悪役令嬢だったらどうしましょう?!

もこもこ

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はじまり

9. 作戦には下準備が重要なのです

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 お兄様を攻略するためには、戦友ウィルくんが必要なのです。
 よって、まずウィルくんから攻略しないことには話が始まらないのです。

 ウィルくん攻略のためには、ウィルくんを知ることです。

 ウィルくんは弟です。一つ下です。
 あれ?
 えっと、お母様似なので、アルお兄様と同じ系統ですね。アルお兄様の方がキリッとしていて格好いいですが、ウィルくんはまだ可愛いという感じです。
 ちなみに私とエド兄様はお父様系です。でも私とエド兄様はあまり似ていません。やはり男女の違いがあるからでしょうか?どうせなら私もお母様に似たら、もっと美人だったでしょうに、にっくき遺伝子め!

 いえ、私の話ではなくて、見た目の話でもなくて。

 仲良くなるための情報なのですから性格とか好きなものですよね。
 ・・・。 全く記憶にございません。どれだけ家族に興味がなかったんですか、シャーロット様!!

 うーん。まだ二人で話したことはないですしねぇ。というか、ウィルくんが話しているのを聞いた記憶がないのです。

 なんということでしょう!!

 一緒に暮らして一緒に食事もとっている家族の声が記憶にないなんて。
 そう!ウィルくんは大人しいのです。見るからに気が弱そうな感じです。お母様だとおっとりとしたと感じるのに、良く似たウィルくんは気が弱そうという印象になるのは、もう全身からそういった雰囲気のオーラを醸し出しているからに違いありません。

 そんなオドオド小動物系の弟に、今まで興味も示さなかった姉が急に話しかけて、「お兄様が学院に入学したら寂しくなるから、お兄様方と一緒に剣のお稽古をして交流を深めましょう!」なんて言っても「そうですね。是非そうしましょう!!」と快諾してくれるわけがありません。

 というか、どうしてウィルくんはお兄様方と一緒に剣のお稽古をしていないのでしょう?まだ小さいから?
でも、エド兄様は一つ上なだけなのに、年上のアルお兄様と一緒に訓練しているのだし、たまに手合わせを頼んでいたり、その結果についていろいろ話していたりするのだから、始めたばかりの初心者とも思えないのです。剣ってそんなに簡単には身につかないはずですよね、前世の小説知識によると。

 知ろうと思ったのに逆に謎が増えてしまいました。
 なんということでしょう!!再びです。

 はっ。
 もしかしてこれは前世の知識を生かしたおやつを作ってあげて懐柔する作戦へのフラグなのですね!
 なんていうのは大嘘です。

 料理もお菓子も普通に美味しいです。シェフかパティシエか料理番かわかりませんが、腕の良い皆様に感謝です。
 これも、私がゲームの世界に転生したのではないかと思った理由の一つなんです。
 暮らしもそれなりに不便ではないのです。いえ、むしろ前世の庶民生活と比べたら、快適なのです。使用人がみんなやってくれますし、上げ膳据え膳でお手伝いをする必要もなく、こんなに幸せでいいのだろうかと怖いくらいです。

 それこそバッドエンドに巻き込まれてしまいそうなフラグではないのかと思ってしまうほどです。

 だからこそ!だからこそ!!すべての時間を有効に使って立派な悪役令嬢…ではなくて!伯爵令嬢にならなくてはいけないのです!!

 なのに、最初の一歩すら踏み出せません。どうしたらいいのでしょう…。
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