがひっそりと静まり返っていた。
空を見上げると薄っすら晴れ間も見えるが、遠くには黒い雲がかかっている。
「嵐の前の静けさって感じだね」
『町の東側の道については、正直どうなるか分からない。
だからここは無理はせず慎重に進んでいこう。まだ時間はあるしな』
「分かった。それじゃ足元に気をつけて、ゆっくり学校に向かうね」
私はそう言って喫茶『白樺』に向けて再度頭を下げると、
私は東の道へと歩いていった。
東の道は西の道と違って比較的平坦で歩きやすくなってはいるが、
ラジオで言っていたように、先日の雨で一部地面がぬかるんでいるようだ。
『転ばないように注意しろよ。衣沙菜は何も無い所でも転ぶからなー』
「う、恥ずかしい限りです……。
どうせなら私がぬいぐるみで、直君がお父さんがだったら良かったのになー」
『いや、衣沙菜が父さんで良かったと思うぞ。
俺が父さんだったら、問題解決のために一心不乱に駆け回って、
うまく立ち回れていなかったと思うし』
確かに直君がお父さんだったら、「絶対に先生を助ける!」と力を入れ過ぎる
可能性は高そうだ。
『ただ力になれないのは凄く悔しいし、
衣沙菜ばかりに危険な目にあわせる事になって自分自身が情けなく思うよ』
「直君、気にしないで。私は直君のためなら例え火の中、水の中で頑張れるから!」
『そっか、悪いな…』
直君落ち込んでるな…私の事は気にしなくてもいいのに。
鞄から見える顔もしょぼんとした表情をしている。
『とりあえず今は学校に着く事が優先だな…
っとこの先の道に木が倒れこんでいるな』
直君に言われて目を向けてみると、ぬかるんだ道を通せんぼするかのように、
大きな木が倒れこんでいた。
「木を乗り越える……のはさすがに無理かな」
『道を少し外れて、林の中に通り抜けよう』
直君の指示に従い、倒木を避けて林の中に入る。
林の中は少し薄暗かったが、地面が抜かるんでいなかったため、
難なく倒木を避けて道に進む。
ポツポツ…
林を出て元の道に戻ろうとしたところで、突然雨が降り始めた。
「え、雨が降り始めるのってもっと後じゃなかったっけ!?」
『先生が土砂崩れに巻き込まれるのを回避した影響で、
状況が変わってきてるのかもしれないな』
「それだと何か不測の事態が起きる可能性もあるし、急いで道に戻らないと!」
『衣沙菜、走ると危ないぞ!』
直君の言葉を聞き入れず急いで道に戻ろうとすると、
足元のぬかるみに足を取られる。
「キャー!」
『衣沙菜、大丈夫か!?」
「痛たた…大丈夫。ちょっとお尻を打っただけだから。
でも、花束に泥が…」
先生に渡すつもりだった花束の一部にぬかるみの泥が被ってしまっていた。
『大丈夫だ。大事なのは気持ちと無事学校にたどり着く事だ。
雨も少し強く振り出してきたし、急いで道を進むぞ!』
「分かった!」
花束をしっかり握り直して傘を広げ、降りかかる雨に向かって走り出した。
『ここが分かれ道みたいだな』
地面に気をつけながらしばらく走っていると、別れ道までたどり着いた。
「マスターのメモによると右の道が遠回りだけど、
見た感じ道は安定しているみたいだね」
『父さんの物語からずれてる可能性があるけど、
ここはマスターを信じて右の道を進もう!』
「OK!」
今は信じて進むしかない。
何が待ち構えているか分からないのが少し怖いけど、直君もついてくれてる。
いや、直君に頼ってばかりじゃいけない。
自分を信じていなければ、成せるものも成せる訳が無い。
だから私も私を信じて前に進もう!
強くなる風に花びらが飛ばされ、ぬかるんだ道を回避し、
しまいには傘の骨が折れて使い物にならなくなったが、
それに負けじと道を突き進む事で、ついに学校へとたどり着いた。
辺りがひっそりと静まり返っていた。
空を見上げると薄っすら晴れ間も見えるが、遠くには黒い雲がかかっている。
「嵐の前の静けさって感じだね」
『町の東側の道については、正直どうなるか分からない。
だからここは無理はせず慎重に進んでいこう。まだ時間はあるしな』
「分かった。それじゃ足元に気をつけて、ゆっくり学校に向かうね」
私はそう言って喫茶『白樺』に向けて再度頭を下げると、
私は東の道へと歩いていった。
東の道は西の道と違って比較的平坦で歩きやすくなってはいるが、
ラジオで言っていたように、先日の雨で一部地面がぬかるんでいるようだ。
『転ばないように注意しろよ。衣沙菜は何も無い所でも転ぶからなー』
「う、恥ずかしい限りです……。
どうせなら私がぬいぐるみで、直君がお父さんがだったら良かったのになー」
『いや、衣沙菜が父さんで良かったと思うぞ。
俺が父さんだったら、問題解決のために一心不乱に駆け回って、
うまく立ち回れていなかったと思うし』
確かに直君がお父さんだったら、「絶対に先生を助ける!」と力を入れ過ぎる
可能性は高そうだ。
『ただ力になれないのは凄く悔しいし、
衣沙菜ばかりに危険な目にあわせる事になって自分自身が情けなく思うよ』
「直君、気にしないで。私は直君のためなら例え火の中、水の中で頑張れるから!」
『そっか、悪いな…』
直君落ち込んでるな…私の事は気にしなくてもいいのに。
鞄から見える顔もしょぼんとした表情をしている。
『とりあえず今は学校に着く事が優先だな…
っとこの先の道に木が倒れこんでいるな』
直君に言われて目を向けてみると、ぬかるんだ道を通せんぼするかのように、
大きな木が倒れこんでいた。
「木を乗り越える……のはさすがに無理かな」
『道を少し外れて、林の中に通り抜けよう』
直君の指示に従い、倒木を避けて林の中に入る。
林の中は少し薄暗かったが、地面が抜かるんでいなかったため、
難なく倒木を避けて道に進む。
ポツポツ…
林を出て元の道に戻ろうとしたところで、突然雨が降り始めた。
「え、雨が降り始めるのってもっと後じゃなかったっけ!?」
『先生が土砂崩れに巻き込まれるのを回避した影響で、
状況が変わってきてるのかもしれないな』
「それだと何か不測の事態が起きる可能性もあるし、急いで道に戻らないと!」
『衣沙菜、走ると危ないぞ!』
直君の言葉を聞き入れず急いで道に戻ろうとすると、
足元のぬかるみに足を取られる。
「キャー!」
『衣沙菜、大丈夫か!?」
「痛たた…大丈夫。ちょっとお尻を打っただけだから。
でも、花束に泥が…」
先生に渡すつもりだった花束の一部にぬかるみの泥が被ってしまっていた。
『大丈夫だ。大事なのは気持ちと無事学校にたどり着く事だ。
雨も少し強く振り出してきたし、急いで道を進むぞ!』
「分かった!」
花束をしっかり握り直して傘を広げ、降りかかる雨に向かって走り出した。
『ここが分かれ道みたいだな』
地面に気をつけながらしばらく走っていると、別れ道までたどり着いた。
「マスターのメモによると右の道が遠回りだけど、
見た感じ道は安定しているみたいだね」
『父さんの物語からずれてる可能性があるけど、
ここはマスターを信じて右の道を進もう!』
「OK!」
今は信じて進むしかない。
何が待ち構えているか分からないのが少し怖いけど、直君もついてくれてる。
いや、直君に頼ってばかりじゃいけない。
自分を信じていなければ、成せるものも成せる訳が無い。
だから私も私を信じて前に進もう!
強くなる風に花びらが飛ばされ、ぬかるんだ道を回避し、
しまいには傘の骨が折れて使い物にならなくなったが、
それに負けじと道を突き進む事で、ついに学校へとたどり着いた。
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