アリーシア嬢の勘違い

むむ

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青薔薇の入学式

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あれからもアリーシアは少しでもサーシスの好みになれるようにと、無理する程ではなかったが多めの食事を心掛け、ミランダはゴロゴロ過ごしていると聞いていたが、妃候補としての努力を惜しまず舞踏や座学ならいごとにより一層精を出した。

結果、肥るどころか必要なところに必要な養分が周り、ふくらみが豊かになり、締まるところは締まった身体が出来始めていた。
また入学前には学園で学ぶ基礎を全て習得し、学園に通う必要すら感じさせないほどであった。

それでも、同じ学年にはアリーシアの目標とするミランダも居るので、身近で彼女の素晴らしさを学べるのだとこの日を心待ちにしていたのだ。

学園の制服に身を包み、少し恥ずかしそうにスカート の裾を翻しながら

「ナンシー、どうかしら?」

と恥ずかしそうに振り返る彼女の美しさに言葉を失い、素晴らしい方に仕えることのできた事に感謝をした。
そして、やっとの思いで

「お美しいです、アリーシア様。」

と伝えれば、お世辞でも嬉しい、と顔を綻ばせた。

勿論、娘大好きな公爵夫妻が屋敷を出て学園に着くまでベッタベタに褒めちぎったのは言うまでもない。

学園の門の前に公爵家の馬車が止まり、夫妻とナンシーは親族席へ、アリーシアは新入生の席へと向かう。
すれ違う生徒達は見惚れていたり、声を潜めて何やら話をしている。
時折聞こえてくる内容はこうだ。

「青薔薇様よ。」

「実物を見るのは初めて、お噂通り美しい。」

「お近づきになれるかしら?」

〈青薔薇〉初めて聞く二つ名に、誰を指している言葉なのかわからなかったアリーシアは、目の前にミランダの姿を見つけ納得し、

流石はミランダ様、入学式の前からこんなにも注目され〈青薔薇〉と言う素敵な二つ名まで…

と尊敬の眼差しを向ける。

アリーシアは知らない。
アリーシアの瞳の色にかけてと言うこともあるが、その美しさが奇跡に近いことから、作ることが不可能だと言われている青い薔薇にかけて“青薔薇”と呼ばれている事を。

そして、ミランダの二つ名が〈暴食のラフレシア〉である事を。
もちろん由来としてはその大きな身体とラフレシアの大きさにかけられていて、過去に人喰い花と称されたように、食欲旺盛な彼女自身が、いつかは人を食べるのではないかと言う噂から付けられた名である。

そうして、何も知る事なく入学式は始まり、新入生代表の挨拶が始まろうとしていた。

この学園では学力あるものが新入生代表に選ばれるのだが、どんな場面でも怖気付かない機転を利かした振る舞いができるようにと当日名前が呼ばれるまで誰が代表に選ばれるのか分からない。

アリーシアはミランダが選ばれるのだろうと全貌の眼差しで彼女を眺めるが、ミランダは眠そうに大口を開けて欠伸を漏らしているだけだ、それも隠すそぶりすらない。

その、貴族とも取れない様子も、彼女の余裕に見えてしまう。

“自分が選ばれるはずない。”

そう思いながら“もしも”の為に考えてきた答辞を思い出していると、壇上横で進行をしていた司会者より代表の名前が告げられた。

「新入生代表、アリーシア・クロッカン。」

まさか、私が?

そう驚きながらも返事をして壇上に進み、考えていた言葉を口にしていく。
大勢の人に見られていること、そして自分が選ばれたこと。
緊張で胸は早鐘を打つように鳴っている。

それでも落ち着いてゆっくりと一音一音を聞き取りやすいようにはっきりと発してなんとか締めくくることができた。

「ーーーーーー新入生代表、アリーシア・クロッカン。」

無事に挨拶が終われば会場からは大きな拍手がわき起こり、チラリとサーシスを見れば大きく頷いてくれる。
幸せを噛み締めながら席に戻れば、隣の席のミランダがポツリと呟いた。

「つまらない。」




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