【旧作】最強をめざす少年は、剣聖の夜の相手だってしてみせる

市川

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 日中は魔物の討伐に加わり、荷物持ちや飯炊きをし、宿に帰れば体を求められる。
 その夜も前後に体を揺すられながら、ジェドは「今だけだ」と胸中で繰り返した。そして彼が満足するのを待った。
 しかし、ローリーは絶倫だった。

「……ッ……」
「いいだろ? 声出しちまえよ」

 腹側のふくらんだ箇所を硬い男根でごりごりと擦られ、ジェドの腰は震えた。

「……くぅ……んっ……」
「すっかり体は慣れてきたな……?」

 反応をおさえようとしても、背中が淫らにしなってしまう。
 恥辱のあまりぎゅっと目をつむると、ローリーは奥を緩く振動させるような動きをしてきた。

「……んぁッ……ッ……」

 途端に結合部から淫靡な痺れが溢れかえり、ジェドの腸壁は喜ぶようにうねった。
 視界が白く弾け、全身が痙攣して男根を締めつけていく。
 抽挿を繰り返しながら、ローリーは満足げな顔をした。

「俺の逸物は美味いだろう。みんなコレにひぃひぃ言うからな」
「……ッ……ッ……」

 ジェドは懸命に喉をしぼって声を抑えつけた。
 体はすっかり開発され、快感が渦のように押し寄せてくる。
 しかしこれ以上、はしたない姿をさらすのは己のプライドが許さない。

「……ぁッ……ッ」

 それなのに体は制御できず、ぴゅくっと秘茎から液を飛ばしてしまう。
 ローリーが「シーツは汚すなよ」などと勝手なことを言って、ジェドの雄茎をタオルでくるんだ。
 恥辱は頂点に達していたけれど、それもこれも、すべては間近でローリーの技を見るためである。





 その日は雪男たちが巣くう山に向かった。
 山のてっぺんから雪が右へ左へ乱流となって流れており、凍えるような風で、露出した目元は赤くなっている。

 ローリーはそんな環境ですら軽やかな足取りだった。雪の上をサクサクと歩き、毛むくじゃらの雪男に遅れをとることなく剣を振るっていく。
 ジェドは彼のすべてに神経を研ぎ澄まさせた。必死に後を追い、ローリーの息遣いを真似て剣を走らせていく。

「そろそろ剣を新しくする時期だな」

 雪男の王を倒し終えたとき、不意にローリーが声をかけてきた。
 ジェドは念入りにメンテナンスしている剣をぎゅっと握った。

「……この剣じゃ駄目なのかよ」

 魔物から「ちょこまかして鬱陶しいな」と言いたげに睨まれる程度のダメージは与えられていた。
 ローリーは軽く小首を傾け、ジェドと剣をしげしげと眺めつつ唸る。

「んー使い慣れてるだろうけど、最近腕力がついてきただろ。もっと長い剣にしてもいい頃合いだ。剣の重さも利用して戦ってかねえとな」
「……ふうん……」

 口を尖らせつつ、意外と見てくれているのか、と少し驚いてもいた。
 さらにローリーが馴染みの武器屋を教えてくれるという。
 街へ戻って店の前に連れて来られると、そこは凄まじく敷居の高そうな店だった。
 ジェドが尻ごんでいるうちに、ローリーは扉をさっさと開いて、気さくに店主に話しかけている。

「よう。コイツに合いそうなの見繕いてえんだ。オススメ見せてくれよ」
「お……オイ、金はねえぞ」

 慌てて追いかけてこそっと言うと、ローリーはふっと微笑した。

「俺が払ってやるよ」
「は?」
「仲間の武器はチームの武器だろ?」

 ジェドは目を丸くした。
 てっきり戦力に数えられていないと思っていたのだ。

「まあ、もっと強くなったら出世払いしてくれよ」

 続く言葉を聞いて、体がむずむずしてくる。
 まるで期待されているようではないか。

「毎度ありがとうございましたー!」

 店主の声を背にしながら大通りに戻る。
 ジェドの腰には、真新しい剣が差してある。
 その柄をそろそろと撫でてみると、ローリーは意地悪な笑みをしてきた。

「気に入ったか?」

 図星を言い当てられて悔しく思いつつ、ジェドはむずむずする顔を隠してぶっきら棒に「それなりに……」と答えた。
 業物の剣を持って、剣豪の端くれになった気分だった。

「――ローリー!」

 そのとき、背後から女の声が聞こえてきた。
 現れたのは、胸の割れ目があらわになったワンピースを着た女性だ。駆け寄るごとに揺れており、その肌からは香水の匂いが漂ってくる。

「エリザベス! 久しぶりだなぁ!」

 ローリーはパッと愛想の良い笑みに切り替え、調子の良い声を上げた。

「もう! 最近全然連絡くれないんだから。さみしかったのよ?」
「悪い悪い」

 言葉とは裏腹に屈託なく笑っており、エリザベスはぷんと怒った顔をしてから、白魚のような手を彼の腕に絡めた。

「ねえ。今夜はどう……?」

 するとローリーは今日の食事を何にするか悩むような顔で「うーん」と唸って、
「またにしとくよ」と答えた。
 瞬間、女は信じられないと言いたげに目を見開いた。

「えぇ!? 何よそれ、他の女と約束してるの?」
「そんなんじゃねえって。そのうち会いに行くからさ。よろしくな?」

 悪戯っ子のような彼に、女は「もう!」と声を荒げた。
 そしてギロッと尖った視線をジェドに向けて、肩を怒らせて去って行く。
 ジェドは苛々とした。

 エリザベスにミシェイラにベアトリスにフローラに……次から次に女が声をかけてきて、ただれた会話を聞かされ、八つ当たりのように睨まれるのだ。そのうち半分くらいはローリーが間違えて名前を呼び、最初に頬を引っ叩かれていた。
 ジェドは目を眇めながら隣の遊び人を睨んだ。

「あんた……何で女のとこ行かねえんだよ」

 彼女たちを断っておきつつ、自分のことは毎晩抱いてくるのが全く疑問だった。
 雑用係の少年に性処理をさせるのはふつう旅中の話で、町にいる間は懇意の女のところや娼館へ行くものだ。
 眼差しを向けていると、ローリーはうーん?と自分でも不思議そうに首を傾げた。

「まぁおまえがいるし? 今はそれで」

 間に合わせのお気に入りのような言い草で、ジェドはへきえきして眉を寄せた。
 しかし同時に……ふと、ある可能性が浮かび上がった。もし……特別な誰かを見つけたら。
 そのときもローリーは、これまでのように付いて行かせてくれるだろうか。





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