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おまけ
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アベルが取引先との商談をまとめ、今日は早目に帰ってエリーと風呂にでも入ってイチャイチャしようと妄想を膨らませながら歩いていると、若い女性がガラの悪い男二人組に絡まれているところに遭遇した。
女性は男から髪を引っ張られたり小突かれたりしている。
『こっこれは!今こそコズミック・レイになるチャンス!!』
アベルは颯爽と駆けつけた。
「か弱き女性に手を出すとは、なんたる不届者!!」
「なんだオマエ?!」
「他人に名前を尋ねる時は、自分から名乗れと幼稚園で習わなかったか?」
アベルがシュット投げたブリーフケースが一人の男の首の後ろにクリーンヒットした。
男はうっ!と呻いて蹲った。
「なんだテメェ!やんのか?」
殴りかかってきたきたもう一人の男を軽く躱して回し蹴りを入れたアベル。
「トルネードぉ~キッーーク!」
アベルは一回飛び上がってシュタっと地面に両手をついてポーズを決めた。
蹲っていた男が立ち上がって向かって来た。
「コズミック~・アターーーック!!」
男の左肩に強烈な肘鉄が入った。
アベルは無駄な一回転をしてポーズを決めた。
回し蹴りをされた方がもう一度向かってきたので、頬に強烈なパンチをお見舞いしてやるアベル。
「アストロ・サンダー!!!」
二人組は捨てゼリフを吐いて消えていった。
「お嬢さん、大丈夫ですか・・・あれ?ナターシャさん?」
「えっ?どちら様ですか?」
「えっと、ボクです。
あの、前にニールセンと一緒に〈雀っ子クラブ〉にお邪魔して出禁になった」
「え?・・・噓・・全然違う」
「フフ・・・あの時は変装してたから・・・フフ」
「あ、あの・・・助けてくださってありがとうございます」
「さっきの男たちは?」
「高利貸しで・・・もう返済したはずのお金をいつまでも取り立てに来るんです」
「・・・そうか。もう心配しなくていい。うちの弁護士に解決させよう。」
「私、あなたに失礼な態度を取ったのに、親切にしていただく資格無いわ」
「ボクの方こそ失礼なことを言って反省してるよ。
あの日を境に自分らしく生きていこうって思えるようになったんだ。
ボクはどう頑張ってもニールセンにはなれないからね。
お陰で妻ともうまくいってる。
君達には感謝してるよ」
アベルは連絡先を書いたメモをナターシャに渡した。
「綺麗な女性と話してる所を誰かに見られて誤解されたら困るから、明日の午後1時に会社に来てくれる?」
翌日ナターシャがアベルの会社に行くと、秘書の女性がにこやかにアベルのオフィスに通してくれた。
部屋にはアベルの他にニールセンもいた。
上質な座り心地の良いソファに案内され最高級茶葉の紅茶を出されたナターシャはかつての生活が思い出されて鼻の奥がツンとした。
「突然呼び出してわるかったね。
君は旧セザール王国からの亡命貴族だね?」
「はい」
「我が社の貿易部門で今後旧セザール、現在のリベル共和国との取引に注力する方針でね。
セザール語の堪能な人材を探しているんだ。
力を貸してはもらえないかな?」
「・・・ですが、私は家族も含めてリベルへの入国は禁止です」
「構わないよ。文書の翻訳とか通訳、文化や風習について社員を指導してもらえないだろうか?」
「・・・・」
「今の仕事の方が実入りはいいだろう。
ウチだって会社である以上規定の給料しか払えないからね。
だけど長い目で見たら?
夜の仕事はいつまでも続けられるわけじゃない。
会社でキャリアを積めば出世もできるし給料も上がる。
どう?」
「・・・両親の面倒を見ないといけないので」
「給料は皆より沢山あげるわけにはいかないけど家族で暮らせる無料の社宅を用意するよ。
・・ご両親はご病気なの?」
「母は心臓が悪くて寝たり起きたりですが、父は亡命したショックが乗り越えられずに飲んだくれている状態です」
「そう・・・お気の毒にね。
お父様も新たな役割が見つけられれば立ち直れるかも知れないね」
そうしてナターシャは昼はアベルの会社で働き、週末だけ〈雀っ子クラブ〉を続けることになった。
その後相談役として非常勤でアベルの会社に雇われたナターシャの父は活き活きとして、昔の人脈を使って海外の取引先を開拓するなど活躍している。
そして週末の〈雀っ子クラブ〉には出禁を解かれたアベルがライダース達と乗り込んで、キレッキレダンスで場を沸かせている。
「隊長!本物の女の子ですよ!女の子が動いています!」
「本物の女の子と口が利けるなんて!!」
と感動していたライダースは紳士的な行動で、決して女の子達の嫌がるようなことはしないので、今では良客として好待遇されている。
(おしまい)
女性は男から髪を引っ張られたり小突かれたりしている。
『こっこれは!今こそコズミック・レイになるチャンス!!』
アベルは颯爽と駆けつけた。
「か弱き女性に手を出すとは、なんたる不届者!!」
「なんだオマエ?!」
「他人に名前を尋ねる時は、自分から名乗れと幼稚園で習わなかったか?」
アベルがシュット投げたブリーフケースが一人の男の首の後ろにクリーンヒットした。
男はうっ!と呻いて蹲った。
「なんだテメェ!やんのか?」
殴りかかってきたきたもう一人の男を軽く躱して回し蹴りを入れたアベル。
「トルネードぉ~キッーーク!」
アベルは一回飛び上がってシュタっと地面に両手をついてポーズを決めた。
蹲っていた男が立ち上がって向かって来た。
「コズミック~・アターーーック!!」
男の左肩に強烈な肘鉄が入った。
アベルは無駄な一回転をしてポーズを決めた。
回し蹴りをされた方がもう一度向かってきたので、頬に強烈なパンチをお見舞いしてやるアベル。
「アストロ・サンダー!!!」
二人組は捨てゼリフを吐いて消えていった。
「お嬢さん、大丈夫ですか・・・あれ?ナターシャさん?」
「えっ?どちら様ですか?」
「えっと、ボクです。
あの、前にニールセンと一緒に〈雀っ子クラブ〉にお邪魔して出禁になった」
「え?・・・噓・・全然違う」
「フフ・・・あの時は変装してたから・・・フフ」
「あ、あの・・・助けてくださってありがとうございます」
「さっきの男たちは?」
「高利貸しで・・・もう返済したはずのお金をいつまでも取り立てに来るんです」
「・・・そうか。もう心配しなくていい。うちの弁護士に解決させよう。」
「私、あなたに失礼な態度を取ったのに、親切にしていただく資格無いわ」
「ボクの方こそ失礼なことを言って反省してるよ。
あの日を境に自分らしく生きていこうって思えるようになったんだ。
ボクはどう頑張ってもニールセンにはなれないからね。
お陰で妻ともうまくいってる。
君達には感謝してるよ」
アベルは連絡先を書いたメモをナターシャに渡した。
「綺麗な女性と話してる所を誰かに見られて誤解されたら困るから、明日の午後1時に会社に来てくれる?」
翌日ナターシャがアベルの会社に行くと、秘書の女性がにこやかにアベルのオフィスに通してくれた。
部屋にはアベルの他にニールセンもいた。
上質な座り心地の良いソファに案内され最高級茶葉の紅茶を出されたナターシャはかつての生活が思い出されて鼻の奥がツンとした。
「突然呼び出してわるかったね。
君は旧セザール王国からの亡命貴族だね?」
「はい」
「我が社の貿易部門で今後旧セザール、現在のリベル共和国との取引に注力する方針でね。
セザール語の堪能な人材を探しているんだ。
力を貸してはもらえないかな?」
「・・・ですが、私は家族も含めてリベルへの入国は禁止です」
「構わないよ。文書の翻訳とか通訳、文化や風習について社員を指導してもらえないだろうか?」
「・・・・」
「今の仕事の方が実入りはいいだろう。
ウチだって会社である以上規定の給料しか払えないからね。
だけど長い目で見たら?
夜の仕事はいつまでも続けられるわけじゃない。
会社でキャリアを積めば出世もできるし給料も上がる。
どう?」
「・・・両親の面倒を見ないといけないので」
「給料は皆より沢山あげるわけにはいかないけど家族で暮らせる無料の社宅を用意するよ。
・・ご両親はご病気なの?」
「母は心臓が悪くて寝たり起きたりですが、父は亡命したショックが乗り越えられずに飲んだくれている状態です」
「そう・・・お気の毒にね。
お父様も新たな役割が見つけられれば立ち直れるかも知れないね」
そうしてナターシャは昼はアベルの会社で働き、週末だけ〈雀っ子クラブ〉を続けることになった。
その後相談役として非常勤でアベルの会社に雇われたナターシャの父は活き活きとして、昔の人脈を使って海外の取引先を開拓するなど活躍している。
そして週末の〈雀っ子クラブ〉には出禁を解かれたアベルがライダース達と乗り込んで、キレッキレダンスで場を沸かせている。
「隊長!本物の女の子ですよ!女の子が動いています!」
「本物の女の子と口が利けるなんて!!」
と感動していたライダースは紳士的な行動で、決して女の子達の嫌がるようなことはしないので、今では良客として好待遇されている。
(おしまい)
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