ゲイなのに異世界に召喚されちまったんだけど、ぶっちゃけナニすりゃいいんだよ♂

うなぎ

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5章

――会いたいよ。

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別れを悲しいと感じたのは、いつ以来のことだろう。
進路が決まり、学び舎を巣立った卒業式の日も。
家族を見送くることになってしまった葬式の日も。
こんなに悲しいとは思わなかった。
いや、あらためて考えてみると、あの時も……本当は悲しかったのだ。
ただ、一人で生きていこうと覚悟を決めていたから、こんなにも心を痛めずに済んだ。
ブルと出会って、スオルムと出会って、俺は一人じゃ生きていけなくなった。
あいつらと出会ってからの日々は、色鮮やかで……。
生まれて初めて、ああ、生きててよかったと、思えるほどだった。
一度満たされてしまえば、出会ってしまえば、元の日々には戻れない。
いつかまた二人に会いたい。
――会いたいよ。

――コンコン、コンコン。
それはドアを叩く音とは違う、透き通った音をしていた。
まるでガラスを爪で叩いた時のように澄んだ音色。
耳障りではないその音に、俺は聞き耳をたてていた。
この音の正体はなんだろう?
俺は瞼を閉じながら考えてみることにした。
すると、すぐにある情景が思い浮かんだ。
それは、窓ガラスに映る自分の姿を仲間と勘違いしてしまった小鳥の姿だった。
何度も何度も鏡のような表面に嘴をあてる鳥の姿を想像し、俺はなんだか悲しくなってしまった。
「ん……」
バネの入った寝心地の良いベッドの上で、俺は一度だけ大きく伸びをした。
近所迷惑になるほど五月蠅い音では無かったが、流石に確認しないわけにはいかないだろうと上半身を起こす。
寝た時と同じ位置にある携帯端末の画面に触ると、そこには4という文字が浮かんでいた。
――現在時刻は日本時間でAMの4:00。
眠りについたのは深夜の2時過ぎだったので、まだ2時間も経っていないようだった。
こんなに早く起きてしまったのは、なにも窓を叩く音のせいでは無い。
異世界から東京に戻って来てからというもの、どうにも寝つきが悪い日が続いていた。
病院に行かずとも、理由については検討がつく。
ブルやスオルムにどうしたら会えるのか。
そのことで頭がいっぱいで、四六時中神経が張りつめているのだ。
幸いなことに、俺は1日2時間程度の睡眠時間でも、肉体的な疲労を全く感じない体になっていた。
ブルを生き返らせるための代償として俺はデブロフンティスの加護を捧げたが、ポイントを割り振った後のステータスは肉体に還元されたままになったらしい。
この力がなかったら今頃は目元にクマができたり、胃が荒れて口内炎ができたりと、体の不調に悩まされていたことだろう。
しかし、それはあくまで肉体の話だった。
精神的には追い詰められており、虚無感を常に感じていた。
「開けますよー。」
テンションを上げるために独り言を呟きながら俺は静かにカーテンを開いた。
そして――
開いたカーテンをすぐさま閉じた。
「なんかいる!?」
カーテンを開いたのは1秒足らずの時間だったが、異世界仕込みの動体視力は窓の外にいる不審者の姿を頭からつま先までしっかりと脳裏に刻み付けていた。
「獣人がどうしてここに……。」
それはただの独り言でしかなかった。
しかし窓の外にいる相手はその小さな音を聞き取ったらしい。
わざと声量を張り上げながら、俺に話しかけてきた。
「ワイは構わへんけど、こんな所でお喋りしてたら、ご近所迷惑になるんやないか?」
凄い正論ではあるんだが、扉では無く窓をノックする男にそんなことは言われたくないと俺は思ってしまった。
仕方が無いので窓の鍵を開けると、獣人は頭をかがめながらノソノソと俺の家に入って来た。
「邪魔するでー。」
お気楽な相手とは裏腹に、俺は全身の筋肉が強張るのを感じていた。
デブロフンティスの目が無いため相手のレベルはわからないが、ドラゴンスレイヤーのオルフと同じ圧を俺はこの男から感じていた。
「そう固くならんでええでにいちゃん。何も今すぐ取って食おうってわけじゃないんやからな!」
俺の緊張を感じ取った男はガーハッハッハと豪快に笑いながら俺の肩にそっと手を置いた。
それが俺を逃がさないための措置では無く、心配しての行動であることは触り方からなんとなく察せられた。
「ワイの名前はアルファ・ネメア。獣欲を司る神さんの依り代ってやつやな。にいちゃん、名前は?」
俺の目の前で突然自己紹介を始めた獣人は、映画などで出てくる狼男によく似た外見をしていた。
ただ映画と違う点もいくつかある。
映画の中に出てくる狼男はジーパンをはいた細身の男のイメージがあるが、目の前にいる男は身なりといい体格といい見すぼらしい感じが全くしなかった。
2メートルはあろうかと思えるほどの身の丈に、人間では考えられない程の厚い筋肉とフサフサの体毛。
身に着けているものはジーパンなどではなく、グラディエーターが着るような露出度が高いながらも急所だけはしっかり守る、そんな装備を身に着けていた。
「……酒井力也です。」
相手が神の依り代と知り、俺は警戒するのを諦めた。
加護の無い俺では100%勝てない相手だと理解していたからだ。
「リキヤはんかぁ。ええ名前やな。」
肩から腕へとネメアの手が移動する。
なんか手つきがやらしい気がするが、きっと気のせいだろう。
会ったばかりの人間にセクハラする神様なんて、いるわけ……。
いやいるな、ギリシャ神話の神様とかがそうだわ。
「ど、どうも。」
「めっちゃ別嬪さんやな。よく言われるやろ?」
「いや、そんなことは……。」
「お、照れてはる?可愛いなぁ。」
俺は何故口説かれているのだろうか。
そんな疑問が思い浮かんだが、流石に面と向かって尋ねることはできなかった。
「あの、ご用件を伺っても……?」
「おっと、そうやったな。にいちゃんに見とれて、めっちゃ脱線しとったわ。……デスの奴がな。魔術結社と手を組んで異世界の門を作ってはるんや。あんさんならこの後の展開、想像できるやろ?」
「……デスの眷属がこの世界に攻めてくる。」
「せやな。面倒なやっちゃでほんま。死をまき散らしたいなら自分の眷属だけにしとけっちゅー話や。」
「どうして王国ではなくこの世界を標的に?健心の依り代となる人間を殺そうとしているとか……うーん、なんか変だな。」
「それも理由の一つやと思うけどな。恐らく本命は別にある。」
「と言いますと?」
「この世界とワイらの世界が戦争してたって話は誰かから聞いとるか?」
「外なる神と戦っていたという話はリアンノンから聞いています。」
「それやそれ。この世界の神さん、ごっつう強ーてな。追っ払うのほんま大変だったんやで。せやけど、ここに来て確信したわ。この世界にはワイらが戦った神はのうなっとる。」
「デブロフンティスが倒したということでしょうか?」
「それはどうやろうな。ワイらが戦った神さんはおらんが、別の気配は感じんでぇ。」
「別の気配?」
「ま、そっちはええやろ。デスの本命の話にもどんでぇ。……デスはな、デブロフンティスに交渉を持ち掛けるつもりや。」
「交渉……ですか?一体何をする気なのでしょう。」
「おおかた健心の呪いを解く代わりに、ワイらを殺して欲しい。なんて、けったいなことを頼むつもりやろーな。」
「デブロフンティスはその交渉を受けるでしょうか。」
「あいつのことはよーわからん。ただ、ワイのつがいがそんないな目にあっとったら絶対取り返しに行くやろな。せやからあいつはそのことを知らんとちゃう?」
もしかするとデブロフンティスが俺に加護を与えた理由はそこにあるのかもしれない。
そうは思ったが本人から直接話を聞いたわけではなかったので、俺は自分の考えを口に出さなかった。
「あの、ネメア様はどうしてこちらにいらっしゃったのでしょう?この話を私にする意図を図りかねているのですが……。」
ネメアと名乗る狼男の情報によってデスの目的はわかったが、目の前にいる神が俺に何をさせたいのかいまいちよくわからなかった。
デブロフンティスの加護の無い俺ではデスの眷属に太刀打ちできない。
それはこの神もわかっているはずだ。
「回りくどーて、ほんまにすまん。こっからが本題や。この情報を知るきっかけになった話をさせてもらう。その上で、にいちゃんに協力して欲しいことがあんねん。」
そう言って、狼男は俺の頭の上にポンと手を置いた。
彼の手が俺を撫でたその瞬間、景色が、切り替わった。

――そこは一言ひとことで言えば、魔法使いの研究室のようだった。
学校の理科室にあるような大きめの台の上に、フラスコや魔法の素材が並べられている。
もっともこちらはスチール製では無く木製のようだったが、ホルマリン漬けにされた瓶詰めや人体模型など見覚えのあるものもあった。
研究室の中には俺とネメアと、この部屋のあるじのような人物がいた。
そいつは以前戦ったヨミという魔法使いと同じデザインのローブを着ている。
「ワイズさん。お久しぶりです。今日は何を作っているのですか?」
ここはどこなのかネメアに尋ねる間もなく、ヨミ本人が部屋の中に入って来た。
突然部屋の中に現れた俺達を気にも留めないワイズと同じように、ヨミもまたこちらに気づいていない様子だった。
恐らくここはネメアの記憶か何かなのだろう。
そう俺は検討をつけた。
「……ん?ああ、ヨミ君か。おかえり。デス様から依頼をもらってね。今は異世界への扉を作っているんだ。」
「それは、どの異世界への扉ですか?」
「勇者のいる旧世界だよ。アレク君から聞いていないのかい?」
「初耳です。」
「ふむ。どうやらアレク君も相変わらずのようだ。私は他のサークルウィザードにも話を通してあると聞いたのだがね。」
「アレクの目論見はひとまず置いておきましょう。どうせ彼の悪魔の方針なのですから。私が気になるのはデス様の意図です。死の神はどうしてそのような依頼を?」
「此度の勇者のことが相当お気に召さなかったようですね。」
「……サカイリキヤのことですか。」
「あー、確かそんな名前だったかな?どうにも勇者の名前は覚えづらくてね。」
「覚えておくことをオススメします。その勇者には私も煮え湯を飲まされましたからね。」
「ヨミ君もかい?そりゃたまげたな。……となると、イ・グアの王子の調達は失敗か。」
「普通のイ・グアも今回の一件で手に入りにくくなりそうですね。ドラゴンスレイヤーの一人を怪我させてしまったので……。」
「そっか。まぁ、良かったんじゃないかな?人を生贄にレベルアップするのは正直どうかと思うし。」
「何をおっしゃってるんですかワイズさん。現行法では、あれらは人ではありませんよ。」
「そうだね。悪魔は彼らを人だと認識しているみたいだけど、この世界の法では二足歩行で喋るトカゲだね。」
ヨミと話をしている間も、ワイズという男は研究室の中央に魔法陣を書いていた。
デブロフンティスの目が無いため構造は理解できなかったが、話の流れから用途の検討はつく。
恐らくこれがこの世界の住人を俺の世界へ送るための召喚陣なのだろう。
「……お?おお!?できた!できたよヨミ君!!」
ワイズが歓声を上げたその瞬間、青白い光が魔法陣から溢れ出した。
その輝きをワイズは恍惚した表情で見入っていた。
「さぁ、ヨミ君。早速この中にダイブしてくれたまえ。」
「殺しますよ?というか、私を殺す気ですか?」
「いや、君が思っている以上にこの魔法は安全だよ。パクトーロス王国に伝わる勇者召喚の魔法を元に作ってあるからね。」
「だったらご自分で試してみれば良いのでは?」
「勇者召喚の魔法と違って、ゲートを維持しないといけないからね。万が一が起きても僕なら対応ができる。」
「では、この者達を使いましょう。」
ヨミがパチンと指を鳴らすと部屋の外にいた人間達が部屋の中に入って来た。
その者達は二人の魔法使いとは違いとても見すぼらしい恰好をしていた。
衣服は下着すらなくボロボロのマントだけ。
覆いきれてない汚れた布の隙間から見える肢体には暴力の後があった。
「……おや?この子達は?」
「イ・グアの代わりに捕らえたΩと呼ばれる獣人です。モラに渡す前に少し実験ができればと。」
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「また妙な所で食いついてきましたね……。実験に興味はありませんが、少し検品をしたいと思っています。」
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見ている限り、ワイズの方は割とまともな思考回路をしているようだった。
他の世界に行っても騒ぎにならないよう獣人達に自分の服を着せると、何をすれば良いかを簡単に説明する。
「始めるよ。」
ワイズが魔法陣へ注ぎ込む魔力を徐々に増やしていく。
すると、蛍のように飛び交う青白い粒子が次第に扉の形を作った。
ヨミに脅され、獣人達は恐る恐るといった様子でその扉の中に入っていく。
それを祈るような所作でワイズは見守っていた。
「ん?」
獣人達が姿を消してすぐに、ワイズは何やら異変を感じたようだった。
魔法陣の構成式をぐるぐると回りながら確認する。
「どうかしましたか?」
「扉をくぐった形跡が無い。もしかすると別の場所に跳んだのかも。」
「……どうやら本当に神が介入して来たようですね。」
俺の世界への扉の前にいつの間にか獣人がいた。
その神は立派なたてがみを持っており、神々しく光り輝いていた。
「ハハ……これがネメアですか。まさか本当にあらわれ……。」
ヨミの話が終わる前に、ネメアは無造作に腕を振るった。
たったそれだけの動作でヨミは研究室の壁に吹き飛ばされ意識を失った。
「やれやれヨミ君には困ったものだ。これじゃ研究ができなくなってしまう。」
抵抗するのを諦め煙草に火をつけ始めた男を、神は興味深そうに見ていた。
そして、まだ開いている扉へとゆっくり視線を移す。
「お主、面白い研究をしておるな。異世界に繋がる門か。」
「流石はネメア様。一目で見抜きますか。」
「本当に異世界に繋がるか知りたい。そうであろう?」
「まさか、最初から見ておられたのですか?」
「さてな。それよりも取引だ。」
「取引……ですか?」
「ゲートの安全性と座標の確認はこの男が引き継ごう。対価はこの場で起きることを口外せぬことだ。」
この男とネメアが口にした途端、彼の傍らにαネメアが現れた。
俺と話た時のような気さくさは影を潜め、油断なくワイズとヨミを見下ろしている。
「取引などせずとも私を殺せば良いのでは無いでしょうか?」
「お主は我が眷属に慈悲をかけた。だから慈悲をかけるまでのこと。死を望むのであればくれてやるが、今死ぬとお主はデスの虜囚となるだろう。」
「……なるほど、依頼にはそんな効果もあったのですね。本当にあの神は抜け目ない。デスの眷属にはなりたくないので喜んでその取引に応じましょう。」
「契約成立だ。」
ネメアの本体が分体に向かって目配せすると、ためらうことなくαネメアは門を潜った。
しばらくすると二人の前に再びαネメアが現れ、再び門を潜っていく。
「あの……ネメア様?」
「……扉を閉じよ。」
「本当によろしいのですか?まだ眷属の方が戻っておりませんが……。」
「構わん。扉を閉じよ。」
ネメアの指示に困惑しながらも魔法使いは扉を閉じた。
ワイズとネメアはまだ何か話をしていたようだが、その声は徐々に聞こえなくなっていった。
そして気がつくと、俺は自分の部屋に戻ってきていた。

「ワイら獣人にはαっちゅー群れの長になるもんと、その伴侶になるΩっちゅー獣人がおんねん。αはめちゃんこ強いんやけど、Ωがおらんと獣性が抑えられんくてな。放っておくと獣性に飲み込まれるんや。」
ネメアの過去の記憶を見る前に頭の上に置かれていた手は、いつの間にか俺の頬をつまんでいた。
もにゅもにゅもにゅもにゅと頬を揉まれるせいで、俺はシリアスな顔ができなかった。
「せやけど、にいちゃんも見たやろ?あのヨミっちゅー糞野郎のせいで、Ωが連れ去られてんねん。あん時はΩが異世界に送られるっちゅー非常事態やったからワイも介入できたけど、例えば牢屋なんかに入れられとるだけやと流石に介入できんのや。」
「それはつまり、神様にも神様なりのルールがあるってことですか?」
「ほんまそれな。好き勝手やるとデスが権能バラまいて普通の人間は生きられんようになるさかい。制限をつけることであいつの権能を封じてんのや。」
「それで、俺は結局何すれば?」
「取引や。にいちゃんがワイらの世界に戻る手伝いをしたる。そん代わり、Ωの救出を手伝ってくれ。この通りや。」
流石に頼みごとをする時はほっぺから手を放してくれた。
頭を下げる人狼を見て、俺は慌てて返答を返す。
「どうか頭を上げてください。むしろ、こちらからもお願いしたいくらいです。」
日本に戻ってきて数日。
俺はデブロフンティスや異世界の痕跡を追いながらも、既に退屈な日常に戻りつつあった。
このままブルやスオルムに再開できないのではないか。
目の前にいる神様に会ったのは、そんな不安に頭を悩ませていた矢先のことだった。
デブロフンティスに散々助けてもらっておきながら、他の神の助けを借りるのはどうかと思わなくもなかったが、このくらいの取引であれば問題ないだろう。
そう考えた俺は、藁にも縋る思いで彼の提案を受け入れた。
「おおきにな。ほんま愛しとるで!」
「いえいえ、こちらこそ助かりました。」
「ほんなら、契約の証としてセックスしとかんとな。」
「そうですね……セックスしないとって……え?」
「ん?」
「ドウシテソウイウコトニ?」
「魔法陣が完成すればデスの軍勢がこの世界にやって来る。そん時に誰からも加護を授かってへんと大変やろ?」
「それはそうですが……俺にはブルという心に決めた人が……。」
「イ・グアともやることやっとんのに、獣人と寝るのは駄目なんか?もしかしてにいちゃん、毛深いのあかん人?」
「ど、どうしてそれを……。」
「あかん!やっぱ毛深いのは駄目なんか。こら永久脱毛も視野にいれな……。」
「いえ、毛深いのは好きですが、そうではなく……。」
「びくった~。スオルムとやったっちゅー話の方かいな。ワイは神様やで、そんなんお見通しや。」
「なら、スオルムの時とやる時にちゃんとブルと話し合ったことも知っているでしょう?ブルの許可なく他の人とはやれません!!」
「ほんなら、にいちゃんを無事に連れ帰って、その報酬として群れにいれてもらおうか。」
(あれ?俺を助けるのは番を助けるためじゃなかったけ?)
そう俺が疑問を感じた時、ズボンのポケットに入れた携帯が怪しげな音を奏でた。
その音はJアラートと同じように、聞くものの心を不安にさせた。
「……あいつが来た。」
メールの受信箱を見た俺の血の気がみるみる引いていく。
それに気づいたαネメアが「見してみぃ。」と俺から携帯をひったくった。

差出人:death
宛先:日本国民の皆様
件名:宣戦布告

勝利条件
蟻塚の軍王ダイクアイトの討伐

敗北条件
酒井力也の死

――死が再び近づくのを感じた。
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