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【リーンハルト:9歳】
第188話 盲点でした
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いつもお読みいただきありがとうございます。
次の投稿は1月11日午前の予定です。
よろしくお願いいたします。
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「ハルト、父上や母上に迷惑をかけるのではないぞ。我々がいないからといって好き勝手にするでないぞ」
「父上、樹海に行かないのに何も起こらないですよ。家でおとなしくしていますから心配しないでください」
「お前の大人しくが一度も大人しくなかったからいっているのだ」
そう、今日は両親、ジェラ兄様、キャロライン様とダイアナ様が王都に行く日だ。
ジェラ兄様は春から学園生活が始まるので準備で王都に行かなくてはいけない。
「ジェラ兄様、クリス兄様に料理の新作渡してくださいね」
「わかっている。おそらく恨みの手紙がハルトあてに届くだろう」
「えっ、なんでですか」
「もっと早く送ってきてもいいだろうという手紙だよ。アイスクリーム全種類に菓子パン(赤と白のあんパン、豆パン、ジャムパン)、どら焼きだろ、あとハンバーグカレー温泉玉子付、温泉ゆで卵、温泉卵付カルボナーラ。こんなにあるのだ、絶対兄上は文句の手紙を書くと思うね」
確かに、最近食いしん坊になっているからな、クリス兄様。
お米なんてヘリオス村に2回取りに行ったし・・・・
「リーンハルト様、わたくしたちにもアイスクリームに菓子パンにどら焼きのお土産頂いてありがとうございます」
「ダイアナ様、お土産というか、ケヴィン様やブライアン様に砂糖の増産がなぜ必要か説得してもらうためでもあるので」
「それでも王都で食べられるのは嬉しいです」
「あっ、そうだ。王都に行ったらリナルーナ王女殿下から連絡あるかもしれません」
「えっ、あのお話の件ですか?」
「そうです。学園のお話とかも聞かれたらいいと思いますよ」
「ハルト、なんなのだ。王女殿下を巻き込んで何をしようというのだ」と父上が会話に割り込んでくる。
「父上、大丈夫です。事業とか問題ごととかではないです。ダイアナ様とお友達になったらどうですかと手紙を書いただけです。父上、急がないと汽車に乗り遅れますよ」急き立てて馬車に押し込む。
ダイアナ様は後で聞かれるかもしれないけれど、適当に誤魔化しておいてください。
恋バナ友達とはダイアナ様も言わないだろう。
「やれやれ、やっと行ったか」
「ハルトのことが心配なのねぇ」
「お祖母様、違います。父上は私が仕事を増やさないか心配しているのです」
「くすっ、わかっているのならいいわ。あと温泉街のお土産品のぬいぐるみとかリボンやハンカチの刺繍の試作品を作りなさいね」
「お祖母様、私は作れませんよ」
「デザインを考えなさいといっているの。楽しみにしているわ」
ぬいぐるみかぁー。
うちの子たちのふわふわな毛並みってどうやったらできるのだろうか、マリアに聞こうかな。
お祖母様からの依頼だといえばラジエルもうるさくは言わないだろう。
「マリア、今いい」とマリアの工房を覗く。
ラジエルに話したら、マリアは温泉街から一昨日戻ってきていると教えてくれたので早速来たのだ。
「リーンハルト様、ちょうどよかったです。温泉街で作った入浴剤持って帰ってきました」
見せてもらうと、白い粉、湯の花だ。匂いを嗅ぐが匂いはしないタイプのようだ。
「効果があるか試したの」
「お屋敷内の浴槽ではまだですが、桶のお湯に混ぜて足湯をしてみました。お湯だけよりも温度が下がりにくくて、足も半日以上ぽかぽかしていましたので効果はあります」
「わかった。あと入浴剤を作る魔道具の方はどうなの」
「高温の熱風に耐えられる機械を作らないといけないので、時間はかかると思います」
「鍛冶屋は高温でも耐えられる釜とかあるけれど、参考にしているの」
「あっ、盲点でした。ザッカリア親方に相談してみます」
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「ハルト、父上や母上に迷惑をかけるのではないぞ。我々がいないからといって好き勝手にするでないぞ」
「父上、樹海に行かないのに何も起こらないですよ。家でおとなしくしていますから心配しないでください」
「お前の大人しくが一度も大人しくなかったからいっているのだ」
そう、今日は両親、ジェラ兄様、キャロライン様とダイアナ様が王都に行く日だ。
ジェラ兄様は春から学園生活が始まるので準備で王都に行かなくてはいけない。
「ジェラ兄様、クリス兄様に料理の新作渡してくださいね」
「わかっている。おそらく恨みの手紙がハルトあてに届くだろう」
「えっ、なんでですか」
「もっと早く送ってきてもいいだろうという手紙だよ。アイスクリーム全種類に菓子パン(赤と白のあんパン、豆パン、ジャムパン)、どら焼きだろ、あとハンバーグカレー温泉玉子付、温泉ゆで卵、温泉卵付カルボナーラ。こんなにあるのだ、絶対兄上は文句の手紙を書くと思うね」
確かに、最近食いしん坊になっているからな、クリス兄様。
お米なんてヘリオス村に2回取りに行ったし・・・・
「リーンハルト様、わたくしたちにもアイスクリームに菓子パンにどら焼きのお土産頂いてありがとうございます」
「ダイアナ様、お土産というか、ケヴィン様やブライアン様に砂糖の増産がなぜ必要か説得してもらうためでもあるので」
「それでも王都で食べられるのは嬉しいです」
「あっ、そうだ。王都に行ったらリナルーナ王女殿下から連絡あるかもしれません」
「えっ、あのお話の件ですか?」
「そうです。学園のお話とかも聞かれたらいいと思いますよ」
「ハルト、なんなのだ。王女殿下を巻き込んで何をしようというのだ」と父上が会話に割り込んでくる。
「父上、大丈夫です。事業とか問題ごととかではないです。ダイアナ様とお友達になったらどうですかと手紙を書いただけです。父上、急がないと汽車に乗り遅れますよ」急き立てて馬車に押し込む。
ダイアナ様は後で聞かれるかもしれないけれど、適当に誤魔化しておいてください。
恋バナ友達とはダイアナ様も言わないだろう。
「やれやれ、やっと行ったか」
「ハルトのことが心配なのねぇ」
「お祖母様、違います。父上は私が仕事を増やさないか心配しているのです」
「くすっ、わかっているのならいいわ。あと温泉街のお土産品のぬいぐるみとかリボンやハンカチの刺繍の試作品を作りなさいね」
「お祖母様、私は作れませんよ」
「デザインを考えなさいといっているの。楽しみにしているわ」
ぬいぐるみかぁー。
うちの子たちのふわふわな毛並みってどうやったらできるのだろうか、マリアに聞こうかな。
お祖母様からの依頼だといえばラジエルもうるさくは言わないだろう。
「マリア、今いい」とマリアの工房を覗く。
ラジエルに話したら、マリアは温泉街から一昨日戻ってきていると教えてくれたので早速来たのだ。
「リーンハルト様、ちょうどよかったです。温泉街で作った入浴剤持って帰ってきました」
見せてもらうと、白い粉、湯の花だ。匂いを嗅ぐが匂いはしないタイプのようだ。
「効果があるか試したの」
「お屋敷内の浴槽ではまだですが、桶のお湯に混ぜて足湯をしてみました。お湯だけよりも温度が下がりにくくて、足も半日以上ぽかぽかしていましたので効果はあります」
「わかった。あと入浴剤を作る魔道具の方はどうなの」
「高温の熱風に耐えられる機械を作らないといけないので、時間はかかると思います」
「鍛冶屋は高温でも耐えられる釜とかあるけれど、参考にしているの」
「あっ、盲点でした。ザッカリア親方に相談してみます」
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