私の日常-それぞれの-

林原なぎさ

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甥っ子から見たお話

溜め息

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6歳の夏、甲子園を生で観戦したことにより野球への熱が上がった俺は現在中学1年生になった今も続けている。


「ツーアウト!!」


「ツーアウト!!ナイスだ、胡桃くるみ!!」


盗塁を試みる選手を目敏く見つけては即座に阻止する、憎たらしい程の野球センスの塊のこのイケメンな1つ上の先輩に全員で声を張り上げる。

少々気の弱いピッチャーの援護、さらにはそんなピッチャーへの後押しをするべくにやったことだろう。


その後、打線も爆発しチームは勝利を納めた。




「松岡。お前のスイングもなかなか様になってきたんじゃね?」


ニヤっと笑うこの底意地の悪そうな先輩に。


「胡桃先輩に褒めてもらえるなんて、明日はきっと台風ですね。」


まともに相手にするべきでは無いと、付き合いの中でよく知っているのだ。


「ははは。明日は晴天。降水確率0%でーす。」


高らかに笑うこの人にやっぱり、底意地の悪さが滲み出ていると感じる。

しかし野球センスだけでは無く、知識、熱意、勝利に対する貪欲さは、自身でも見習うべきであり、尊敬するべき点なのだ。

結局、尊敬してしまっている自身に溜め息を吐く。



そんな先輩から、声を弾ませた心底楽しそうな声色で。


「ところで松岡。何とかしなくていーわけ?」


ニヤニヤした先輩に肩を回され、見やる。



思った通り。

むさ苦しい、思春期真っ只中の野郎共に歩さんが囲まれていた。


はぁぁぁ…。


俺の深い溜め息に先輩は腹を抱えて笑っている。


そんな先輩は無視して、急いで歩さんの所まで行く。


我が道を突き進み、自分の事は自分でするべきと考え、世話をする事が大嫌いな母は休日にある試合時の弁当なんか作りたくない(そもそも料理は壊滅的な)わけで…。


そんな我が家の事情を理解している歩さんが見兼ねて作ってくれるようになり、試合にまで応援しに来てくれるようになったのだ。


物凄く有り難いのだが…ひとつ問題が浮上した。


叔母さんに当たる歩さんはとてもでは無いけれど30代には見えず、若々しく可愛らしいのだ。

各々、自分の親と見比べては歩さんの可愛らしさに驚愕していたのを覚えている。

…先生まで見惚れてたし。



そんな歩さんを見ては、自分と同年代の息子(遼哉)がいたところで、どれだけ年上の人だろうと、綺麗なひとは綺麗なのだ。

恋人の1人も作ったことの無いような野郎こどもにとって、歩さんは大人気だったのだ。






そんな歩さんの旦那である、秀一さんは物凄く嫉妬深い上に面倒くさい。

いくら息子と同年代の男だろうと野郎は野郎なのだ。

自分以外の男は近付けたくなんかないのだ。



まずいっ!

こんな状況を知られたら俺が秀一さん(と母さんと遼哉)にフルボッコにされる。


この間、歩さんに言い寄っていた父兄の事を思い出し背筋が冷たくなった。


自身の安全を確保するべく慌てて野郎の中から歩さんを引っ張り出す。


「ははは。頑張れよー。」


必死な俺の姿に高笑いの先輩の声がやけに響き、やはり腹立だしいと再確認した。



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