俺たちバグジー親衛隊

喜多ばぐじ・逆境を笑いに変える道楽作家

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特別編 ~8年の歳月、淡路島再訪~

10話 恋のガチイケメソッド

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<6年前(南紀白浜旅行)>

「あさっぴと友達も今、和歌山に来てるらしい。みんなで一緒に遊ぼうって話になってる」

「それええやん」

ぼくらの集団は常に男だらけでした。
しかし、それを望んでいたわけではありません。
ただ女子を連れて遊べるほど、イケてなかったのです。

しかし、今回は違いました。
女子たちと遊ぶというイベントが目の前にやってきたのです。

みんなが乗り気になりかけていた時、「ネガティブ王に俺はなる!」こと、ギアルは、青白い顔でぽつりと言いました。
「やめよ、俺は嫌や…」

「そんなこと言うなよ。みんなでいこうぜ!絶対楽しいって!」

「俺は行かんで。絶対いかん。何が何でも行かんから」

ギアルのネガティブな言葉は、
どちらかといえば行ってもいい派のまさはる、
正直どっちでもいい、ボブとキャプテン、
できれば行きたいぼく、それぞれの心境に変化を与えました。

ここまで行きたくない奴がおるならやめとこうか…



<3年前(石川県旅行>

ぼくの友人の実家で、卓球をしているときのことでした。

「お前はあさっぴ、マジで無理です。諦めてください」

「いやぁあやあぁ~~!」

「チュインチュインッどどどどどっ」

「バゴーン!!もくもくもくもく」

「ひぐっひぐっひぐっ」

(テロップが流れる)

「fin」

「ひっくひっく」

「なっさけない。頼むからカッコよくあれ…」



<現在>

ぼくは、最後の挑戦をしていました。
そして、あさっぴに2年ぶりに連絡をとり、何度か二人で遊びに行くことができました。

しかし、ここで限界を感じてしまいます。

「あかん。無理や。手詰まりや。
なんかこう、全然ええ雰囲気にならん。
俺が舐められてるんやと思うけど、所詮俺は楽しい奴、ピエロなんや…
俺がこれ以上あがいても、
彼氏とあさっぴの愛を引きはがせそうな予感がせんのや!!」

ぼくはたまらず、ボブたちにアドバイスを仰ぎます。


そして、ボブの提案した、「恋のガチイケメソッド」を試そうとするも敢え無く失敗。

ちなみに「恋のガチイケメソッド」とは、2人で遊ぶのではなく、集団で遊ぶことです。
グループでBBQ、飲み会、集団で遊ぶことによって、距離を縮めようという試みも断られてしまいました。

「白浜旅行が惜しかったよな。
あの時、あさっぴたちと集団で遊んでおけばなあ」
ボブはぽつりと言いました。

「そうやねん!あのとき…」
ぼくもあの頃を思い返して後悔します。

「あのときってさ、ギアル以外はどっちかといえば行きたかってん。
なのに、ギアルがめっちゃいやがるから、全員がじゃあやめようか、という気持ちになった。

一人のネガティブが全員をネガティブにするっていう最たる例やんな」


ぼくは、あさっぴに振られたあと、不甲斐なく負け犬として過ごしているこの4年間の悔しさをギアルにぶつけてしまいます。
「ほんまそれや。あのときギアルが、ネガティブじゃなかったら、今だって状況は変わってたかもしれん!」

「俺のせいなん?」
ギアルは驚きを隠せませんが、少し笑っていました。
ギアルというのは、怒っているぼくを見ることが大好きなのです。

「お前のせいとまでは言わんけど、ほんのなん%かの原因ではあるぞ、あのネガティブは!」

ギアルはぼくの言葉を聞くと笑いながらこう答えました。
「っへ。結局無理やったやろ…?」

「ってってめえぇ!!!」

醜い争いが、始まりかけましたが、終わったことを言い争っても何も変わらないのです。

いや、過去を蒸し返してムキになることは何よりもかっこ悪いのです。
3年前号泣した二の舞になりたくはなかったので、ぼくは口を紡ぎました。

紡いだぼくの口をみて、キャプテンは言います。
「口の横にちょろっと、線がでるやん?それなんなん??」
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