王と王妃の泥仕合

猫枕

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そんなファンタジー要るか?

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 ヴィクトリアから呼び出しを受けるなんて珍しい事もあるもんだな、とヴィクトリアの執務室に向かうエドワードは自然と期待で足取りが軽やかになる。

 『お茶のお誘いかな?』

 エドワードはわざと不機嫌な表情と声を作って、

「用ってなんだ?俺も忙しいんだぞ」

 とヴィクトリアの執務室に入って行った。

 ヴィクトリアは人払いをして部屋にはヴィクトリアとエドワード二人だけになった。


『え?人払い?もしかして、昼下がりの情事、的な?!』

 期待高まるエドワードにツカツカと近寄ったヴィクトリアはいきなり天井に向けて何かを投げた。

 大量の粉が降ってきて二人が包まれた。

 ケホケホと咳き込んだエドワードがやっと息をついて、

「なにすんだよ?!」

 と文句を言おうとした瞬間驚愕する。

 目の前に自分がいたからだ。

「えっ?えっ?」


 慌てて自分を見るとさっきまでヴィクトリアが着ていたドレスを着ている。

 バッと壁の鏡に振り返るとヴィクトリアが映っている。

 エドワードはアホのように鏡に向かって両手を上げたり下げたりピョンピョン跳ねたりしている。

「何だよこれ!!」

「入れ替わったみたいだね」

「入れ替わったみたいだね、じゃねえわ!何したんだよ?!」

「これ?」

 ヴィクトリアは空になった紙袋を振る。

「精霊の粉」

「なんだよ精霊の粉って?!

 おかしいだろ?そんな設定なかったじゃん。

 『ここは魔法の国』みたいな設定一切なかったのにいきなり『精霊の粉』ってなんだよぉ?!
 『妖精の粉』の丸パクリじゃねえかよ!」

「あの作品面白いのよね~。
 毎日更新が楽しみでー。
 私も早く超絶イケメンのスーパー妖精に迎えに来て欲しいわ!」

「なんでもいいけどどうにかしろ!早く元に戻せ!」

「無理」

「はあ?」

「な~んかさ、アナタと私がひたすらバトってる話にしようと思って『ライト文芸』に登録してたんだけど気がついたらファンタジーに変更されてたのよね。
 だからファンタジー要素入れなきゃマズいんじゃないかと思って」

「・・・そこは素直に『恋愛』ジャンルにすれば良かったんじゃねえの?」

「はあ?
 大体人前で私を裸にして晒し者にしようとしたり、落とし穴に嵌めようとした人とどうやって恋愛できるのよ?」

「・・・それは、お前が途中で計画を台無しにするから・・・ホントは俺がカッコよく助ける手筈になってたのに・・・」

 ヴィクトリアの姿をしたエドワードが下を向いてゴニョゴニョ言っている。

「なにぃ?!聞こえないんだけど?!」 

「いえ、なんでもないです・・・」

 エドワードは鏡を見て溜息をついた。

「これからどうすればいいんだよぉ」

「ゴチャゴチャゴチャゴチャ煩いわよ。
 一週間もすれば元に戻るから諦めて大人しくしてなさいよ」

「・・・オシッコとか、どうすればいいの?」

「・・・・アンタねぇ、私の体にイタズラしたらタダじゃおかないからね?!」

 ヴィクトリアの姿をしたエドワードは両手で豊満な胸を掴んで寄せてニヤっと笑った。

 反射的に机の上のペーパーウエイトを投げつけそうになったヴィクトリアだったが、攻撃の対象が自分の体では手を出すこともできなかった。



 
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