私の日常-それぞれの-

林原なぎさ

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碧から見たお話

両親について

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両親がという事実は物心ついた頃には、もう既に察していた。


友人の家へ行っては、自分の両親との違いにかなり驚かされ、また我が家へやって来た友人には、両親のスキンシップ加減に驚いていた。



平日の朝。

朝食準備やらの支度をする母に父は基本的にべったりだ。

お皿を用意したり、味見を手伝ったりする為なのだろうが、本当にべったりなのだ。

隙あらば父は母にキスをする。

母の背後からぎゅっと抱き締める。

父は、ネクタイも自分で結べるにも関わらず、母に結んでもらうまで待つ。

そして必ず'いってきますのキス'と'いってらっしゃい'の二通りのキスが存在する。


帰宅後。

これ又'ただいま'のキスと'おかえりなさい'のキスが存在する。

夕飯の用意をする時も朝同様にべったりだ。


お風呂だって父は母と一緒に入りたい。


なので私と二つ下の弟の遼哉は、他所の子と比べると上手にひとりでお風呂に入る事が出来る子どもに成長したと思う。


寝る時も母とふたりで過ごしたい父は、私たちに自分の部屋で寝るように、と物心ついた頃からの教えだ。

なので一般的な幼稚園児はひとり寝は不安になって泣いてしまうらしい事に、ある程度大きくなってから知った。


そして両親はお互い名前で呼び合う。

お父さん、お母さん、とお互いの事を言い表す事が無い。

名前で呼び合う姿は最早恋人だ。




極め付けは誕生日。

私達のそれぞれの誕生日にお祝いはもちろん、プレゼントも両親から贈られる。


しかし父はこれで終わらないのだ。


父は母に花束を毎年、子どもの誕生日それぞれに必ず贈るのだ。

私たちを産んでくれた母への贈り物らしい。


薔薇や菊、胡蝶蘭、フリージア、ライラックなど花言葉の花束だ。

もちろん幼い頃の私は知らない。

父の友人である那央さん、母の友人である湊音さん、叔母にあたる凛さんから教えてもらった話だ。


母はいつも恥ずかしそうに、そして嬉しそうに受け取っているが、花言葉の意味を知っているのだろうか?

那央さんも湊音さんも凛さんも笑いながら言っていたが。


「絶対知らないって。」


私もそう思う。


この天然ボケで鈍い母が、そこまで深く考えている訳が無い。


いい匂いのする可愛いお花だよね。

くらいにしか思ってない筈だ。


それでも父は気にしていない様子で母を抱き締めキスをする。



母が目の前に居る時、起きている時、父は照れが有り、恥ずかしいようで言葉にしないが母が居ない時には、私たちには言葉で伝える。


どうしてふたりは結婚したの?といつだったか遼哉が父に聞いたら。


「愛しているから結婚したんだ。」


はっきり母への愛を語った。



母がソファで寝てしまった時も、寝ている事を間違いなく確認してから。

愛している。と呟き口付けする。


大抵母は起きないので父が抱き抱え、寝室まで連れて行く。



こんな調子で、言葉にされず不安にはならないのかと母に聞いた事があった。

しかし母は。


「うーん…。言葉にされなくても、大事にされてるのは判るよ。」


満面の笑みで答えた。


そうだ。母はこんな人だ。

だから父は母を愛しているのだろう。


幼い頃、例え子供である私達でもふたりの間に立ち入る事は出来ないのだ、と感じた。



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