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1 誰でもイイけど お前は無いわww
しおりを挟むラウラ・ヘミング25才は麗らかな日曜日のカフェのテラスで忍耐を試されていた。
向かいの席でさっきから調子に乗って喋り捲っているのはランディー・マークス25才。
近所に住んでいて母親同士が親友。同い年で学校でも同級生。
子供の頃から悪戯と意地悪の限りを尽くされ、大人になった今となっては顔を会わせることもなければ口を利くこともない。
正直 顔も見たくない相手なのだが、あろうことか現在進行形で見合いのようなことをさせられている。
世間では女の25才は嫁き遅れなんだそうな。
放っといて欲しい。
ラウラは整った造作をしていてむしろ美人の部類に入るし頭脳も明晰だ。
人格にも問題は無く、今まで浮いた話が無かったことがむしろ不思議なくらいである。
特に理由があった訳ではないのだが、これといって心惹かれる相手が周囲にいない中、その時々で勉強に仕事に邁進しているうちに気付いたら25になっていた。
本人が恋愛に積極的では無かったことに加えて親も呑気だったので、たまに来る釣書もイマイチ本人の気が乗らないという理由で断っているうちに、すっかり婚期を逃してしまった。
そんなラウラにランディーの母とラウラの母が最近になってしつこくランディーとの見合いを勧めてくるようになった。
「子供の頃から犬猿の仲だから」
何度も断ったのに一回だけお願い、と煩い。
顔を合わせる度に言ってくる。
「分かりました。一回だけですよ。
それと正式なお見合いは嫌ですから」
そうやって最大限の譲歩の結果、仕方なく貴重な日曜日を割いているというのに。
「いやあ~、オレだってもう25だしぃ?
結婚に夢とか持ってないよ?
まあ、適当に我慢できるレベルの相手と結婚して、家を継いで、子供の3~4人でもこさえてさ、特に面白くもない人生を生きていくんだろうな~って。
それくらいの覚悟はあるわけよ」
ああ、そうですか。ラウラは微動だにせず目の前の馬鹿男に冷ややかな視線を注ぎ続けているが、ランディーは気付きもしない。
「退屈な毎日の積み重ね。それが生活ってもんよ。
でもさ、いくら誰でもイイって言ったって お前は無いわーww」
ランディーは よっぽどそのフレーズがお気に召した様で、
「無いわー、無いわー」
を繰り返している。
ラウラはカチャリと音を立ててカップをソーサーに置くと
「そうですか。意見が合うようで何よりですわ」
そう言うと自分の分の代金をテーブルに置くとサッサと席を立ち店を後にした。
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