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はじまり
1. 転生してました
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ある日、唐突に気付いたのです。
何気ない毎日を送っている貴族令嬢な私が、前世の記憶を持って転生したヒャッハーなチートかも?と。
あれは上のお兄様のお披露目会があった日でした。
朝からバタバタとした感じで、いつもより綺麗に仕立て上げられた私は会場の隅で座らされて、ひたすら会場を眺めていたのでした。
お披露目会というのは、貴族の子供が十歳を迎えると開かれます。
この国では乳幼児の死亡率が高いので、十歳まで無事に育つとその後はよほどのことがない限り成人することができるため、貴族家ではうちの子供です!と世間に紹介するのです。
上のお兄様なので、長男で跡継ぎです。さらに最初のお披露目会なので、それはもうみんな舞い上がっていました。
となると、年端もいかない三番目と四番目の子供など、百害あって一利なし。できることなら隔離したい存在です。
自己紹介が遅れましたが、私がその三番目の子供にあたるシャーロット・ダドリーです。
伯爵家の三番目の子供。でも唯一の女の子です。
それなりに可愛がられて甘やかせてもらっていましたが、お兄様のお披露目会では、ちょ~~~う退屈な時間を過ごしていました。
会が始まった当初に兄弟一同紹介された後は、両親は共にお兄様方に付きっきりで(って当然ですけど)、私と弟は子守り役の侍女に預けっぱなしになっていました。
主催者の弟妹が料理にガッツクわけにもいかず、何日も前から侍女に言い聞かせられていた『主役はアルフレッドさまですから大人しくしていてくださいね!』『伯爵家の令嬢らしく振る舞わねばなりませんよ』『お兄様の足を引っ張ってはいけません』などなどを、当日も繰り返し聞かされながら隅っこの方で大人しく、内心は超つまらなく座っていたのでした。
六歳の子供が隅の方に座らされて、特にやることもないって最悪ですよね!
中央にはご馳走があるのに、『中央には近寄ってはいけません!』『お料理はお客様のためのものです!』『はしたないことをしてはいけません!』と前日までにも死ぬほど言い聞かされていたことを、ひたすら隣で繰り返されるのです。うんざりです。
なにもできず、なにも食べられず、ただ会場を眺めているなんて五歳児にはほとんど拷問でした。(もちろん五歳児の弟には更なる拷問でしたでしょうけれど…)
そんな時に、唐突に思ったのです。
(なに、この超つまらない披露会。披露宴なんて飯食ってナンボなのに、ただ座ってるって…。そろそろ余興でもやって盛り上げればいいのに!)と。
え?
なんでしょう?
余興って?
というか飯食ってナンボってどういうことでしょう?
と思った瞬間。
怒涛のように前世の記憶が流れ込んでくるという事態に遭遇したのデシタ。
何気ない毎日を送っている貴族令嬢な私が、前世の記憶を持って転生したヒャッハーなチートかも?と。
あれは上のお兄様のお披露目会があった日でした。
朝からバタバタとした感じで、いつもより綺麗に仕立て上げられた私は会場の隅で座らされて、ひたすら会場を眺めていたのでした。
お披露目会というのは、貴族の子供が十歳を迎えると開かれます。
この国では乳幼児の死亡率が高いので、十歳まで無事に育つとその後はよほどのことがない限り成人することができるため、貴族家ではうちの子供です!と世間に紹介するのです。
上のお兄様なので、長男で跡継ぎです。さらに最初のお披露目会なので、それはもうみんな舞い上がっていました。
となると、年端もいかない三番目と四番目の子供など、百害あって一利なし。できることなら隔離したい存在です。
自己紹介が遅れましたが、私がその三番目の子供にあたるシャーロット・ダドリーです。
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それなりに可愛がられて甘やかせてもらっていましたが、お兄様のお披露目会では、ちょ~~~う退屈な時間を過ごしていました。
会が始まった当初に兄弟一同紹介された後は、両親は共にお兄様方に付きっきりで(って当然ですけど)、私と弟は子守り役の侍女に預けっぱなしになっていました。
主催者の弟妹が料理にガッツクわけにもいかず、何日も前から侍女に言い聞かせられていた『主役はアルフレッドさまですから大人しくしていてくださいね!』『伯爵家の令嬢らしく振る舞わねばなりませんよ』『お兄様の足を引っ張ってはいけません』などなどを、当日も繰り返し聞かされながら隅っこの方で大人しく、内心は超つまらなく座っていたのでした。
六歳の子供が隅の方に座らされて、特にやることもないって最悪ですよね!
中央にはご馳走があるのに、『中央には近寄ってはいけません!』『お料理はお客様のためのものです!』『はしたないことをしてはいけません!』と前日までにも死ぬほど言い聞かされていたことを、ひたすら隣で繰り返されるのです。うんざりです。
なにもできず、なにも食べられず、ただ会場を眺めているなんて五歳児にはほとんど拷問でした。(もちろん五歳児の弟には更なる拷問でしたでしょうけれど…)
そんな時に、唐突に思ったのです。
(なに、この超つまらない披露会。披露宴なんて飯食ってナンボなのに、ただ座ってるって…。そろそろ余興でもやって盛り上げればいいのに!)と。
え?
なんでしょう?
余興って?
というか飯食ってナンボってどういうことでしょう?
と思った瞬間。
怒涛のように前世の記憶が流れ込んでくるという事態に遭遇したのデシタ。
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