江戸の『鬼』

小豆あずきーコマメアズキー

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事件の真相…

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壱陸四十弐(1642)年。

拙者、正室(俺は、妻)を娶った。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

布団の上で仰向けになる妻は、普段ツインテールにしている水色の長い髪を解いた状態で、若々しい幼児体型の裸を晒しており、その上に覆い被さるのは、黒髪で、25歳には見えない程童顔であり、村の女性たちからは彼が子供っぽく、顔も可愛い印象であり、しかも身長が153センチ程しかない事から『可愛い』と、男性にとって屈辱的な言葉を浴びる事があり、いつも泣かされてるどこにでも居る村人の、伊村尊は、筋肉で引き締まった裸体になって膣に、自分でも驚く程に大きくなった陰茎を差し込んで出し入れしていた。

「はぁはぁはぁはぁ」

額から一筋の汗を流し、妻の、膨らみの暗示さえない胸を両手で触れ出し入れし続ける。

「んふぅ!あぁっ!ん、ふあぁ!」

唾液を垂れ流し、ず、腰をビクビクと痙攣させて軽く達す。プシャッと愛液が溢れ、トロォッ♡と糸を引く。一度からだにこびりついた快感はどこにも出ていかず、抗う事が出来ない。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

正室(妻)が、感じてくれてる。

初の事の性行は(初めてのセックスは)。

正室(妻)との子作り。

「あぁ……………………ッ…!」

唾液を垂れ流し、突き昇ってくる熱の魅力に抗えず、欲望を燃え上がらせどくどくと全身の血が滾り、我慢汁がビュクビュクと溢れ、身がゾクッとし、この快感に逆らえない。

「はぁ」

こころもち良き(気持ち良い)。

「ふあぁ!アァッ!あっ!んふぅ!」

ギッチギチに咥え込み、彼女はこう、口にした。

「恋し(好き)」

「それがし(俺)も、好き!大好き!」

妻から言われたのは初めてであり、その上とても舞い上がり、後頭部と背中に腕を回して抱き締め、子宮を何度も突き上げる。

「夢!」

「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あああぁ!あぁっ!あららかなり!尊!あららかなり!心地良し(激しい!尊!激しい!気持ち、良いぃ)!」

それがしの正室も(俺の妻も)。

正直この子作りにて(で)。

初の事でござった(初めてだった)。

差し込んじゃ(だ)時に血が出たから。

思うておるに、処女膜が切れたでござるんであると思うておる(思うに、処女膜が切れたんだと思う)。

「それがしもこころもち良き(俺も、気持ち良い)!」

それがしにても十壱も年下の子を娶とは(俺よりも11も年下の子を娶って)。

子作りしてちょーだい(子作りして)。

感じて…。

とはいえ違反はしてちょーだいなゐ(でも違反はしてない)。

女は、壱参にて輿入れが出来る(13で結婚が出来る)。

じゃ(だ)から。

妥当な輿入れ(結婚)が出来て良かった。

「あぁっ!達す!夢!達す!ぅ!ああああぁ!」

腰を痙攣させて飛び散る程の多量の精を放った。射精は力強く、雄々しく、精液はどこまでも濃密だった。きっとそれは子宮の奥まで到達したはずだ。あるいは更にその奥まで。それは実に非の打ち所のない射精だった。卵管を通り卵子を待つ。卵巣から排卵が起こる。精子と排卵をした卵子が、卵管膨大部で出会い、受精をする。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管を通り、子宮内へ移動する。子宮に到達した受精卵は、子宮内膜に着床し、妊娠が成立する。

「あぁっ!ふ、ああああぁ!!」

そしてほぼ同時くらいに、失神しそうな程のエクスタシーが体を駆け抜け、ビクビクと腰を痙攣させ、体は快感のあまりにゾクゾクし、ブッシューーーーーーーーーッ!と、何メートルとも潮を吹き出した。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

「はぁはぁはぁはぁ」

ヌプッと抜けば、先ほどの勃起した大きさが嘘のように小指サイズ程に戻っていた。

片腹いたい(恥ずかしい)。

どのくらい経っただろうか。キン!キン!と言う、刀と刀が擦れ合うような音が響いたのだ。

「んぅ?」

「なに?」

その音は夢も聞こえており、ムクッと起き上がった。

『ぐっ!』

「仁導(仁導様)!?」

その声は隣に住む鬼賀乃仁導の声だ。

『あがぁ!』

「襲はれたり(襲われてる)?!」

妻はそう言い放ち、勇敢にも尊は立ち上がって走って家から出て行った。

「尊油断せぬやう(気を付けて)!」

「仁導!仁導!仁導(仁導様!仁導様!仁導様)!」

草履も履かずに戸を開けようとしたが、しっかりと閉められている。

「仁導(仁導様ぁ)!」

ドンドンドンドンドンドンドンドン!と、ノックするも、刀の擦れる音は止まらない。

「仁導(仁導様ぁ)!」

「尊退けええええぇ!!」

その時、衣を腰まで開(はだ)けさせて走って来たのは、緑色が掛かった黒髪の、性的魅力に溢れた高身長の男、白鳥ナガレだ。

「仁導おおぉ!!」

すると彼は、戸を蹴破って入ったのだ。

「!!!!!!!!!!?」

目を見張り、ナガレは瞳を揺らす。そして尊と、栗色のソバージュが毛先に掛けられた唇にさしている紅が良く似合う高身長の女、奈良和美嘉も入って来た。彼女が彼を呼んだのであろう。

「鬼賀乃!!」

「!!!!!!!!!!?」

壁に立つ黒髪で、高身長のイケメンの風貌の主である男、鬼賀乃仁導は、腹部に刀が3本突き刺さっており、血を吐き出して白目を剥いていた。中には彼しか居ない。ナガレは、仁導をお姫様抱っこして、森へ向かった。

「………………………………………」

前髪の陰で表情を隠し、彼の唇に唇を押し当ててキスをし、埋めた。寝てしまうには惜しいほど綺麗な月が、分厚い雲に隠れた。立ち上がり、ギリッと歯を食い縛り

仁導!

一節の涙を、流した。

翌日。

「第ひい(一)発見者は?」

それを聞いたのはシルバーの髪が目立ったイケメンな風貌の38歳の男、大浦湊だ。ナガレの家に集まったのは尊と美嘉であり、一応新婚と言う事で夢も来ていた。

「尊じゃ(だ)」

「うえぇ!?否!ながれ殿ではないでござろうか(違いますよ!ナガレさんじゃないですか)!」

「あぁ!?それがし(俺)?」

「ど、どっちでござろうか(ど、どっちですか)?」

突然擦り合いみたいなのが始まり、湊は美嘉に顔を向けて助けを求める。

「ナガレならむ?なんとなれば戸を蹴破らずや(ナガレさんでしょう?だって戸を蹴破ったじゃないですか)」

何て冷静な。

「………………………………………」

そう言えば、戸が開かなくてノックしていた尊を退かして蹴破り、真っ先に仁導の姿を見たのは…。

「あぁそれがしじゃ(俺だ)」

湊は、呆れた表情を浮かべてしまう。仮にも白鳥は自分よりも階級が上の警察。

「さふ云ゑば、奈良和はなぜ?(そう言えば、奈良和はどうして)?」

ふと、尊は彼女に顔を向けて触れた。

「寝たらば刀の音きこえ、外にいでば鬼賀乃の家よりすれば、近くにゐたるナガレを呼びに行きけり(寝てたら刀の音が聞こえて、外に出たら鬼賀乃の家からしたから、近くに住んでるナガレさんを呼びに行ったんだ)」

仁導の家の近くに住んでいるのは確かであり、その音は自分たちの家以外にも聞こえていたようで、取り敢えず警察のナガレの家に行って助けを求めてくれたのだ。尊と違い、良い判断だ。昨夜は、彼は刀すら持っていなかったので、戸が開いたとしても丸腰の為、犯人に出会して攻撃を受けていた可能性がある。

「湊!貴様は待機してちょーだい(お前は待機してろ)!」

ふとナガレは立ち上がると尊の腕を掴んで立たせ連れて行ったのだ。

「うええええええぇ~!?ちょっ!ながれ殿(さん)!」

「ながれ殿(さん)!」

「あからさまに(ちょっと)ー!」

夢は立ち上がると

「悪しき(悪ぃ)夢!旦那は借りて参る(行く)ぜ?」

そう言い、家から出て行ったのだ。

「もぉー!尊はただの村人なれど(なのに)ー!」

「なれば尊をぐしゆくぞ(てかなんで尊を連れて行くんだよ)?」

つい、彼女は突っ込みを入れてしまう。

「ながれ殿。物寂しいんじゃな(ナガレさん。寂しいんだな)」

「さうざうし(寂しい)?」

美嘉はふと、顔を向けた。

「仁導殿と云ゑばながれ殿。ながれ殿と云ゑば仁導殿でござったから、面には出さなゐなれど、ひどく怒とはゐる(仁導様と言えばナガレさん。ナガレさんと言えば仁導様だったから、顔には出さないけど、ひどく怒っている)」

尊の腕を掴んで前を歩くナガレは、額に欠陥が浮いており、普段、滅多に怒らない彼の顔は怒りに燃えており、その目は、犯人に向けて猛毒のような殺意を向けていた。2人が向かった先は、彼の知らない家だった。

「ながれ殿(ナガレさん)。ここは?」

ドンドンドン!ナガレは、躊躇いもなくノックをした。すると、ガラッと、戸が開いた。それは、ブロンドの短い髪の、一度見たら頭にずっと残る蠱惑的な美貌の主であり、片方の腕が、無かった。

「!!!!!!!!!?」

この子…。

「なにか、用?」

彼に対して敬語ではなくタメ口を利いている。

「仁導が死んじゃ(だ)」

ストレートにそう伝えれば、彼女は目を見張り、瞳が揺れる。ひどく動揺しているようだ。

「仁導、が?」

ふと、その目に浮かぶあの時の記憶。

『く………………………ッ…うぅ!』

か細い華奢な腕を掴まれている自分は、刀を手にしていた。警察長屋で、訓練を受けていた。

『その武士の魂はなんの為の武士の魂じゃ?飾りの為なりしがとか?振るゑ!武士の魂を握とはゐるのみにてはなんの意味もござらんぞ女!力の劣る者は死ぬ!警察に入とは貴様はなにをするでござるんじゃ?なんの役にも立たなゐ女がここに居ても意味が無い!とっとと屋敷に去れば!修行の妨害をするでござるな!在るのみにて迷惑千万じゃ!消ゑ失せろ(その刀はなんの為の刀だ?飾りの為のものか?振るえ!刀を握っているだけではなんの意味も無いぞ女!力の劣る者は死ぬ!警察に入ってお前はなにをするんだ?なんの役にも立たない女がここに居ても意味がない!とっとと家に帰れ!訓練の妨害をするな!居るだけで迷惑だ!消え失せろ)!』

その時、彼女の闘争心に火が付いたのか、掴まれていた腕を、自らの刀で斬り落としたのだ。

『!!!!!!!!!?』

バランスを崩したその隙に、腹部を突き刺した。

『我は。我は妨害しする料に検非違使にならまほしからず(私は。私は妨害をする為に警察になりたいんじゃない)!』

だが、咄嗟に仁導はその刃先に握っており、止めていた。その強い魂を受け、彼は惚れた。

『愛道』

やがて、警察長屋の廊下を歩いていた愛道鈴に声を掛けま仁導は、こう言った。

『貴様(お前)に、子を授ける』

下手なプロポーズとも思えない言葉を受けたが、自分は14歳の秋に、娶られた。

『はっ!あぁっ!あっ!あっ!あぁん!』

布団の上で美しく、生命感に溢れ、清潔で、セクシーな裸体姿になって、仰向けになる鈴の上に覆い被さる彼は、筋肉で引き締まった肉体美を晒して大きい陰茎を差し込んで子宮を何度も突き上げていた。

『ん、はぁ!』

唾液を垂れ流し、一度からだにこびりついた快感はどこにも出ていかず、感じずには居られず、腰をビクビクと痙攣させて軽く達す。プシャッと愛液が溢れ、トロォッ♡と糸を引く。

『はあぁ』

締め付けられるその快感にブルッと身震いし、突き昇ってくる熱の魅力に抗えず、欲望を燃え上がらせどくどくと全身の血が滾り、勃起して太く猛々しくそびえ、びくんびくんと脈打つ陰茎から我慢汁がビュクビュクと溢れ、妻の体がバラバラになるほど愛する。

『仁、導ぉ!恋し(好き)。仁導』

結婚した時は、仁導など愛していなかった。だが、触れ合う度に、愛が増して行った。

『あぁ鈴。それがしも好いておる。お慕い垂き(俺も好きだ。愛してる)』

元々が、誰もが満足の行く大きさであり、それが興奮して勃起する事によって更に人間離れした大きさになる。それで突き上げられているので、大いに体が満足する。

『んはぁ!アァッ!』

ぼろぼろと大きい雨粒のような涙を流し、舌を出す。快楽の海に溺れて這い上がる事が出来ず、この上ない快感に身体がとろける。

『あぁっ!ん、はああぁ!』

上体を逸らし、失神しそうな程のエクスタシーが体を駆け抜け、ビクビクと腰を痙攣させ、体は快感のあまりにゾクゾクし、ブッシューーーーーーーーーッ!と、何メートルとも潮を吹き出した。

『く……………………ッ…おぉ!』

子宮にグリッと突き付けた状態で唾液を垂れ流して腰を痙攣させて太く猛々しくそびえ、びくんびくんと脈打つ陰茎から、飛び散る程の多量の精を放った。射精は力強く、雄々しく、精液はどこまでも濃密だった。きっとそれは子宮の奥まで到達したはずだ。あるいは更にその奥まで。それは実に非の打ち所のない射精だった。卵管を通り卵子を待つ。卵巣から排卵が起こる。精子と排卵をした卵子が、卵管膨大部で出会い、受精をする。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管を通り、子宮内へ移動する。子宮に到達した受精卵は、子宮内膜に着床し、妊娠が成立する。

『はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ』

暫くは共に働いていたのだが、妊娠をし、子を産んでから警察を辞めた。

「厳しき人なりき。げに厳しく、されど、わらはの事を深がる人なりき。されど、何年か経る内に、本性を表しき(厳しい人だった。本当に厳しくて、でも、子供の事を深く愛してくれる人だった。けど、何年か経つ内に、本性を表した)」

その瞳に映るのは、あの時の続きの記憶が語られる。

『あぁっ!』

囲炉裏に座っていた自分は殴られ、ドサッと、倒れてしまう。

『母上(母ちゃん)!』

生まれた子供は京牙と名付けられ、父に似てイケメンな風貌を貰い、目元のキッとした感じはママの鈴にそっくりな栗色の髪の男の子。

『ひどゐな!なにするでござる(ひっでえな!なにするんだよ)!』

当時5歳だった彼には、本当は刺激的なのだが、暴力は日常茶飯事だった為、怖くて泣く事も無くなった。

『京牙。部屋に戻とはゐろ。御母上と大事な話しがござる(部屋に戻っていろ。ママと大事な話しがある)!』

だが、自分の息子には決して手を出さなかった。前髪から覗くその目は、人間の目をしてなく、唾液を垂れ流している。

『!!!!!!!!!?』

それを見て、彼はゾッとしてしまう。

『はぁ』

彼女は上体を起こし、片方の手で息子の頬に触れた。

『父の言ふ事聞きて(パパの言う事聞いて)』

『母上(母ちゃん)…』

すると京牙は、その場から去った。

『あぁっ!ぐ、あぁ!!』

バキッ!と言う、殴っているような音が響く。

『両手にて武士の魂を握れ!片方のみにて握るな(両手で刀を握れ!片方だけで握るな)!』

『いかで両手に握るぞ!いま限りぞ!京牙ぐしていでゆく(どうやって両手で握るのよ!もう限界だよ!京牙連れて出て行く)!』

『貴様になんの権利があとは物事を申してるんじゃ!?生きてる存在自身邪魔な貴様に!なんの権利がござると申すんじゃ!?好き勝手云いおって(お前になんの権利があって物事を言ってるんだ!?生きてる存在自体邪魔なお前に!なんの権利があると言うんだ!?好き勝手言いやがって)雌豚があぁ!』

パァン!と、片方の肩を撃たれ

『ぐあああああぁ!』

彼女は傷口を抑えて倒れる。

『あぁっ!』

『この屋敷も村も支配致し候のはそれがしじゃ!勘違ゐするでござるな!貴様にてはござらぬ!頭とはいえ冷やせ(この家も村も支配しているのは俺だ!勘違いするな!お前ではない!頭でも冷やせ)!』

妻の髪の毛を鷲掴んで引きずり

『ぐああぁ!!』

台所の床下の酒を貯蔵する収納扉を開き、そこに投げ込んだ。

「仁導が寝し後に、息子をぐしていで、空き屋に身を隠しけれど、仁導に、見付けられき(寝た後に、息子を連れて出て、空き屋に身を隠したんだけど、仁導に、見付けられた)」

ダンダンダンダンダン!戸を蹴る音が響き、囲炉裏の隅に息子を抱いて震える自分は、今にも泣き出しそうだった。

『愉快であるかくれんぼの終わりが参った(楽しいかくれんぼの終わり時だ)!』

『母上(母ちゃん)…』

『京牙』

ダァン!

『!!!!!!!!!?』

戸を、蹴破られた。隅の方で大人しく座っていた鈴と、抱かれている息子の目に映ったのは人間でも、化け物でも無かった。人間の形をした「生き物」に見えた。

「我が逃げずは(私が逃げなければ)、京牙は…」

『止めて!!』

『母上(母ちゃあぁん)!!』

パァン!息子の脚を掴んだ状態で持ち上げていた彼は撃ち、ドサッと落とした。

『京牙!京牙ぁ!』

ぼろぼろと大きい雨粒のような涙を流し、息子を揺さぶるも、まるで人形師が糸で操っていた人形の糸が途切れたかのように体は動かない。

『逃げられるでござるととはいえ思とはおりきとか?単細胞にてあとはも分かとはおりき手筈じゃ。貴様には(逃げられるとでも思っていたのか?単細胞であっても分かっていたはずだ。お前には)』

妻の肩を蹴って乱暴に仰向けにさせ、裾をまくると

『がっかりじゃ(だ)』

大きい陰茎を膣に差し込み、出し入れし出した。

『なれど平穏しろ鈴。拙者、貴様を深く慕っておる。今一度わらしを産め(だが安心しろ鈴。俺はお前を深く愛している。もう一度子を産め)』

『はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ』

頭も中がしびれて目の前の現実が受け入れられない。

京牙ぁ!

ぼろぼろと大きい雨粒のような涙を流し、しゃがみ込んだ。

「やうやう!やうやう終はり来たり!やうやう!京牙!やうやう終はりき!悪夢が!生きたる悪夢居ずなりき!いかで京牙の死ぬべかりし!?死ぬるは我ばかりにてありぬべかりしに!いかで(やっと!やっと終わりが来た!やっと!京牙!やっと終わった!悪夢が!生きてる悪夢が居なくなった!どうして京牙が死ななければいけなかったの!?死ぬのは私だけで良かったのに!どうして)…。ああああぁ!」

子供のように泣きじゃくり、恐怖と悲痛を覚えながら生きていた人生から、解放された時が来た。するとナガレはしゃがむと、彼女の後頭部に腕を回してギュッと、抱き締めた。

「悪しき。左様な事があったでござるなりしが知らずに。誠、悪しかった(悪い。そんな事があったのも知らずに。本当、悪かった)。鈴」

冷酷非道で鬼だと言うのは分かり切っていた。だが、妻と子に対してひどい事をしていたのはつい知らず、鈴の前で夫の名を口にした自分のその軽率な行動を、憎んだ。

「………………………………………」

尊はその後ろで拳を握り締め、ギリッと、歯を食い縛った。

ひどゐ(い)!

酷すぎる!

わらしと正室に左様な事を(子供と妻にそんな事を)!

やがて彼女の家から去り、次に向かった先は、双子の兄、綝導の家が。弟の仁導と違って性格がとても良くて優しく、それが顔に滲み出ていて笑顔がとても似合う人だ。

「舎弟が某かに襲われたでござる事は、湊から聞おりき(弟が何者かに襲われた事は、湊から聞いた)」

囲炉裏に座る彼は、すっかり気落ちしていた。あれでも、自分と血の繋がりがある弟なので、暫くはずっと仁導の事を思って泣いていた。

「鈴氏が離別してちょーだいゐて良かった。仁導のみにてござらぬ、鈴氏も襲われておりきやもしれぬ(鈴ちゃんが別居していて良かった。仁導だけでなく、鈴ちゃんも襲われていたかもしれない)」

自分の弟が何者かに襲われて亡くなったにも関わらず、こんな時でも彼の嫁を気に掛けていた。

「綝導殿!他人の事にはござらぬて、己の事を先ずはお存念下され!己の舎弟が亡くなられたでござりまするよ?他人の事にてももっと、己の魂を手当てして奉り候!綝導殿(綝導様!他人の事じゃなくて、ご自分の事を先ずはお考え下さい!ご自分の弟が亡くなられたんですよ?他人の事よりももっと、ご自分の心をケアして下さい!綝導様)!」

「………………………………………」

尊は、そう言い放った。すると彼は一筋の涙を流すと、片方の大きい手で目を覆い隠して俯き、声を押し殺して泣いた。

「くはぁ!はあぁ」

一番怪しいとして見るのは、双子の兄と、別居中の妻。だが、警察として聞き込みをしに来ている自分が、心の傷を負わせに行っているので、ナガレは、ずっしりと重い痛みが胸の中心を貫く。

「まことにかたじけない。ござるが、聞き込みをしねば、犯人を泳がせてしまう事になりんす。誠、申し訳ござゐませぬ。綝導殿(本当にすみません。ですが、聞き込みをしなければ、犯人を泳がせてしまう事になりますので。本当、申し訳ございません。綝導さん)」

彼は泣きながら笑みを浮かべ、首を振った。どこまでも、優しい人だ。やがて家から出、2人は家に帰って行く。

「犯人と申す要素は全くないでござる(犯人と言う要素は全くないですね)?」

「あぁ~じゃから聞き込みは好まぬのじゃ。被害者の身近な人が必ず疑われてしまう。心底にて胸が痛ゐぜ(だーから聞き込みは嫌えなんだよ。被害者の身近な人が必ず疑われちまうかんよ。マジで胸が痛えぜ)」

「とはいえ仁導のきゃつ。正室と子を(でも仁導の奴。妻と子を)」

もはや『様』付けをせず『奴』扱い。仁導が聞いていたら大変だ。

「尊」

「うえっ?」

「振り返るなで候?我が軍の後を付けてる気配がするでござる(振り返んなよ?俺たちの後を付けてる気配がすんぜ)」

「うえっ!?」

すると、彼はむぐぐと口を紡ぎ抑える。

「犯人やもしれぬ(犯人かもしんねー)」

だとしたら一番危険だ。と言うのも、犯人だからではなく、あの仁導を突き刺す事が出来る程の強者だからだ。鬼に太刀打ちが出来る人は早々居ない。強者であってもおかしくは無い。

「いかがしんす(どうしますか)?」

「決まっとるであろう(決まってんだろう)?」

「うえっ?」

すると彼は、尊を脇に抱えて走り出したのだ。

「尻を返す(逃げる)!」

「うええええぇ~!ひい番剣呑事しておる(一番怪しい事してるぅ)ー!」

タタタ!追っていた影も走ったが立ち止まり、2人と距離を置く。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

家に着くなり囲炉裏にぐったりと倒れるナガレと、妻を抱き締めて離さない甘えん坊な夫。そして、待機していた湊と、帰って来るまでこの家に居た美嘉に、鈴と綝導の事を話した。

「綝導と嫁な訳なからむ(綝導様と嫁な訳ないだろう)?」

嫁に関しては、仁導がした事を伏せた。あまりにも残酷な事をしていたから。

「いやはや。ひい番身近な人としてちょーだいは確かに怪しむべき人物なり事は確かじゃ。ながれ殿。ゆるりと休みて下され。後は村に聞き込みをしてちょーだいき候(いや。一番身近な人としては確かに怪しむべき人物である事は確かだ。ナガレさん。ゆっくり休んで下さい。後は村に聞き込みをしてきます)」

「村に聞き込みても返事は返とは来なゐであろう(村に聞き込んでも返事は返って来ねえよ)」

「人に決まっとるにはござらんでござろうか(人に決まってるじゃ無いですか)」

すると彼は、子供のように無邪気な笑みを浮かべた。そして、黒髪の爽やか系な、顔が整った美形であり、片方の前髪が長い男、甲斐田純也と、色気のある顔をした高身長の女、大橋ミクと共に村中での聞き込み捜査が行われる。

「ながれ殿(ナガレさん)」

「如何した(どぅーした)?」

「何故でござるそれがしを連れて参ったみてすか?それがし村人だに(なんで俺を連れて行ったんですか?俺村人なのに)」

気が動転していたのか分からないが、尊はふと疑問に思いそう口にすると

「黒髪じゃ(だ)から」

「うえっ?」

「湊は銀色の髪をしてちょーだいであろう?仁導は黒髪でござったから貴様を連れて参った(銀色の髪をしてんだろう?仁導は黒髪だったからお前を連れて行った)」

ナガレと言えば仁導。仁導と言えばナガレと言われていたものの、だとしてもこの人、やはりアホ過ぎる。

「うぅ…」

左様な事の由にて(そんな理由で)?

やがて、湊たちが帰って来た。

「おう。聞き込みご苦労でござる(聞き込みお疲れ)」

「ご苦労でござる(お疲れ様です)」

「こうじ様なり(お疲れ様です)」

「ながれ殿。第ひい発見者なんじゃとは(ナガレさん。第一発見者なんだって)?」

それを言ったのは純也だ。警察が第一発見者と言うのも中々面白い。

「あぁ。運悪し(悪く)な」

「ふふふふふ」

「村に聞き込みをしたでござる所、仁導如く太刀打ちが出来るごとき人が先ず在る訳がござらぬ。そこにて、太刀打ちが出来る人間としてちょーだい存念られるでござると致したら(村に聞き込みをした所、仁導様に太刀打ちが出来るような人が先ず居る訳がなく。そこで、太刀打ちが出来る人間として考えられるとしたら)…」

ふと、3人はナガレに顔を向けた。

「ながれ殿。お主しかゐらっしゃらなゐみてす(ナガレさん。あなたしかいらっしゃらないんです)

仁導と言えばナガレ。ナガレと言えば仁導。仲が良いと言う理由で常に行動を共にしていた訳ではない。彼と太刀打ちが出来、鬼賀乃仁導を守る事が出来る。だから行動を共にしていた。

「ながれ殿を疑とはゐる訳ではないなれど、条件がことごとく合いかにもでござるよ。第ひい発見者でござるし、仁導殿と太刀打ちが出来るのは(ナガレさんを疑っている訳じゃないけど、条件が全て合うんですよ。第一発見者ですし、仁導様と太刀打ちが出来るのは)…」

「それがしのみにてとは事か(俺だけって事か)」

「とはいえ!それがしたちが帰っとる時に(でも!俺たちが帰ってる時に)…!」

「それがしではない!条件が合っとるのみにて疑うな!なん年それがしが仁導と共に居たと思っとるんじゃ!間近な人間を疑う事しか出来なゐなら警察何やら辞めてしまゑ(俺じゃねえ!条件が合ってるだけで疑うんじゃねえ!何年俺が仁導と一緒に居たと思ってんだよ!間近な人間を疑う事しか出来ねえなら警察なんざ辞めっちまえ)!!」

「ナガレ。言はまほしき事があらば署に聞く(ナガレさん。言いたい事があるのであれば署で聞きます)」

そう言い、ミクは手枷を嵌めた。

「ふざけるな(ふざけんな)!」

「止めろで候!ながれ殿な訳ござらんであろう(止めろよ!ナガレさんな訳無いだろう)!?」

「庇ゐ立てするでござると夫婦(めおと)諸共御用するでござる(庇い立てすると夫婦諸共逮捕する)!」

こんなの無茶苦茶だ。

「!!!!!!!!!?」

尊は、何も言えなくなってしまった。

「尊…」

妻は、彼の手首を掴んだ。

「物騒じゃからで候。屋敷の事は任せたぜ(物騒だからよ。家の事は任せたぜ)?」

そして、ナガレは連れて行かれた。

何故でござるながれ殿(なんでナガレさん)が!

かのようなの、理不尽じゃ(こんなの、理不尽だ)!

その夜。じめじめと薄ら寒いわびしい雨が降り注ぐ。森の奥深くで、地面から伸びる腕は、這い上がって来た。

「はああああぁ」

土まみれの男は、暗黒の空に稲光がぴりぴり裂け、空を真二つに裂いたかと思われるほどの音を立てて雷が鳴る。

「はぁ………………はぁ…はぁ……はぁ」

布団の上で横たわる鈴は美しく、生命感に溢れ、清潔で、セクシーな裸体姿になっており、膣からトロォッと、放たれたばかりの精が流れていた。

「はあぁ」

頬を染め、体はぐったりしており、唾液を垂れ流した状態で定期的に潮を吹いており、腰が痙攣したまま立てなかった。まだ、下半身に熱を持っており、一度からだにこびりついた快感はどこにも出ていかない。

「………………………………………」

背を向けて座るのは、綝導だ。筋肉で引き締まった肉体美を晒しており、俯いていた。

ドンドンドンドンドン!戸を、ノックされた。

『?』

囲炉裏に座っていた自分は立ち上がり、囲炉裏から降りた際に草履を履いてガタッと、戸を引いた。そこに立つのは、雨に濡れた綝導だった。彼は普段、世話をしにここへ来る。自分の弟がした事を、知らない訳がない。弟の罪を報いる為に、兄自らが脚を運んでここへ来る。

『しほたれたり(濡れてる)』

『ここに来る途中、雨が降とは来てしもうた。夕餉の支度をするでござる(雨が降って来てしまった。夕飯の支度をする)』

『その前に、お風呂入りて。乱り風引きぬ(お風呂入って。風邪引いちゃう)』

互いに裸になり、五右衛門風呂に浸かる。背を向けて座る自分の後ろで浸かる彼は、鈴を抱き寄せた。

『舎弟がしたでござる事を、忘れしめてあげたゐ(弟がした事を、忘れさせてあげたい)』

『あながち。さる事さらにえず。孤独に術無し(無理。そんな事絶対に出来ない。孤独で仕方が無い)』

体育座りし、前髪の陰で表情を隠し、一筋の涙を流す。

『綝導。いま、綝導の世話にはならずとも、我一人生きゆくべし。今までかたじけなし。我などの料に、世話し続けて(綝導さん。もう、綝導さんの世話にはならなくても、私一人で生きていける。今までありがとう。私なんかの為に、世話をし続けてくれて)』

『鈴氏(ちゃん)』

アゴを掴んで顔を向けさせると

『頼とは所望致す(頼って欲しい)』

唇に唇を、押し当てた。

「ながれ殿が、御用させた(ナガレくんが、逮捕された)」

ふと、彼女は顔を向けた。

「えっ?」

「疑わらるるには、条件が合う。ながれ殿には、まことにかたじけない事をしめてしもうた(疑われるには、条件が合う。ナガレくんには、本当に申し訳ない事をさせてしまった)」

彼女は女の子座りし、瞳を揺らす。

「いかで我を庇ふや?綝導はただ双子のお兄さんて言ふばかりなれど、我ら夫婦の心憂きに。いかで庇ふや(どうして私を庇うんですか?綝導さんはただ双子のお兄さんて言うだけなのに、私たち夫婦の問題なのに。どうして庇うんですか)?」

「………………………………………」

綝導は、黙り込んだ。あの晩。仁導の家に居た。

『仁導。太刀打ちを願わくは(願う)』

『左様なあの女が好きか?離別致し候が、鈴はそれがしの奥方じゃ。貴様にはかまえて渡さぬ(そんなにあの女が好きか?別居しているが、鈴は俺の妻だ。お前には決して渡さん)』

『仁導。物申すが、拙者天下無双ぞ(言っておくが、俺は強い)』

『寝ぼけておるなら、眼を覚ましめてやらふ(寝ぼけているなら、目を覚まさせてやろう)』

彼は、刀を、抜いた。そこで犯行が行われた。突き刺したのは一本だけでない。二本三本と、鈴に対する想いが乗せられ、弟を突き刺した。

『ぐ……………………ッ…うぅ!』

血を吐き出し、壁に立つ彼は、刀を抜こうとして力を入れるも、体重を掛けられて突き刺さっていき、やがて、貫通した。

『仁導。すまなゐ!貴様がしたでござる事は、許させなゐ事じゃ(すまない!お前がした事は、許されない事だ)!仁導ぉ』

彼は、ぼろぼろと大きい雨粒のような涙を流し、そう言い放った。

『甘いでござ候(甘い)』

血を吐き出し、白目を剥いた。

『はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ』

手を掛ける事など、初めてだ。手が震え、弟を深く愛する。

『仁導』

仁導がした事は、許される事ではない。だが、公にしなかった自分もいけなかった。彼を、甘やかしてしまったのは紛れもなく自分のせい。逆らえば、血の繋がった兄でさえも撃たれる。なら、村を支配して有頂天になっている弟を終わらせるには、こうするしかなかった。

「自主する。ながれ殿が如何ほどにもにも可哀想じゃ。理不尽じゃ(ナガレくんがあまりにも可哀想だ。理不尽だ)」

「人の奥方(妻)に、手を出すな」

「!!!!!!!!!?」

顔を向けると、刀を握っている仁導の姿が。彼は、白目を剥いていた。

「仁導!」

「眼は見ゑぬとも、気配にて分かる。潮と精の匂ゐがするでござる。正室の中に、出したでござるな(目は見えぬとも、気配で分かる。潮と精の匂いがする。妻の中に、出したな)?」

額から一筋の血を流しており、ニヤッとする。その時、ナガレと湊が鈴の家に入って来たのだ。

「おゐ(い)!今仁導が!」

「ながれ殿!今お手前は御用されておる事に(ナガレさん!今あなたは逮捕されてる事に)…!」

「あぁ。白鳥。大浦。先日振りじゃな(昨日振りだな)?」

振り返った際、言葉を失ってしまう。

「おまっ!!?」

「仁、導殿(様)」

彼は、腰を抜かしてしまう。

「物の怪じゃ!貴様!人間ではない(ば、化け物だ!お前!人間じゃねえ)!」

「あぁ。拙者、人間にてはござらぬ。しぶとく生き残る『生き物』じゃ(俺は人間ではない。しぶとく生き残る『生き物』だ)」

綝導と鈴に顔を向け、刀を握っている手が震える。怪しいと睨んだ相手は鈴だった。だから2人はこの家に来たのだが、それ所ではない。仁導が生きていると言う事に胸の中が煮え返るように動顚する。

「鈴。貴様を連れ戻しに参った。共に暮らさふ(お前を連れ戻しに来た。共に暮らそう)」

すると鈴は立ち上がると、彼の元へ向かった。

「鈴!」

綝導は、その華奢なくびれた手首を掴み、引き留めた。

「参るな!何ゆえに自ら辛ゐ思ゐをするでござるか以って上傷付けてはならないであろう(行くな!何故自ら辛い思いをしに行く!?これ以上傷付けてはならない)!」

彼女は、一筋の涙を、流した。スルッと離れると、自分は湊の元へ行き、提灯を手にして、仁導の前に立った。

「鈴♡」

鈴は頬に触れると、唇に唇を、押し当てた。すると、持っていた提灯を彼の背中に打ち付ければぱっくりと割れ、ボワッと、引火した。

こは夫婦の問ひ(これは夫婦の問題)。

我が全てを、終はらす(私が全てを、終わらせる)。

「!!!!!!!!!!?」

「逃げろ!!」

ナガレは、湊の腕を掴んで引っ張り家から出、綝導は、燃え盛る炎の中でキスをするこの夫婦を目に、立ち上がり、鈴の後ろから抱き締め、瞬く間に家は、全焼していく。

その後、焼けた家には、寄り添うようにして二つの遺体が発見されたが、もう一つの遺体は、見付からなかった。

「畏き騒動なりきよかし(怖い事件だったわね)?」

「結局犯人は何奴でござったか(誰だったんですか)?」

「真相が分からなゐままにて終わとはしもうた(ままで終わっちまった)」

伊村夫婦の家の前で、枯れた落ち葉に火を焚いて芋を焼く夢は、妊娠7ヶ月を迎えた。

「されど、よも仁導の生きたりしなどぞ(でも、まさか仁導が生きてたなんてね)」

「あれは人間ではない。物の怪でござった。とはいえ、誠、綝導殿と鈴。可哀想でござった(あれは人間じゃねえ。化け物だった。んでも、本当、綝導さんと鈴。可哀想だった)」

全てを見た自分に取って、あんな辛い終わり方は無いであろう。

「綝導。鈴の事好きなりしかしら(綝導さん。鈴の事好きだったのかしら)?」

「おそらく(多分)な?」

「うええええぇ!?さふなのでござろうか(そうなんですか)!?」

「………………………………………」

双子の泥沼な恋愛関係が引き起こしてしまった事件なのか、或いは彼女が復讐をしたのか、事件の真相は、誰も知らない。
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