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第1話 天国からの手紙

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島崎 向葵殿

前略
 私はいま極楽市自殺町にいます。
 ヒマリ、ここはすごいところよ。何といっても自殺の街、つまりひっきりなしに自殺をしているんだから。何でもここで死ぬと天国町に行けるらしいのね。違ったかな。そうそう、輪廻から外れられるって言ってた。ということはあれね、仙人になったのと同じ効果があるってこと。中国では悠久の修行を必要とする脱出が、ここではただ死ぬだけでOK。
 チャイニーズも哀れな話よね。
 
 ……ごめんなさい、ふざけちゃって。でも、何書けばいいか分からなくて。突然自殺した私に、きっと貴女は怒っているでしょうね。でも私はどうしても自殺しなければならなかったの。なんで、って聞かれるとちょっと困るわね。だって、自殺の原因は一つとは限らないでしょう?色んな事が重なって、自殺しようって思うものなのよ。だから、なんで自殺したのか、はっきりと答えることは出来ないわ。

 せめて理由ぐらい言ってから死んでくれ、って思ってるわよね。ごめんなさい。そして、怒っているところ申し訳ないんだけど、実は一つだけお願いがあるの。文字通り、一生のお願いだから。
 
 ある人にメッセージを伝えてほしいの。メッセージは文芸部に行けば分かるわ。今、文芸部には2年生が二人いるはずよ。コーセー君とアカネちゃんだったかしら。ちょっとしか話したことないけど、面白い子たちよ。きっと仲良くしてくれるはず。それじゃあ、よろしく頼んだわ。
 
 それと、最後に一つだけ。貴女の名前、実は私が考えたのよ。向葵。向日葵みたいに太陽いっぱい浴びて元気に育ってほしいと思ってね。インドア趣味の貴女だけど、たまにはたくさん太陽を浴びてちょうだいね。

 何かあったら、いつでも私のお墓に来てね。待ってるわ。

                    かしこ
                  島﨑 真白

 
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