王と王妃の泥仕合

猫枕

文字の大きさ
8 / 11

シャルたんの真実①

しおりを挟む

 「じゃ、私は王の仕事に行くとするか。
 アナタはここでちゃんと書類を片付けといてね」

「おっ、おいっ!ちゃんと引き継ぎしろよ!」

 

 仕方なくヴィクトリアの仕事を片付けたエドワードはヴィクトリアの部屋に帰るしかなかった。


「ヴッキー様、大丈夫でした?」


 四人の侍女が取り囲んで次々とヴィクトリアを心配する声をかけてくる。


「大丈夫って?」

「陛下に何かされたんじゃないかと心配で」

 何かされたのは俺の方だよ。


「でも、なんか腹が立ちますわよね。
 今まで散々ヴッキー様のことないがしろにしてあの脳みそ綿あめ女とイチャイチャしていたくせに、今更ヴッキー様に接近してきてどういうつもりなんですかね」

「そうですよ。美しいヴッキー様ならいくらでも他に良い相手が見つかるんですから、さっさと解放してくださればいいのに」

「あれじゃないですか?大切にしないくせに他人に取られるのは嫌!みたいな」

「子供っぽいですもんね」

「見ました?陛下ときたら、 運動会の時、満足そうに鉛筆の束を握りしめてニヤニヤしてらしたんですよ~」


 侍女達は口々に、子供か、ガキか、とエドワードの悪口を言う。

 酷い言われようだ。


「え?え~、そうかな~?

 なんかちょっと可愛くない?」

 エドワードは頑張って笑顔を作って自分を擁護してみるが、なんだか泣きそうな気分になる。


 これから一週間自分の悪口に同意を求められるのか・・・・メンタル持つかな・・・。





 
 翌日、議会に提出されたエドワードとヴィクトリアの離婚が承認された。

 寝耳に水のエドワードが王の執務室に飛び込んできた。

「どういうことだ?!」

「どうもこうも」

 至って冷静なヴィクトリアは人払いをしてエドワードと対峙した。


「離婚って、・・・離婚って、俺は承認してないぞ」

「あら、ヴィクトリア王妃の直筆のサインと印章、それにのサインと印章が揃った正式な書類が受理されましてよ」


「・・・なんでだ?なんでだよ?
 今まで仲良くやって来たじゃないか!!
 なんで今離婚なんだよ?!」

 ヴィクトリアは何も答えない。

「・・・そんなに俺が憎いのか?
 財産分与も無しって、俺からは何も貰いたくないってことか?

 ・・・あっ、もしかして、このまま入れ替わったままなのか?

 そうなのか?そうだろう?

 お前は俺を財産も無く追い出すつもりなんだろう?!

 そこまで俺を嫌っていたのか?」

 エドワード王ヴィクトリアは鬱陶しそうな顔をして、警備兵を呼んだ。

「王妃を連れていきなさい。
 そして王妃がこの部屋に近づくことを禁じる」

 ヴィクトリアエドワードは、

「申し訳ありませんが従っていただきます」

 と頭を下げる警備兵に連れ出されて行った。

 フラフラとしながら部屋に戻ると、侍女たちが楽しそうに『祝・離婚~新しい門出に乾杯!~ティーパーティー』の準備をしていた。






 エドワード王ヴィクトリアができうる限りの仕事に道筋をつけようと奮闘していると、シャルたんがノックもせずに飛び込んできた。

「こらこら、いくらシャルたんでもダメだよ」

「エディたん!離婚って!離婚ってどういうこと?!」

 シャルたんは王の注意など聞きもしないで息せき切って詰め寄ってきた。


「ああ、あの性悪女とは縁を切ったから、これからは愛するシャルたんとずっと一緒にいられるよ」

 エドワード王ヴィクトリアはニッコリ笑った。

「今まで待たせてゴメンネ。
 素敵な結婚式を挙げよう」


 シャルたんは強張った顔で言った。



「・・・エディたんじゃ無い・・・。

 ・・・・誰?」


 戦いは場外へと持ち込まれるもよう。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛

Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。 全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)

【完結】徒花の王妃

つくも茄子
ファンタジー
その日、王妃は王都を去った。 何故か勝手についてきた宰相と共に。今は亡き、王国の最後の王女。そして今また滅びゆく国の最後の王妃となった彼女の胸の内は誰にも分からない。亡命した先で名前と身分を変えたテレジア王女。テレサとなった彼女を知る数少ない宰相。国のために生きた王妃の物語が今始まる。 「婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?」の王妃の物語。単体で読めます。

処理中です...