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第2章 君を忘れないといけないから
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しおりを挟む「ンンンン……ファァ……古賀くん、目が覚めた?」
「はっ、はい!?」
良太は、昨日の夜の事を早巻き戻しで、思い出す(えっ、えぇ……どうして……??)。
確か……2人で、居酒屋で飲んで、話が楽しくて……ビールと焼酎と……思い出せない……!?
とりあえず、寝る時には、シャツは……脱ぐだろ……!? ズボンと……パンツは……穿いてるな……。
「昨日は、すごかったんだよぉ……」
「ぼっ、ぼく……何かしましたか……?」
僕は、津上先輩と、したの……かぁ……??
「酔って、すごかったんだから……」
「先輩に、何かしました……か?」
「とても、重かったんだよ……」
津上は、ピンク色の布団の中から、良太をジッと、見つめる。
「すみません……初めてなもので……」
「そうなのぉ……意外だね?」
「遊んでるように、見えますか?」
「う……ん……わかんない」
ゆっくりと、頭を掻きながら、上半身を起こす津上の姿。 メイクを落とした津上は、年齢よりも、幼く見える。
「でっ、でも、でも、先輩、アァ……胸が、見えそうですけど……!!??」
白いキャミソールの下に、透ける上下黒の下着に、細身の身体に、たわわな白い乳房の膨らみ。 良太は、視線をそらす(何で、こんな格好してるんだ……!?)
「あれぇ……もしかして、女性経験が、ないの?」
「あるっ、あるわけないじゃないですかっ!」
高校生になって、身長も178㎝まで伸びたし、顔も美人の母親の血を引き継いだのか、悪い方でもない。
ただ、人付き合いが苦手な良太。特に、女性に奥手なのは、昔も今も変わらなくて、良太の恋愛経験は、大学生になっても、皆無であった。
「僕……憶えてないんです! 先輩すみません!!」
「あれだけ、飲んで、酔えばねぇ……」
「どうしたら、許してもらえますか?」
「大袈裟ねぇ……運転手さんと運んだから、大丈夫よ……」
「えっ!? エェ……!!??」
酔いつぶれた良太を店に、残しとくわけにもいかず、タクシーに乗せたが、良太の家は、わからず、仕方なく津上のマンションへ運転手と、運んだ。その後、ベッドで寝始めた良太。酔っていた津上も、服を脱いで、同じベッドで寝たらしい。
「何を勘違いしてるの! 大丈夫よ! 年下の男を酔わせて、食べる程、飢えてないわよ!」
「ででで……でも、でもですよ……!?」
「君、くどいなぁ……ほらっ、着替えるから、向こうを向いて!」
「はっ、はい……」
良太は、窓の方を向いて正座した……が、窓へ微かに映る津上の白い肌と、黒い下着が投影されていて、目をつぶる。
「それにね……古賀君は寝言で『咲……ごめんな……咲……』って、彼女……いるんじゃん!」
「あぁ、それは……幼馴染の女の子で、今は、どこに居るのかわからなくて……」
「へぇ……はい、着替え終わったよ!」
振り返るとグレーのスエットに身を包んだ津上が、髪を後ろで、結いながら立っていた。
「どんな子?」
「えっ?」
「幼馴染の子よ……! 咲ちゃんだっけ……?」
「あぁ……それは、また、今度……」
「そう……まっ、いいか! コーヒー入れようか! 飲むでしょ?」
「はい」
良太は、ベッドから出ると、床に正座して、コーヒーを入れる津上の後姿を眺める。いつもと違う、津上の姿に”ドキッ”と、胸が、大きく鼓動を打った。
「座って!」
「はい」
綺麗に畳まれたシャツを広げて、腕を通す。テーブルに、並ぶ2つのコーヒーカップを挟んで、津上と顔を突き合わせる。ダボッとしたスエットの肩がはだけ、白い肌とブラジャーの肩紐が見えて、目のやり場に困る。メイクをしていない彼女の顔が、ありのままの津上詩織で、職場にいるのは、津上先輩で……何で、こんな事になったのか、意味不明。
「会いたい?」
「はいっ?」
「咲ちゃんと会いたい?」
「う……ん……彼女は、何処で、どうしてるか、わからないんですよ……」
「へぇ……そうなんだ」
咲と、最後に会ったのは……見かけたが、正しいか、町の通りを数人のDQと歩いていたのを見かけたのが最後。
髪の毛を金色に染めて、スマホを耳に当て、歩いているのが最後。「僕は、東京の大学に行くんだ!」何度も、そう言いかけたけど、言えなかった。
久しぶりに、地元へ帰ると、彼女は、男と、町から姿を消したと噂で聞いた。
「でも……会ってみたいかな……」
「そう……」
津上は、ニコリと笑った。
「朝ご飯食べてく?」
「いえ……帰ります……ありがとうございました」
「そう……また、月曜日ね!」
良太は、コーヒーを飲み終え、鞄を抱えると部屋を出た。
マンションを出て振り返ると、外観が、お洒落な10階建てのマンションで、同じ職場に、勤めていながら、キャリアの違いを痛感してしまう。
良太は、駅へと続く道を歩きながら、記憶を失うほど酔ってしまった自分に「そんなに、彼女との時間は、楽しかったのかい?」と、問いたくなる。
うん……楽しかったよ……。
ニコリと笑い、目覚めたばかりの街の通りを駅へと歩いていく。
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