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【リーンハルト:9歳】
第189話 出来てしまった
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いつもお読みいただきありがとうございます。
次の投稿は本日午後の予定です。
よろしくお願いいたします。
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「あとですね、これを見てください」とマリアが取り出したのは動物の毛。触ると羊毛に似ていた。
これはグーシュの毛だそうだ。
「グーシュの毛って、硬いから使い道なくて破棄していたよね。これは柔らかいよ」
なんでもナタリアが相談で持ってきたものらしい。
獣人が住んでいるヘリオス村に近い樹海はグーシュが多くいる場所だ。
グーシュの肉は羊肉そのもので、見た目も羊に似ているが羊毛は硬くて今までは破棄するしかないものだった。
何でも破棄するためにグーシュの毛をまとめて置いていたら、あるスライムが食べては吐き出しを繰り返したそうだ。
また新たなスライムか。
ありがたいけれど、なぜ我が領ばかり?不思議だ。
吐き出したグーシュの毛を触ると羊毛に似た柔らかさになったので驚いたらしいが毛織物ができるかもと、糸を作ろうとお湯につけたら固くなってしまい糸にできなかったらしい。
でも何かに使えないかとマリアに相談しようと一部持ってきたそうだ。
「熱を与えると固くなるということ」
「たぶん、そうだと思います」
「マリア、アイロンある」
「ありますよ」
グーシュの毛を広げて3等分する。そしてアイロンの低・中・高の3パターンでアイロンがけをしてもらい固さを確認する。
低だとグーシュの毛が少し固まった程度で、両手で引っ張ると裂けてしまった。
高だとカチカチに固い。
中は厚手の布っぽいのが出来た・・・・フェルト生地か?
「リーンハルト様、凄いです。厚手の布ができてしまいました」マリアは大喜びだ。
「マリア、これは耐久性がないと思うよ。糸みたいに数本で捩ったりしていないから」
「確かにそうですね。でも何かに使えないですかね」
マリアはフェルト生地を何枚か作り始めた。厚さを変えて作っているようだ。
フェルトって、マスコットとか小物に利用されていたような気がする、ということは、ぬいぐるみか。
肌触りも悪くないし立体にして中に綿を詰めればいいか。
「マリア、ぬいぐるみの生地に使えないかな」
「ぬいぐるみですか」
「そう、温泉街のお土産でうちの従魔たちのぬいぐるみを作ろうと思っていたんだよね。これなら出回っているぬいぐるみの生地とは違うからどうかな」
「いいですね。ぬいぐるみを作っている人に渡して作ってもらいましょう。色はたくさんないといけないですね。染色ではお湯が使えないから水でできるかやってみます」
あとこのアイロンの高でしたカチカチもマスコット人形に使えないかな。
ドライヤーでもしてみたが高温だとカチカチになった、あとはかたちを形成できたらいいのだけれど・・・・。
「マリア、グーシュの毛だけで、小型のぬいぐるみできないかな」
「どういうことでしょうか」
グーシュの毛で手のひらサイズの動物を作り、最後にドライヤーの高温で固くして紐かネックレスチェーンを利用してキーホルダーとかバックに飾ったりとか出来ないかと説明した。
「出来たら可愛いですね。しかし、残念ながら私は裁縫とか小物づくりは苦手でして誰かいないでしょうか」
侍女のロザリーナはリボンやハンカチの刺繍をお願いするからな。
「マリアこそ、うちの従業員と仲がいいのだから小物づくりが好きな娘とか知らないの。あとはラジエルに相談だろうね」
「ラジエルさんに相談します。しないといけないような気がします」
「そうだね。しないと2人で説教されるね。ラジエルを呼んでこよう」とお互い頷き合った。
「これがグーシュの毛でできた生地ですか」ラジエルがフェルト生地を手に取り触っている。
この生地が出来た経緯をすべて話した。
「捨てるだけのグーシュの毛ですから画期的ですが、高温にあてると固くなるのはこの生地になった後もですか」
「まだ試していないです」とマリアがフェルト生地に高アイロンをかけるが固くならなかった。
ついでに低アイロンで作った生地に高アイロンをかけると固くなった。
「ある一定以上の温度を一度あてると、次に高温をあてても変化しないということですか」
理論上はラジエルが言っていることが正解なのだろうけれど不思議な生地だな。
「これならぬいぐるみの生地にできそうだね。本当はうちの子たちのふわふわな毛並みを再現したかったのだけれど・・・・」
「すぐには出来ないかもしれないですけれど、みんなの意見を取り入れながら作ってみます」とマリアが言ってくれた。
「リーンハルト様、この生地でぬいぐるみができたら、グーシュの毛が大量にいると思います。確保できるのでしょうか」
「そんなにたくさんいるかな?」
「土産物屋は大中小様々な大きさのぬいぐるみを欲しがると思います。店舗数は最低でも8店舗、多ければ20店舗超えるのではないですか。それにこの生地でクッションとか小物もできそうですしね。温泉街でしか買えない生地で作ったものというものは売れるような気がします」
「グーシュって、ココット並みに樹海にいるのかな」
「騎士団に聞いた方が早いかと思います。もしくは冒険者ギルドですかね」
「わかったよ、私からマイヤーかカイル隊長に聞いておくね」
わかり次第ラジエルとマリアに報告することで工房を出た。
次の投稿は本日午後の予定です。
よろしくお願いいたします。
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「あとですね、これを見てください」とマリアが取り出したのは動物の毛。触ると羊毛に似ていた。
これはグーシュの毛だそうだ。
「グーシュの毛って、硬いから使い道なくて破棄していたよね。これは柔らかいよ」
なんでもナタリアが相談で持ってきたものらしい。
獣人が住んでいるヘリオス村に近い樹海はグーシュが多くいる場所だ。
グーシュの肉は羊肉そのもので、見た目も羊に似ているが羊毛は硬くて今までは破棄するしかないものだった。
何でも破棄するためにグーシュの毛をまとめて置いていたら、あるスライムが食べては吐き出しを繰り返したそうだ。
また新たなスライムか。
ありがたいけれど、なぜ我が領ばかり?不思議だ。
吐き出したグーシュの毛を触ると羊毛に似た柔らかさになったので驚いたらしいが毛織物ができるかもと、糸を作ろうとお湯につけたら固くなってしまい糸にできなかったらしい。
でも何かに使えないかとマリアに相談しようと一部持ってきたそうだ。
「熱を与えると固くなるということ」
「たぶん、そうだと思います」
「マリア、アイロンある」
「ありますよ」
グーシュの毛を広げて3等分する。そしてアイロンの低・中・高の3パターンでアイロンがけをしてもらい固さを確認する。
低だとグーシュの毛が少し固まった程度で、両手で引っ張ると裂けてしまった。
高だとカチカチに固い。
中は厚手の布っぽいのが出来た・・・・フェルト生地か?
「リーンハルト様、凄いです。厚手の布ができてしまいました」マリアは大喜びだ。
「マリア、これは耐久性がないと思うよ。糸みたいに数本で捩ったりしていないから」
「確かにそうですね。でも何かに使えないですかね」
マリアはフェルト生地を何枚か作り始めた。厚さを変えて作っているようだ。
フェルトって、マスコットとか小物に利用されていたような気がする、ということは、ぬいぐるみか。
肌触りも悪くないし立体にして中に綿を詰めればいいか。
「マリア、ぬいぐるみの生地に使えないかな」
「ぬいぐるみですか」
「そう、温泉街のお土産でうちの従魔たちのぬいぐるみを作ろうと思っていたんだよね。これなら出回っているぬいぐるみの生地とは違うからどうかな」
「いいですね。ぬいぐるみを作っている人に渡して作ってもらいましょう。色はたくさんないといけないですね。染色ではお湯が使えないから水でできるかやってみます」
あとこのアイロンの高でしたカチカチもマスコット人形に使えないかな。
ドライヤーでもしてみたが高温だとカチカチになった、あとはかたちを形成できたらいいのだけれど・・・・。
「マリア、グーシュの毛だけで、小型のぬいぐるみできないかな」
「どういうことでしょうか」
グーシュの毛で手のひらサイズの動物を作り、最後にドライヤーの高温で固くして紐かネックレスチェーンを利用してキーホルダーとかバックに飾ったりとか出来ないかと説明した。
「出来たら可愛いですね。しかし、残念ながら私は裁縫とか小物づくりは苦手でして誰かいないでしょうか」
侍女のロザリーナはリボンやハンカチの刺繍をお願いするからな。
「マリアこそ、うちの従業員と仲がいいのだから小物づくりが好きな娘とか知らないの。あとはラジエルに相談だろうね」
「ラジエルさんに相談します。しないといけないような気がします」
「そうだね。しないと2人で説教されるね。ラジエルを呼んでこよう」とお互い頷き合った。
「これがグーシュの毛でできた生地ですか」ラジエルがフェルト生地を手に取り触っている。
この生地が出来た経緯をすべて話した。
「捨てるだけのグーシュの毛ですから画期的ですが、高温にあてると固くなるのはこの生地になった後もですか」
「まだ試していないです」とマリアがフェルト生地に高アイロンをかけるが固くならなかった。
ついでに低アイロンで作った生地に高アイロンをかけると固くなった。
「ある一定以上の温度を一度あてると、次に高温をあてても変化しないということですか」
理論上はラジエルが言っていることが正解なのだろうけれど不思議な生地だな。
「これならぬいぐるみの生地にできそうだね。本当はうちの子たちのふわふわな毛並みを再現したかったのだけれど・・・・」
「すぐには出来ないかもしれないですけれど、みんなの意見を取り入れながら作ってみます」とマリアが言ってくれた。
「リーンハルト様、この生地でぬいぐるみができたら、グーシュの毛が大量にいると思います。確保できるのでしょうか」
「そんなにたくさんいるかな?」
「土産物屋は大中小様々な大きさのぬいぐるみを欲しがると思います。店舗数は最低でも8店舗、多ければ20店舗超えるのではないですか。それにこの生地でクッションとか小物もできそうですしね。温泉街でしか買えない生地で作ったものというものは売れるような気がします」
「グーシュって、ココット並みに樹海にいるのかな」
「騎士団に聞いた方が早いかと思います。もしくは冒険者ギルドですかね」
「わかったよ、私からマイヤーかカイル隊長に聞いておくね」
わかり次第ラジエルとマリアに報告することで工房を出た。
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